2017年1月31日火曜日

米司法省サリー・イェイツ長官代理が解任

米国時間で1月30日、
トランプ大統領が命じた中東・アフリカ7カ国からの入国禁止措置について、
大統領令に従わないよう同省に通知した、
米司法省サリー・イェイツ長官代理が解任されました。

元々、民主党の人なので、
当然の流れと言えば、当然の流れです。

後任は、
ダナ・ボエンテ連邦検事(ヴァージニア州東地区)。
https://en.wikipedia.org/wiki/Dana_Boente

ちなみに、
サリー・イェイツ「前」長官代理は、
企業犯罪において個人の責任を積極的に追及していく方針を表明した、
いわゆる『Yates Memo』の著者です。
https://www.justice.gov/dag/file/769036/download

そして、
その前の司法長官は、
黒人女性として初めて司法長官になったロレッタ・リンチ女史。
https://en.wikipedia.org/wiki/Loretta_Lynch

さらにその前の司法長官は、
私も個人的に付き合いのある法律事務所、
Covington & Burlingで司法長官就任まで勤務していた&辞任後戻った、
黒人男性として初めて司法長官になったエリック・ホルダー氏。
https://en.wikipedia.org/wiki/Eric_Holder

こう書いていくと、
米司法省長官も、
何となく親しみが湧いてくるのが不思議です(笑)。

2017年1月26日木曜日

東芝、原発工事の撤退検討 設計・納入に専念 損失防止策

2017年1月26日の朝日新聞の記事です。

「原発新設の事業は、設計、原子炉などの納入、建設工事の三つに大きく分かれ、東芝の米原発子会社ウェスチングハウス(WH)は設計や原子炉などの納入を手がけてきた。今回の損失計上は、遅れていた原発4基の工事を進めるため、WHが建設工事の会社を15年末に買収し、建設工事を自前で手がけるようになったことがきっかけ。買収後に費用が大きく膨らんだ。」

これ、
WHが建設工事会社と紛争になって、
そのままだと引当金を積まなければならないなどして、
東芝全体が債務超過に陥る危険性があるため、
時間稼ぎのために、
その紛争相手だった建設工事会社を買収したと聞いていたのですが、
違っていたようです。

少し調べてみたところ、
2015年10月29日付のForbesの記事を見付けました。
http://www.forbes.com/sites/williampentland/2015/10/29/why-chicago-bridge-iron-sold-its-nuclear-business-to-westinghouse/#194864ef158e

電気会社側とWH&建設工事会社側との訴訟は、
2012年11月1日午前8時から始まっており、
お互いが別の州で提訴したことから、
どちらが原告となり、どの州で裁判するのかが決まるまでに、まず1年掛かり、
(その判決です↓)
https://www.cadc.uscourts.gov/internet/opinions.nsf/8B6AB6641655E38085257E0400525346/%24file/13-7151-1541465.pdf
その後の裁判の進行も良い感じではなかったので、
建設工事会社(CB&I)が損失を確定してでも、
裁判&賠償責任から抜けたがった、
というのが真相のようです。

WHとCB&Iが紛争になったのは、
CB&Iの原発工事部門(CB&I Stone & Webster Inc.)を、
WHが買収した後のようです。

2016年12月28日付のReutersの記事です。
http://www.reuters.com/article/us-toshiba-accounting-workingcapital-idUSKBN14H1WT

改めて、
会計周りの知識&英語を入れておく必要性を感じました。

ちなみに、
上記の訴訟競合ですが、
契約書のVenue(裁判管轄)条項には、
the parties "agree to the non-exclusive jurisdiction of the United States District Court for the District of Columbia for any legal proceedings" arising out of the contract and "accept, generally and unconditionally, the jurisdiction" of that court.
Each party waives the right to challenge cases brought in the D.C. District Court "on the basis of forum non-conveniens or improper venue".
と規定されていて、
さらに、
the parties do not "waive any first-to-file challenges to venue."
と規定されていたとのことです。

結局、
DCへの提訴は却下されて、
ジョージア州南地区への提訴が認められたわけですが、
何を追記したところで、
「the non-exclusive jurisdiction」ではダメだということだと思います。

もっとも、
「the exclusive jurisdiction」と規定していたとしても、
DCへの提訴が認められたかは怪しいと思いますが。

(2017年2月2日追記)
いろいろなニュース記事を読むと、
やはり、
WHがCB&Iの原発工事部門(CB&I Stone & Webster Inc.)と紛争になって、
その解決≒時間稼ぎのために、
買収したようですね。

今日、
東芝によるWHの株式保有を、
現在の87%から50%強まで引き下げる方針が報道されましたが、
いくらの値が付くのか興味深いです。

2017年1月25日水曜日

3月10日開催「法務担当者にとっての米国法知識の重要性」無料レクチャー&パネルディスカッション

昨年12月2日に、
英文契約書レビューに役立つ アメリカ契約実務の基礎』(レクシスネクシス・ジャパン株式会社)の、
出版記念無料セミナーを開催していただいた、
アンダーソン・毛利・友常法律事務所の石原(坦)弁護士を再びお迎えして、
「法務担当者にとっての米国法知識の重要性」と題して、
セミナーおよびパネルディスカッションをしていただけることになりました。

パネルディスカッションでは、
特にカリフォルニア州の司法試験合格に向けた勉強法に焦点を当てますので、
受験生の方や、これからLL.M.取得を検討されている方は、
必聴です!

開催日時は、
3月10日(金)19時~20時(18時30分開場)
開催場所は、
新橋某所で、
お申込みいただいた方に個別にお知らせいたします。

つきましては、
『先着30名』様限定でご招待いたしますので、
参加をご希望の方は、
私のWebサイト『商社法務.jp』の、
『お問い合わせ』をクリックして表示されるフォームに、
名前とメールアドレスに加えて、
メッセージ欄に所属会社名と法務経験年数をご記入の上、
お申込みください。

ご記入いただいた個人情報は、
Webサイト『商社法務.jp』上には表示されませんし、
また、
上記申し込みの目的のためにのみ使用させて頂くことをお約束します。 

また、
事前質問がある方も、
メッセージ欄にご記入ください。

折り返し、
こちらから会場など必要事項をご連絡いたします。

当日は続けて、
第17回「新橋・法務交流会」も開催いたしますので、
(石原弁護士もご参加されます)
個別に質問したい方などは、
併せてご参加ください。

以上、お申込みお待ちしています!

(2月12日追記)
第17回「新橋・法務交流会」の方は定員となりましたので、
募集を打ち切らせていただきます。
多数のお申込み、ありがとうございました。

セミナーおよびパネルディスカッションの方は、
まだまだ大丈夫です。
お申込みお待ちしています!

2017年1月12日木曜日

『注意義務』を英語でどう表現すべきか?

先日、
某米国企業の子会社である某中国企業から、
中国法を準拠法とする、
『注意義務』が絡んだ契約書を、
英語で起案するよう依頼を受けたと、
私の会社の中国現地法人から、
依頼を受けました。

そうなると、
同僚から日本語で具体的な取引条件を聞き取り、
中国法の考え方に基づきながら、
取引先の米国人が最終判断をするかもしれないと思いつつ、
契約書を英語で起案する、
というややこしい話になります。

まあ、それはそれとして、
『注意義務』を英語でどう表現すべきか?という、
より一般的な問題が、
ここでも浮上します。

準拠法に関わらず、
『善良なる管理者の注意をもって』(いわゆる善管注意義務)を直訳して、
"with the care of a good manager"
"with the care of a good custodian"
としている契約書を見掛けますが、
相手から意味不明と言われることが多いため、
私は、
準拠法を日本法にできる場合にのみ、
時には(the "Zenkanchui-gimu" under Japanese laws)などという括弧書きも加えつつ、
上記の表現を使用しています。

米国の契約書や書籍を見る限り、
最善の、または、合理的な注意を払いつつ、
(with (commercially) best/reasonable care)
少なくとも自身の所有物を扱う以上の注意を払う、
(at least with the care the Company would use to handle its own property)
という感じが一般的なようです。
(Kenneth Adamsさんは、"reasonable"一本で行け、と言うでしょうが)

また、
そもそも!"care"という単語を使うこと自体が、
奇異に感じられるのではないか?
という疑問も湧きます。

"efforts""measures"と具体的な動詞との組み合わせで、
注意義務を表現するのが、
より一般的な気もします。
(take all reasonable measures necessary to keep the Confidential Information confidential)

2017年1月1日日曜日

新年のご挨拶(2017年)

新年、明けましておめでとうございます。

旧年中は、
多数の方々に、
TAYL(新橋・法務レクチャー会)&新橋・法務交流会にご参加いただき、
本当にありがとうございました。

特に、
プレゼンターを務めていただいた皆様に、
改めてお礼を申し上げます。

本年も、
新年度となる4月には、
TAYL7&新橋・法務交流会の開催を予定しています。

日程が固まり次第、
改めて本ブログでも告知いたしますので、
ぜひご参加ください。


以下、2017年に、
TAYL(新橋・法務レクチャー会)&新橋・法務交流会で、
やろうと考えているアイデアです。

・TAYL-preE(TAYL7)&法務交流会17(2017年4月21日(金)開催予定)
 初の英語法務レクチャー会の開催前に、
 『法務の英語』をテーマに、
 各社の法務担当者の業務における英語の使用状況と、
 そのための学習法を、
 プレゼンテーション&パネルディスカッションしたいと考えています。
 
・TAYL-E(TAYL8)&法務交流会18(2017年5月26日(金)開催予定)
 初の英語法務レクチャー会。

・TAYL-BBQ(2017年5月以降に開催予定)
 TAYL-preE(TAYL7)で告知予定。

・TAYL-O(2017年5月以降に開催予定)
 初の野外レクチャー会。
 TAYL-BBQで告知予定。

・PAYL1(Pay As You Like)
 初の有料法務レクチャー会。
 ぜひこの方を!というリクエストがありましたら、
 気軽にご提案ください!