2016年1月28日木曜日

一般消費材の保証期間@日本

昨年2月に購入したモバイルバッテリーが壊れました。
『SMILE WORLD 10,000mAh』
http://www.amazon.co.jp/gp/product/B00PRGTIFK/ref=oh_aui_detailpage_o02_s00?ie=UTF8&psc=1

保証期間中だからメーカーに送り返せば、
安価な製品だから新品と交換してもらえるだろうと思っていたところ、
なんと保証期間が半年でした。

一般消費材、少なくとも電化製品の保証期間は、
最短で1年だと思っていたので驚きました。

調べてみたところ、
確かにそんな法律はなく、
また、
保証期間が半年の製品も、
ソニーなど大手日系メーカーも含めて、
結構あるということも初めて知りました。

たしか米国法では1年だったはずと調べてみると、
UCC 2-725で、
出訴期限が原則「引渡後4年」で、
「1年」まで短縮できるが、
「4年」を超えては伸ばせない、
と規定されているだけでした。

つまり、
UCC上は保証期間自体はゼロでも良い、
ということです。

当然、
消費者保護法があるはずと調べてみると、
『Magnuson–Moss Warranty Act 』がありましたが、
この法令は、
保証を提供すること自体を義務付けているわけではなく、
保証を提供する場合に同法令を遵守することを義務付けているものでした。
その場合でも、
最短保証期間の規定はありません。

日米共に、
一般消費材の製品保証が意外と薄いことに驚かされました。
どちらの国も未だに、
大量生産&大量消費を国を挙げて推奨している、
ということでしょう。

2016年1月25日月曜日

動物に著作権は帰属するか否か?

私の知り合いが働く行政書士事務所の従業員ブログに、
このような記事がありました。
http://attorney-office.com/blog/20160125sb/

問題となっているのは、
英国人自然写真家(David Slater)が、
インドネシアの保護森で放置したカメラを使って、
猿が「自撮りした写真」(selfie)の著作権が、
誰に帰属するかです。

そもそも、
本当に猿が「自撮りした写真」なのか怪しいものですが、
そこは問題とはなっていないようです。

しかし、
Stephanieさんの記事には、
どういう経緯で訴訟となったのか書かれていなかったため、
ネットで検索してみたところ、
Peta(People for the Ethical Treatment of Animals )が、
「自撮りした写真」(selfie)による収益の所属について、
英国人写真家の会社を起訴して、
これに対して当該会社が訴訟の却下を申し立てた(Motion to Dismiss)、
という経緯のようです。
http://www.theguardian.com/world/2016/jan/06/monkey-selfie-case-animal-photo-copyright

しかし、
この問題が米国のサンフランシスコの連邦地方裁判所で起訴され、
判断されるということが、
そもそもおかしく感じられます。
http://www.theguardian.com/world/2015/sep/22/monkey-selfies-copyright-lawsuit-peta

とりあえずの結論としては、
「動物には著作権は帰属しない」とのことですが、
(米国著作権当局が昨年、著作権は人間についてしか発生しないという方針を発表しています)
では、誰に帰属するのかについては、
記事には書かれていません。

2016年1月20日水曜日

法務担当者が知っておくべき和解提示方法~"Offer of Judgment"

私がCeongsuさんと初対面した、
2014年10月17日(金)に開催されたJapan International Arbitration Summitについての、
Ceongsuさんのブログ記事です。

http://ameblo.jp/legal-practice-in-house/entry-11941775705.html
http://ameblo.jp/legal-practice-in-house/entry-11944844281.html
http://ameblo.jp/legal-practice-in-house/entry-11956234391.html

当時は全くピンと来ませんでしたが、
ようやく今になって、
なるほどなと。

やる気に差があるので仕方ありませんが、
Ceongsuさんとの知識の差には、
度々凹まされます。

しかし、
*1 連邦裁判所における"final judgment"について、例えば28 U.S.C. 1291にてCourts of Appeals(控訴裁判所)が受訴できるのは、一部の例外事項を除き、一審の"Final Decision"のみ、との記載があり、その"final judgment"の定義については、Catlin v. United States, 324 U.S. 229(1945)にて、a decision which "ends the litigation on the merits and leaves nothing to do but execute the judgment"であるとされています。なので、控訴される可能性があれど、地裁判決が確定されれば、Final Judgmentになりますね。
とありますが、
どうしたらFinal Judgmentがそう解釈できるのか、
Ceongsuさんに今度会った時に聞いてみようと思います。


2016年1月19日火曜日

PACER: Public Access to Court Electronic Records

というサービスが米国にあります。
電子的に記録されている裁判所の文書にアクセスできる有料サービスです。
https://www.pacer.gov/

有料サービスなので、
即座に利用するためにはクレジットカードを登録する必要があるのですが、
これが、どうにも上手く登録できません。
理由は、請求先の住所が合致しないためです。

これまで、
どの国のどんな民間サービスを利用する場合でも、
クレジットカードを拒絶された経験はないのですが、
「PACERは連邦機関によるサービスなので、
民間のAddress Verification System (AVS)とは異なる場合があります」
と注記があるように、
どうにも上手く行きません。

5営業日以内には、
登録した住所に起動コードを送付する、
とのことですが、
国外の住所にも送ってくれるのかは疑問です。

the Clerk of the Courtにメールして、
欲しいファイルをメールで送ってもらうように頼むのが早いのかもしれません。
https://www.quora.com/How-can-I-get-a-copy-of-a-complaint-as-a-third-party-that-is-not-the-plaintiff-or-defendant-filed-in-the-federal-court-system-of-the-United-States

(2016年2月2日追記)
今現在、PACERから起動コードは届いていません。
今日の子会社の新入社員の研修に、
PACER経由で使いたかった契約書(Tesla社のGTC)があったのですが、
間に合いませんでした。

(2016年2月3日追記)
子会社の新入社員の研修終了後、
帰宅したら、
PACERから起動コードが届いていました。
1日遅かった!
しかし、
無事に某メーカーのGTC(General Terms & Conditions)を入手できました。
これは公開情報ですので、
気兼ねなくレクチャー&セミナーに使用できます。

2016年1月18日月曜日

『法務担当者による米国民事訴訟対応マニュアル』(商事法務)

https://www.shojihomu.co.jp/publication?publicationId=1192356

BLJのブックガイドでも高評価だった本ですが、
内容のまとまった、かつ、非常に読み易い、良書だと思いました。
私の個人的評価としては、
2015年に発刊された法律関連本のベストです。

レイアウトの良さか、
文字の大きさ・フォントのおかげか、
内容以前にとにかく読み易いというのが、
私にとって何より良い点です。
もちろん、
内容もまとまっているのですが。

その読み易さは、
『アメリカ民事手続法 第2版』(弘文堂)の読み辛さと比べると、
歴然としています。
http://www.koubundou.co.jp/book/b155789.html

重要用語が日本語と英語で何度も併記されていて、
上記の読み易さと相俟って、
重要用語が日本語と英語で自然と記憶できそうなのが、
私には非常に有り難いです。

私は、
近い将来Deposition(証言録取)の通訳をしてみたいと思っているので、
その私にとって、
本書の価値は特に高いと思います。

おそらく今後、
法廷通訳人・司法通訳士の必読書になると思います。