2016年4月24日日曜日

「債務名義」という誤訳

某国での民事執行に備えて、
日本法での民事保全&民事執行の制度をおさらいしています。

そこで、
これまで常に違和感を覚えていたのが、
「債務名義」という単語です。

私は、
ある単語・表現に違和感を覚えると、
どうにも記憶できないという脳の持ち主で、
「債務名義」という単語も、
どうにも記憶できず、
口にする度に間違えていたりします。

そこで、
この壁をまず解消しておこうと、
(極めて低い壁ですが、、、)
語源を調べてみたところ、
やはり誤訳のようです。

「債務名義の原語は„Schuldtitel “です。„Schuld “は「責任」とか「債務」の意味で、確かに„Titel “は「名義」という意味もあります。しかし、„Titel “には「権限」とか「権限を示す証書」という意味もありますから、「債務証明書」とでも訳す方が原語のニュアンスに近くなります。」
http://www.irokawa.gr.jp/law/archives/3023/

「初代司法卿江藤新平は、近代的法制度の整備に尽力した箕作麟祥に対し、「誤訳をも亦妨げず、唯、速訳せよ」と言って外国法の翻訳を督励したそうです。これに象徴される先人の努力の甲斐あって、我が国は驚異的に短期間で西洋法を取り入れることに成功しました。しかし、他方で、誤訳も妨げられませんでした。」
との事情ですので、
訳の分からない法律用語が多いのも、
仕方がないのでしょう。

いずれにせよ、
民事保全&民事執行の制度を、
日本法&某国法でしっかりと理解しておこうと思います。

2016年4月13日水曜日

下請法対象企業に対する瑕疵担保条項案

ググッていて、
またもhitorihoumuさんのブログ記事にヒットしました。
ヒット率、異常に高いです。
それだけ、問題意識が似ているということでしょう。
http://hitorihoumu.blog47.fc2.com/?mode=m&no=137

(前略)
下請法を考慮して瑕疵担保条項を定めるとすれば、
単純に「瑕疵担保期間は6ヶ月間とする」という文言ではなく、
「買主は、製品に隠れた瑕疵を発見した場合、
 (1)返品の要求は納入後1年間、
 (2)やり直しの要求は納入後5年間(※同期間を自社の顧客との契約で定めていることが前提)、
 (3)損害賠償請求権の行使は納入後10年間を上限として、売主に対し行うことができる。」
という場合分けの条文を定めることがベストということになります。

とはいえ、こんな条件は下請事業者にあっさり拒否されて終わりだと思いますが・・・。
(後略)

保証違反時の対応選択肢に「返品」を入れなければ、
「買主と買主の顧客で定める期間」としても問題ないような気がしますが、
どうなのでしょうか。

2016年4月11日月曜日

受入検査の不合格品、過納品、瑕疵品などに対する買主の注意義務

民法400条で、
特定物債権における債務者の保管義務の通則として、
①「善良な管理者の注意義務」(善管注意義務)が定められていますが、
債権者の受領遅滞となるときは、
債務者の責任が軽減され、
③「悪意・重過失についてのみ責任を負う」となっています。
(※択一六法の民法400条に関する説明ですが、もう少し権威のある出典を見付けたいです)

そして、①②の間に、
「無償寄託」(民法659条)等で、
②「自己のためにするのと同一の注意義務」が、
民法では規定されているわけです。

まとめると、
①「善良な管理者の注意義務」(善管注意義務)
②「自己のためにするのと同一の注意義務」
③「悪意・重過失についてのみ責任を負う」
となりますが、
受入検査の不合格品、過納品、瑕疵品などに対する買主の注意義務が、
②と③のどちらになるのか分かりません。

上司にも聞いてみましたが、
結論は出ませんでした。

実務で問題になる可能性はほぼゼロとは思いますが、
想定は容易にできる問題なので、
少なくとも学説はありそうな気がするのですが、
見付けることができていません。

民法400条

債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。