2016年12月22日木曜日

『The Nine: Inside the Secret World of the Supreme Court』(Jeffrey Toobin著)

The Nine: Inside the Secret World of the Supreme Court』は、
Business Law Journal(ビジネスロージャーナル) 2017年 02 月号 [雑誌]』のブッグガイドで取り上げた、
The Oath: The Obama White House and The Supreme Court』(2012年)
の前作です。

2007年にハードカバー版で、
2008年にペーパーバック版で出版されたベストセラーで、
日本でも2013年に翻訳書が『ザ・ナイン ---アメリカ連邦最高裁の素顔』(増子久美訳/鈴木淑美訳)として出版されており、
主に1986年のウィリアム・レンキスト前長官の長官就任から、
2005年のジョン・ロバーツ現長官の長官就任を経て、
2007~2008年開廷期までの米国最高裁の動向を描いたドキュメンタリー本です。

本書の続編である、
『The Oath: The Obama White House and the Supreme Court』(2012年)
以降、現在までの米国最高裁の展開を知るには、
また別の本や記事を読む必要がありますが、
その概要をフォローするには、
『The New York Times』紙のまとめ記事が分かり易くておすすめです。

本ブログの過去記事からもアクセスできますので、
『SCOTUS』で選択してください。

もう少し時間のある方には、
有名ブログ「SCOTUSblog」がお勧めです。

さらに時間のある方には、
米国最高裁のオフィシャル・ウェブサイトもお勧めです。
今後おそらく、
スカーリア判事の死亡~
オバマ大統領によるガーランド連邦高裁判事の指名~
共和党による承認審議の拒否~
トランプ大統領による新たな判事の指名~
共和党による承認までの過程を扱った、
続編が書かれるのではないかと思います。
(書名は「The Eight」になるのではないでしょうか)

ちなみにJeffrey Toobin氏の最新作は、
『America heiress: the wild saga of the kidnapping, crimes and trial of Patty Hearst』(2016年)で、
『ストックホルム・シンドローム』の名を一躍有名にした、
『パトリシア・ハースト事件』(1974年)を題材とした本です。

法務との関係は薄いですが、
1970~80年代の米国の政治・社会情勢がいきいきと描写されていて非常に面白く、
こちらもお勧めです。

本書の映画化権利はFox 200 Picturesが購入済みで、
(私が大好きな)ジェニファー・ローレンスを主役に製作予定との噂がありました。
現時点での製作状況は不明ですが、
そのうち映画化されることは間違いないでしょう。

2016年12月21日水曜日

『Business Law Journal』2017年2月号

本日12月21日(水)に発売された、
Business Law Journal(ビジネスロージャーナル) 2017年 02 月号 [雑誌] 』ですが、
特集の『法務のためのブックガイド2017』に、
私も2ページ寄稿しました。
http://www.businesslaw.jp/contents/201702.html

依頼されていた文字数よりも、
提出した記事の文字数がだいぶ多くなってしまったため、
BLJ編集部の方にかなり削って頂きました。
BLJ編集部の方、ありがとうございました。

その削られた部分を中心とした書評記事を、
明日アップしますので、
ぜひそちらもお読みください。

今回は、
2007年、2013年、2016年出版の3冊について書きましたが、
もし来年も依頼されることがあれば、
2017年に出版された本だけについて書きたいと思います。

2016年12月14日水曜日

中国法における瑕疵担保期間の考え方

中国企業相手の売買契約における瑕疵担保期間についてググッていて、
またもhitorihoumuさんのブログ記事にヒットしました。

ちなみに、
検索ワードは「中国法 瑕疵担保期間」です。

他のソースを見ても、
原則は「2年」で(民法通則135条)、
起算点は「権利の侵害を知り、または知ることができた時」のようです(民法通則137条)。

第一百三十五条 向人民法院请求保护民事权利的诉讼时效期间为二年,法律另有规定的除外。
(人民法院に対して民事権利を保護するために請求をする訴訟時効の期間は2年。法律で除外する規定あり。)

第一百三十七条 诉讼时效期间从知道或者应当知道权利被侵害时起计算。但是,从权利被侵害之日起超过二十年的,人民法院不予保护。有特殊情况的,人民法院可以延长诉讼时效期间。
(訴訟時効期間は、権利の侵害を知り、または知ることができたときから起算する。(後略))

正確には、
瑕疵担保期間ではなく、出訴期限=訴訟時効ですが、
時効の中断事由が、
日本法と異なり、
催告後6カ月に訴訟など提起する必要なく(民法153条)、
催告しただけで2年ずつリセットされるようです(民法通則140条)。

しかし、
いずれにせよ、
販売先と仕入先とでギャップが生じないなら、
具体的な期間で合意しておくことが安全というのは、
何法でも変わりませんし、
(特に私にとって)中国法の分からなさを考えると、
なおさらそう言えます。

2016年12月7日水曜日

親子断絶防止法案

超党派の国会議員(約70名)が所属する「親子断絶防止議員連盟」が、
面会交流の実施などを促す「親子断絶防止法案」の提出に向けて、
検討を重ねているとのことです。

以下、『弁護士ドットコム』に掲載されていた、
事務局長である馳浩衆議院議員(自民党)のインタビュー記事ですが、
個人的には、非常に不満です。
いわゆる『親権者の良心』に期待する部分は、
制度的に、できるだけ減らした方が良いと、私は思います。

罰則のない『理念法』を、
どれだけ労力を掛けて作っても、
非常に効率が悪いと思います。

(インタビュー前編)
https://www.bengo4.com/c_3/n_5438/

(インタビュー後篇)
https://www.bengo4.com/c_3/n_5439/

2016年12月3日土曜日

開催レポート「『英文契約書レビューに役立つアメリカ契約実務の基礎』出版記念無料セミナー」

12月2日(金)、
アンダーソン・毛利・友常法律事務所の、
石原坦・弁護士と、
島田充生・弁護士による、
無料セミナーを開催いたしました。

10月17日(月)、レクシスネクシス・ジャパン社から出版された、
出版記念セミナーです。

当日は、
40人を超える参加者に集まっていただき、
その後、
近くのメキシコ料理店での交流会も大盛況でした。

セミナー内容は、
11月28日(月)&12月1日(木)に、
アンダーソン・毛利・友常法律事務所で開催されたセミナーから、
土屋智恵子・弁護士による「仲裁」部分を抜いたものでしたが、
その後の活発な質疑応答と併せて、
非常に有益な内容でした。

参加者の皆さん、
そして誰よりも、
石原弁護士&島田弁護士、
本当にありがとうございました。