2016年5月31日火曜日

BEPS (Base Erosion and Profit Shifting)

本日5月31日付けのCeongsuさんのブログエントリーに取り上げられていた、
国際租税の用語です。
http://ameblo.jp/legal-practice-in-house/entry-12165743993.html

日本語では一般的に「税源浸食と利益移転」と訳されているそうですが、
『BEPS』は、繋げて発音するのか、バラバラに発音するのかすら、分かりません。
http://www.meti.go.jp/policy/external_economy/toshi/kokusaisozei/beps/2014report.html

いずれにせよ、
今後ますます頻用される用語だと思いますので、
覚えておこうと思います。

2016年5月29日日曜日

東京五輪招致、買収禁止条項なし コンサルとの契約書

昨日の朝日新聞に、
件名の記事がありました。

ちょうど、
毎朝のskype英会話レッスンでこのトピックについて話していて、
私は「記者会見で「契約書に買収禁止条項は入れている」という説明がなかったということは、おそらく入れてなかったのだと思う」と講師に伝えていたので、
やはりそうだったか、という感じです。

「招致委関係者は「BT社は(IOCの倫理規定を)当然知っていると思い、明文化していなかった。他の海外コンサルタントとの契約も同様だ」と証言した。「コンサル会社を制限するような条項を入れれば、契約する会社はなくなるのではないか」とも話す。」

アホか、と思います。
特に最後の部分。
「意図的に贈賄させてます」と言っているようなものだと思います。

この招致委関係者の認識が、
もし招致委全体の認識であれば、
コンプライアンス意識に問題があると言えます。

そもそも、
この件を最初に報じたのは、
英国のガーディアン紙のようですし、
マスコミも含めて、
日本の経営トップ層は、
コンプライアンス意識に問題があるのではないかと思います。
https://www.theguardian.com/sport/2016/may/11/tokyo-olympics-payment-diack-2020-games

英国のガーディアン紙の各記事を読むと、
(めちゃめちゃ詳細に報道しています)
間違いなく贈賄はしていると思いますし、
日本の招致委の対応は、
英国の贈収賄禁止法(Bribery Act 2010)等に抵触するだろうと思います。

招致委には、
偉い人や有名な人ばかり大勢いて、
弁護士は一人もいなかったのだろうかと、
不思議に思います。
http://www.nga.gr.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/3/2h231220goriniinnmeibo.pdf

2016年5月28日土曜日

『雇用なしで生きる スペイン発「もうひとつの生き方」への挑戦 』(工藤律子)

http://www.amazon.co.jp/%E3%83%AB%E3%83%9D-%E9%9B%87%E7%94%A8%E3%81%AA%E3%81%97%E3%81%A7%E7%94%9F%E3%81%8D%E3%82%8B%E2%80%95%E2%80%95%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%82%A4%E3%83%B3%E7%99%BA%E3%80%8C%E3%82%82%E3%81%86%E3%81%B2%E3%81%A8%E3%81%A4%E3%81%AE%E7%94%9F%E3%81%8D%E6%96%B9%E3%80%8D%E3%81%B8%E3%81%AE%E6%8C%91%E6%88%A6-%E5%B7%A5%E8%97%A4-%E5%BE%8B%E5%AD%90/dp/4000229443

荒川区図書館で借りて読んだ後に、
改めて購入した本です。

『時間銀行』も、
本書で取り上げられていて、
その他にも、
『協働組合』形式の金融機関や、
スペインの片田舎にある共産主義の村などに、
(アンダルシア州セビリア県にあるMarinaledaという村です)
https://en.wikipedia.org/wiki/Marinaleda
内容に非常に感銘を受けました。

あまりに感銘を受けて、
スペイン語学習を再開しようとさえ思っているくらいです。

日本にもそういう機関があるのではないかと思い、
探してみましたが、
これまでのところ見付かっていません。

今後も探してみるつもりですが、
無いなら無いで、
自分で創る行動を取っていきたいと思います。

そのためにも、
まずは今の仕事に最善を尽くすこと、
そして、
仕事以外の時間を使って積極的に努力していくこと、
が重要だと思います。


2016年5月27日金曜日

法務部門以外との契約交渉

法務部門以外との契約交渉で、
こちらに交渉力がない場合、
(競合他社がいくらでもあり、取引をしないという選択肢を持てない場合など)
少なくとも法務的には、
まったく理屈の通っていない論理で、
契約条件が決まってしまうケースがほとんどです。

こんな場合には、
どうすれば良いのでしょうか?

諦める、
という方法しか思い付きませんが、
精神衛生上、非常に悪いです。
要するに、腹が立つ、ということです。

せめて、
少しは「なるほど」と思えるような理屈を使ってもらえると、
こちらとしても納得しやすいのですが。

とりあえず、
腹が立ったら、
『独占禁止法』のように、
公的な規制が多い法律分野を勉強するというのが、
最も建設的な対応かもしれません。

法務以外の分野を勉強するというのが、
さらに建設的な対応なのかもしれませんが。

2016年5月26日木曜日

共同開発品の一手販売権

しばらく前に問題となった案件で、
おそらく共同開発品と思われる製品の一手販売権が問題となったことがあります。

いつものように、
取り敢えず安全策で、
一手販売権についての言及は削除してもらったのですが、
昨年2015年に改正された『流通・取引慣行ガイドライン』に、
以下のような記述がありました。

第3部第1の3(1)
「、、、又は契約対象商品が総代理店となる事業者から技術供与を受けて製造され、若しくは当該事業者から製造委託されたものである場合は、原則として独占禁止法上問題とならない。」

この規定は、
「競争者間の総代理店契約」についての記述ですが、
競争者間で問題にならない以上、
非競争者間で問題にならないのは当然です。

ただし、
「技術供与を受けて製造」が、
「少しでも」なのか、「完全に」なのか、「その中間」なのかは不明です。
「若しくは」以降を考慮すると、
「完全に」と考えるのが合理的に思えます。

いずれによせ、
最終的には(言及を削除するという)同じ対応を取るにしても、
上記のような具体的な根拠を持っているか否かで、
説得力が違ってくると思います。

企業法務担当者の守備範囲は広過ぎて、
なかなか根拠を持つことは難しいですが、
(私の場合、他の事に興味があり過ぎることの方が大きな理由ですが)
商社の法務担当者として、
『競争法』や『契約法』など、
限られた範囲においては、
できるだけプロだと思われるような対応ができるようになりたいと思います。

設定値が低過ぎますね、、、

2016年5月25日水曜日

『フィリピン進出法務と子会社コンプライアンス』@大江橋法律事務所

昨夜、
件名のセミナーに参加してきました。

大江橋法律事務所が、
Marose弁護士以外にも、
http://www.ohebashi.com/Lawyers/marose.html
フィリピン法弁護士(Jason Jose R. Jiao)を雇用しているというのは、
http://www.ohebashi.com/Lawyers/jiao.html
正直、驚きでした。

経歴を見ると、
同じように、
University of the Philippinesのロースクールを経て、
(Marose弁護士が2年先輩)
九州大学法科大学院に留学していることから、
(こちらはJason弁護士が1年先輩)
おそらくMarose弁護士は、
Jason弁護士の紹介で、
大江橋法律事務所に入ったのだろうと思います。
(Jason弁護士が少なくとも2年先輩)

いずれにせよ、
2人共に英語が堪能&少し話せば分かるほどにクレバーで、
なぜこの人たちのような弁護士と、
自分は仕事をしていないのかと、
改めて凹みました。

ちなみに、
フィリピンで一審判決後に、
motion for retrial or reconsiderationの手続きが存在する理由については、
両弁護士共に、別の人に以前聞いたのと同じ回答でした。
そして、
同様の制度が、
控訴審判決後にも存在するそうです、、、

また、
↓このサイトは、
セミナーの内容と重複していて参考になります。
http://www.kuno-cpa.co.jp/tcf/philippines/information_2.html

2016年5月23日月曜日

「Recipient」×「Receiving Party」

私の所属企業の販売先となる、
米国の某大手メーカーが起案してきたNDAで、
「秘密情報の受領者」が「recipient」と表現されていました。

今回のNDAは、
私の所属企業&仕入先との3者契約なのですが、
この仕入先は以前、別の案件において、
私が起案したNDAで、
「秘密情報の受領者」を「Recipient」と表現していたところ、
わざわざ「Receiving Party」に修正してきたことがあります。

今回のNDAは、
PDFファイルで送られてきましたので、
おそらく何も言ってこないと思いますが、
もしWordファイルだったら、
やはり「receiving party」に修正するよう要請してきたのか、
それとも、
「米国の」大手メーカーが起案という理由から、
何も言ってこないのか、
気になります。

そもそも、
私が起案したNDAで、
わざわざ「Recipient」を「Receiving Party」に修正してきた理由が何なのか、
聞いてみたいところです。

「何となく」という理由で、
他人の文章を直すのは止めて欲しいのですが、
おそらくそういう理由だろうと推測します。

2016年5月20日金曜日

『Antitrust Law』『Competition Law』

日本語では『競争法』と呼ばれる法分野で、
『Competition Law』と言う場合には理解しやすいのですが、
『Antitrust Law』と言う場合、
そもそも『Antitrust』って何だよ?
という疑問が生じます。

どこかで語源を読んだ記憶があるのですが、
思い出せないのでwikiってみたところ、
『History of United States antitrust law』というエントリーの中に、
以下の記述がありました。

Although "trust" had a technical legal meaning, the word was commonly used to denote big business, especially a large, growing manufacturing conglomerate of the sort that suddenly emerged in great numbers in the 1880s and 1890s.

要するに、
「trust」という英単語は、
法律用語としては「信託」を意味するわけですが、
一般的に「大企業」を意味する、
とのことです。

ちなみに、
Oxford Dictionariesで引いてみると、
「trust」を「大企業」の意味で使うのは米国英語で、
「A large company that has or attempts to gain monopolistic control of a market.」
(市場の独占的支配力を持つ、または、狙う、大企業)
という意味の「古臭い英語」とのことです。
("Archaic"ではなく"Dated"と説明されているので、今でも稀に使うということでしょう)

最初からOxford Dictionariesで「trust」を引いてみれば良かっただけですが、
より納得が出来て良かったです。

英国人は『Antitrust Law』という用語に違和感を覚えるのか、
聞いてみたいところです。

2016年5月19日木曜日

単独株主

「単独株主権」は、
一株でも持っていれば行使できる株主の権利で、
一定割合または一定数以上の株式を保有する株主のみが行使できる権利である「少数株主権」と、
対比的な概念です。

したがって、
「sole shareholder」の訳語として、
「単独株主」は不適切で、
「一人株主」が適切な訳語となります。

こういう小ネタを日頃から蓄積しておいて、
必要に応じて披露できるように準備しておくと、
話が盛り上がったり、
私自身の信頼度が増したりするなと、
昨日の村尾龍雄弁護士との面談で思いました。

また、
佐藤優さんが繰り返し書いていることですが、
歴史上重要な出来事の年号を正確に記憶しておくことも、
話が盛り上がったり、
私自身の信頼度が増したりするなと、
昨日の村尾龍雄弁護士との面談で改めて思いました。

2016年5月16日月曜日

Kindleアカウントの統合

そろそろ、
日米のKindleアカウントを統合しようと思うのですが、
なかなかに難しそうでです。
http://ywnb.net/p/201412/1063
http://matome.naver.jp/odai/2136887174115423601

一つの代替案としては、
もう一台Kindleを購入して、
一台を日本のアカウント用、
もう一台を米国のアカウント用として使い分けることですが、
その持ち替えも面倒そうです。

反面、
アカウントを統合すると、
その後、
日米のamazonサイトの両方からKindle形式で購入するのが、
面倒そうです。
http://hint-life.hateblo.jp/entry/2015/02/24/152836

結局、
日米のamazonサイトから購入できる、
Kindle形式の本の品揃えが同じであれば問題ないのですが、
そういう訳でもなさそうなのが悩みどころです。

(追記)
現在、
2台持ちで、
一台を日本のアカウント用、
もう一台を米国のアカウント用として使い分けていますが、
結局、
iPadアプリを日本のアカウント用、
Webサイトを米国のアカウント用として、
ほとんどiPadで読んでます。

全く意味がないですね、、、

2016年5月10日火曜日

フィリピンの委任状書式

フィリピンの公官庁が配布している書式でも、
http://jakartape.dfa.gov.ph/images/Forms/Special%20Power%20of%20Attorney.pdf
一般的な英語的感覚からすると、
訳の分からない表現が頻出しているので、
一通り翻訳&解説を準備しておくと、
役に立つと思います。

ググると、
質問している人は結構いるけれど、
回答している人はほとんどおらず、
正しく回答している人は皆無のようなので。

"in or about the premises"
という表現もフィリピンの委任状書式に頻出しますが、
意味がよく分かりません。

ググると約316,000件ヒットしますが、
(フィリピンを除く)ほとんどは、
「問題となっている場所付近で」という意味で使用されています。

どうやら、
"related to the subject matter"というような意味で使用されているようですが、
フィリピンの公官庁&もしかしたら法曹関係者も、
あまり深く考えないで(英語としては間違って)使っている表現なのかもしれません。

もっとも、
フィリピンで使用される英語書式の翻訳&解説は、
ニッチなニーズでしょうから、
お金には全くならないでしょう。

おそらく、
フィリピン人全般の英語を読み書きするレベルは、
日本人と比べても低いと思いますので、
かなり適当な英文でも問題なく通用するのだろうと思いますし。

某フィリピン法弁護士が、
あの英語の読み書きレベルで弁護士としてやっているのですから、
(本当に、やっていたのだろうか?)
推して知るべしです。

2016年5月9日月曜日

取引拒絶と排他的取引

『ビジネスを促進する独禁法の道標』(LexisNexis)を、
繰り返し熟読しているのですが、
http://www.amazon.co.jp/dp/490806945X/sr=8-1/qid=1462762493/ref=olp_product_details?_encoding=UTF8&me=&qid=1462762493&sr=8-1
大江橋法律事務所の石井崇弁護士による、
第1章第1編がとにかく分かりにくくて、
困っています。
http://www.ohebashi.com/Lawyers/ishii_takashi.html

主な理由は、
私に独禁法の素養がなく、
いきなり同書から読んでいるからだと思いますが、
それを差し引いても、
日本語が酷いと感じます。

一番混乱しているのは、
「取引拒絶」という単語が、
正確にどのような意味で使用されているのか理解できないことです。

どうやら、
「単独の取引拒絶」は、
「単独の事業者による取引拒絶」という意味で、
「(単独の)間接の取引拒絶」は、
「(単独の事業者である)取引先に自己の特定の競争者との取引を拒絶させること」という意味のようです。

そして、
独禁法上規制される「単独の取引拒絶」は、
競争への悪影響が大きい場合には「私的独占」(独禁法2条5項)、
競争への悪影響が小さい場合には「不公正な取引方法」(一般指定2項「その他の取引拒絶」)、
に該当する場合だそうです。

つまり、
「その他の取引拒絶」は、
「単独の事業者による取引拒絶で、独禁法上規制されるもののうち、競争への悪影響が小さい場合」という意味になるようです。

本当に勘弁して欲しいと思います。

2016年5月6日金曜日

独占的販売店&特約店制度

何度遭遇してもスッキリしないのが、
『独占的販売店』の合法性です。

某県において、某販売先を、『独占的販売店』に指定することが、
独占禁止法上、問題となるのか否か。

いろいろ調べても、
禁止する条項はないように思えますし、
また、
『独占的販売店』契約を締結する際の注意点を列挙したものも、
多数見かけます。
(最低購買数量の設定、契約解除事由の明記など)

したがって、
普通に許されていることとも思えますが、
私自身の価値観として、
どうにもスッキリしないのです。

例えば、
本当によくあるパターンですが、
単に昔から取引をしているというだけの理由で、
他社から引き合いがあった際に、
そこから買ってくれと言うのは、
独占禁止法上、本当に問題とならないのか?

対象製品に競合品があれば、
つまりは(親会社と合わせて)「有力なメーカー」に該当しない場合には、
そして究極的には「価格が維持されるおそれ」がない場合には、
問題とはならない、
という理解で正しいのでしょうか?

いわゆる『特約店制度』というものが、
私にはどうにも理解できないのです。

理解できないというのは、
適法に存在している制度なのか、
それとも、
違法なのだけれど、
誰もがしていることなので問題となっていない制度なのか、
(したがって、文書等では明記することを避けた方が安全な制度なのか)
という点が、
理解できないのです。

大手メーカーであれば、
おそらく日本全国網の目のように張り巡らされている『特約店制度』ですが、
例えば米国企業&当局から見れば、
非関税障壁の一つに見えるのではないでしょうか?

弁護士の中でも、
いわゆる頭の良いと思われる弁護士が、
独占禁止法に嵌るのは、
この「分からなさ」だったりするのかな?
と思ったりします。
挑戦心を駆り立てられるという。

『排他条件付取引』(一般指定第11項)にも関わってきそうなので、
今後、集中的に勉強しようかとも思っています。
http://www.mikiya.gr.jp/Exclusive.html