2014年10月30日木曜日

法務専門翻訳事務所の料金相場

先月、日本翻訳者協会 (JAT)に入会して以来、
少しずつ法務翻訳業界の現状が分かってきました。

大手の法律事務所が依頼する法務専門翻訳事務所は、
主に以下の2つのようです。
(主に日本語→英語に利用されていると推測されます)

「Okabe & Yampolsky Translations」(OYT)
http://www.oytrans.com/

「Translation Business Systems Japan」(TBSJ)
http://tbsj.jp/Home

料金は、
英語→日本語は、2社共に「35円/ワード」。
日本語→英語は、TBSJが「24円/ワード」、OYTは不明です。

いずれにせよ、相当に高額です。

他にも、
田口亮さん(ニューヨーク州&マサチューセッツ州弁護士)が経営する「株式会社カイ・コーポレーション」
http://kaicorp.com/
カナダ出身のLisa Hewさん(元TMI法律事務所の所内翻訳者)が経営する「Belle Translation Japan, Ltd.」
http://belletranslationjapan.com/
英国出身のCatherine Eberstさんが経営する「オリアン株式会社」
http://www.orian.co.jp/
などがあります。

機会があれば、
私が以前所属した法律事務所に、
どこの翻訳事務所に依頼しているのか、
聞いてみようと思います。

また、
法務翻訳者と企業の法務担当者が、
ざっくばらんに意見を交わし合える会を開けたら良いなと思います。

次回の法務交流会でヒアリングしてみるつもりです。

2014年10月28日火曜日

オーストラリアのPlain Legal English

10/25(土)、
日本翻訳者協会 (JAT)の法律翻訳分科会(JATLAW)のセミナー&食事会に参加してきました。

セミナーのタイトルは、
「わかりやすい語法による英文就業規則のつくり方」
講師は、
ローソン・キャロルさんと、
http://legalcommunicationsjapan.com/
倉田哲郎さん。
http://www.lmconsul.com/

この2人は最近、
逐条解説付 わかりやすい語法による 英文就業規則のつくり方」(日本法令)
http://www.horei.co.jp/shop/cgi-bin/shop_itemDetail.cgi?itemcd=2472390
を出版していて、
セミナーはその紹介のような内容でした。

以前から、
オーストラリアの法律関係者によるPlain Legal Englishの推進活動については、
記事や本などで読んでいましたが、
実際にオーストラリア弁護士であるローソン・キャロルさんの口から聴くと、
本当にそうなんだと、
想像していた以上に動揺しました。
正しくは、
これまで読み飛ばしていたことなので、
「想像していた」というのは嘘ですが。

これまで、
オーストラリア企業・オーストラリア弁護士と仕事をしたことが一度もなかったので、
今後、そのような機会があった場合に、
どう対応するのが良いのかと思います。
(特に「shall」を使うか否か)

私は、
Kenneth Adams氏の提唱するやり方、
(具体的には氏の提唱する「Categories of Contract Language」という分類方法)
に従って、
契約書を起案しているのですが、
(「shall」は文章の主語の「義務」を表現するためのみに使う)
当然、齟齬が出てきますが、
それをどうするのか。

意味に曖昧さがなく、
明確に通じさせすれば良いわけなので、
今と変わらない、
むしろ、
オーストラリア企業・オーストラリア弁護士との仕事の方が楽だと思いますので、
心配することはないですね。

ちなみに、
Kenneth Adams氏は、
2014年9月16日のブログ記事で、
氏がAustralian Corporate Lawyers Associationの機関紙に寄稿した、
「Banishing Shall from Business Contracts: Throwing the Baby Out with the Bathwater」
という記事を紹介しています。
http://www.adamsdrafting.com/my-new-article-about-shall/

元々語学屋の私にとっては、
とても興味深い論点です。

2014年10月4日土曜日

第1回『新橋・法務レクチャー会』(TAYL1: Talk As You Like 1st)

昨日10月3日(金)の終業後、
第1回『新橋・法務レクチャー会』(TAYL1: Talk As You Like 1st)を、
開催いたしました。

プレゼンターは4人。

題目は以下です。
①私による『商社の英語術』
②某IT企業の法務担当者による『証券取引等監視委員会による調査実例』
③のぞみ総合法律事務所の大東泰雄弁護士による『公取委の調査と企業の対応』
④私の上司による『商社のセミナー術』

①②④は15分ずつ、
③の大東先生には30分、
やっていただきました。

大東先生をはじめ、
皆様、ありがとうございました。

初開催ということで、
手探り状態でしたが、
特にTAYLの共同主催者による基調演説的④の『商社のセミナー術』は、
オーディエンスに大きなインパクトを与えたと思います。

その後の第9回『新橋・法務交流会』は、
汐留の『ベトナムフロッグ』で開催いたしました。

とても良い店ですが、
私の会社から少し遠いのが難点です。

参加者の皆様、
ありがとうございました。

2014年10月1日水曜日

預託在庫

今、「預託在庫」契約書を英訳しているのですが、
そもそも「預託在庫」を英語で何と表現するのが適切なのかを調べるのに、
時間が掛かりました。

「預託在庫 英語」単純にググると、
「deposit inventory」という英訳がヒットしますが、
逆に、
「deposit inventory」をググると、
とても「預託在庫」の意味で使用されているようには思えません。

英語を母国語とする翻訳者が、
「使用高払い」の英訳が分からないと、
Google Groupsの「Honyaku Mailing List 」で聞いていましたが、
結局、明確な回答は得られていませんでした。
https://groups.google.com/forum/#!topic/honyaku/AQkKaCpicuc

「委託販売」という意味で、
「consignment stock arrangement」という英語が使用されているようですが、
「委託販売」が、買主が第三者に販売(転売)することを想定しているのに対して、
「預託在庫」は、買主が売主から使用高購買することを想定していると思いますので、
これも微妙にズレているように感じます。
しかし、
http://www.legal500.com/developments/330
の説明が正しければ、
「預託在庫」と「consignment stock arrangement」は、
ズバリ同じ意味です。

残念ながら、
上記のウェブ記事を書いているのがNorwayの法律事務所で、
私は、経験上、Norway人の英語を信用していません。
日本人の英語と似て、
Norway人の英語も、
母国語であるNorway語に大きく影響を受けている、
という印象がありますので。

さらに調べていくと、
どうやら「預託在庫」という意味での「consignment stock arrangement」は、
英国で主に使用されている表現のようです。

今回はインドネシアの案件なので、
英国式の英語でも良いだろうと判断し、
(と言うと、英国人には不愉快に聞こえるかもしれませんが)
また、あまり時間を掛けるわけにもいかないので、
とりあえず今回は、
「consignment stock arrangement agreement」としました。

より適切な表現をご存じの方、
ご助言ください。