2016年8月31日水曜日

製造物責任条項

8/27付けのhitorihoumuさんのブログ記事で、
『製造物責任条項』を取り上げていました。
http://hitorihoumu.blog47.fc2.com/blog-entry-526.html

確かに、
「製造物責任法は全部で6条しかない短い法律であり、製造業者等の損害賠償の責任しか定められておらず、行政調査に対する情報提供・誠実な協力義務については定められていません。」
ということから、
仕入先から十分な情報収集が出来ず、
結果として(特に国外の)行政から情報を隠蔽していると思われて、
制裁を受ける危険性が商社にはあります。

したがって、
「以前の記事に記載した「補償」と「情報提供・協力義務」という観点から、サプライヤーとの基本契約には、製造物責任条項はしっかり定めて取り交したい」
というのは、
本当にその通りだと思います。

特に、
今年度内に改訂予定の英文雛形には、
しっかりと記載しておこうと考えています。

2016年8月25日木曜日

DV被害女性ら「違憲」提訴 「夫婦の子」否認できるのは夫だけ

2016年6月20日(月)の朝日新聞の記事の、
その後の展開ですが、
昨日8月24日(水)に、
神戸地裁に提訴したとのことです。

代理人は当然、作花知志(さっかともし)弁護士です。

個人的には、
実の父親に認知を求める方法を簡便化したり、
そもそも戸籍を取得するのに父親の関与を不要として、
(DV加害者である)元夫の関与を不要とすれば良いだけでは?
と思いますが、
(さらに個人的には、単純に戸籍制度を廃止すれば良いだけ、と思いますが)
より深い理由や経緯があるのでしょう。

何をもって『DV加害者』とするかその基準が難しいかもしれませんし、
その(おそらく公的な)基準に達してなくても、
絶対に会いたくないというケースも多そうですし。

しかし、作花弁護士は、凄いですね。

2016年8月24日水曜日

相続法改正の中間試案

今日から始まった朝日新聞の連載記事でようやく知りましたが、
今年6月に、相続法改正の中間試案が出ていたそうです。
http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900291.html

(民法の)相続法は、
生活への直接的影響が極めて大きい法律なので、
非常に興味深いです。

個人的には、
両親にほとんど財産がないので、
あまり関係のない話なのですが、
『遺言』の制度と、
『遺留分』(民法1028条~)の保障制度は、
どうにかして欲しいと思いますので、
初めて意見公募に応じてみようと思っています。

具体的には、
『自筆証書遺言』(民法968条)
『公正証書遺言』(民法969条)
『秘密証書遺言』(民法970条)
の方式に加えて、
公証人の代わりに弁護士が関与する、
より簡易な方式が利用できれば良いなと思います。
現状ですと、
公証人が関与しない方式は、
煩雑な『自筆証書遺言』だけなので。

しかし、
中間試案を読んだだけでは、
改正の意図が理解できず、
「民法(相続関係)等の改正に関する中間試案の補足説明」
を読んでようやく理解できるというのは、
法務マンとしては失格なのだろうなと、
反省させられました。

2016年8月21日日曜日

テナント弁護士

『訴訟ホールド』についてググッている時に、
「駒澤綜合法律事務所」という法律事務所のページにヒットしたのですが、
http://www.comit.jp/BLTJ/civilpro/LS/kiso.htm
同事務所では、
「テナント弁護士」を常時募集しているようです。
http://komazawalegal.org/?page_id=43

要するに「ノキ弁」ですよね。
販売員を「セールス・レプリゼンタティブ」と言うのと、
同じ匂いがします。

2016年8月18日木曜日

米国における2種類の医師(MDとOD)

米国で一般に医師(physicians, medical doctors)と呼ばれる人たちには、
the Doctor of Medicine degree (MD)というライセンスを持っている医師と、
the Doctor of Osteopathic Medicine degree (DO)というライセンスを持っている医師の、
2種類の医師がいるということを、
今日、初めて知りました。

オステオパシーと言うと、
日本人にとってはカイロプラクティックの延長のようなもの、
という認識が一般的だと思いますが、
米国では、
「DO医学生がオステオパシー整体医学を学ぶことを除いて、MDとDOの医学教育は、ほぼ同じである」
(Other than DO medical students learning osteopathic manipulative medicine, the medical training for MDs and DOs is virtually indistinguishable.)
とのことです。
https://en.wikipedia.org/wiki/Comparison_of_MD_and_DO_in_the_United_States

なるほど、
「カイロプラクティック」や、
「頭蓋オステオパシー」(クラニオセイクラルセラピー)との関係も、
複雑そうです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%AA%E3%83%91%E3%82%B7%E3%83%BC

正確な実情は、
実際に米国に住んでみないと、
理解できないでしょうね。

2016年8月8日月曜日

アマゾンに立ち入り検査 公取委、独禁法違反の疑いで

2016年8月8日の朝日新聞の記事です。

上記の記事によると、
今回の「不公正な取引方法」は、
「拘束条件付き取引」(独禁法2条9項6号による「一般指定12項」)
とのことです。

具体的に対象となったのは、
下記の、いわゆる「最恵条件条項」のようです。
・ライバル社に有利な条件を提供する時はアマゾンに通知する
・最低でもライバル社と同条件でアマゾンと契約する

競争者一般と取引しないことを条件としているわけではないので、
「排他条件付き取引」(独禁法2条9項6号による「一般指定11項」)には該当せず、
また、
「再販売価格を拘束」(独禁法2条9項4号)しているわけでもないので、
キャッチオール的な「拘束条件付き取引」での立ち入り検査となったのでしょう。

今回このような契約書上の条件が公取委に摘発されたというのは、
日本法を準拠法とした契約書を審査する際には役に立ちそうですが、
私が業務でよく見掛けるのは、
日本法以外を準拠法とした英文契約書上ですので、
私の業務では、あまり役には立たなさそうです。

2016年8月5日金曜日

「straight bill」の日本語訳

「Bill of Lading」(船荷証券)の一種に、
「straight bill」と呼ばれる、
受取人を記名した船荷証券があります。

たとえば、
「記名式船荷証券」を英辞郎で引くと、
「straight B/L」が出てきますし、
たいていどのウェブサイトを見ても、
「straight B/L」の日本語訳として「記名式船荷証券」が使用されています。

しかし、
日本法では、
国際海上物品運送法10条で、
船荷証券の扱いについて、
商法574条を準用しており、
「貨物引換証は其記名式なるときと雖も裏書に依りて之を譲渡すことを得。但貨物引換証に裏書を禁する旨を記載したるときは此限に在らず。」(商法574条)
ということから、
受取人を記名しても、
「裏書を禁する旨を記載」しない限り、
裏書譲渡ができるのに対して、
米国法では、
「straight bill」は裏書譲渡ができず(=non-negotiable)、
単なる(運送人が発行する)「受領書」「運送契約書」でしかなく、
「straight bill」を持っているだけでは荷物を引き取ることはできません。
(荷物を引き取るためには記名されている本人であることを証明する必要があります)

したがって、
場合によっては「straight bill」を「記名式船荷証券」と訳すのは正確でなく、
「譲渡禁止船荷証券」と訳すのが正しいと思います。

単純に横のモノを縦にするだけではダメだという、
典型例だと思います。