2017年2月21日火曜日

東芝と米国電力会社との価格契約

いろいろなメディアで取り上げられていますが、
とりあえず、
2017年2月21日付の、日本経済新聞(電子版)の記事です。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO13149140Q7A220C1EA1000/?n_cid=NMAIL001

>「買収直後に結んだ価格契約が原因」と、ある幹部は打ち明ける。
要するに、
ここで工事費用の固定を、
米国の電力会社としてしまったことが、
今回の根本的な原因だったということでしょう。
もちろん、
そうせざるを得なかった、
それまでの経緯があるのでしょうが。

問題は、
この、ある意味単純な契約条件を、
原子力事業を統括してきた前会長の志賀重範と、
WH会長のダニエル・ロデリック氏以外、
東芝の経営陣が認識していなかったらしいことです。

果たして、
そんなことが起こり得るのか?

起こり得るとしたら、
東芝の構造的な問題か、
または、
志賀重範・前会長による取締役としての義務違反でしょう。

そういう観点から見ると、
まったく他人事ではないと思います。

日本側の問題としては、
東芝によるWH買収&その後の問題・失態により、
数兆円規模の金が、
日本から米国に流れた・流れることになります。

米国側の問題としては、
(個人的には『幸運』だと思いますが)
当面の間、
原発の新規建設がなくなるでしょう。

これが東芝という日本企業でなければ、
はるかに早い段階で、
チャプター11and/or公費投入ということになっていたでしょう。

米国側の原発政策も絡めて、
今回の事件について詳細に説明している、
2017年2月13日付のBloombergの記事です。
https://www.bloomberg.com/news/articles/2017-02-13/toshiba-s-nuclear-reactor-mess-winds-back-to-a-louisiana-swamp

この記事では、
Shaw Group Inc.という米国の新興企業(1987年設立)と、
その創業者であるJames Bernhard Jr.氏とが、
今回の事件で果たした中心的役割を取り上げています。

工事案件で、
ろくでもない工事屋を下請に使うと、
ろくでもないことになるのは、
ありふれた話ですが、
これだけの規模になると、
歴史的な話になりますね。

このBloombergの記事、
(少なくとも私は)これまで知らなかった経緯を取り上げていて、
とても参考になりますので、
東芝の問題に興味のある方は、
ぜひ読んでみてください。

シャープの問題は、
それほど興味が惹かれなかったのですが、
(それでも数冊のノンフィクション本は読みましたが)
東芝の問題は、
非常に興味が惹かれます。

おそらく、
米国、契約、訴訟、工事、原発など、
私が興味を持っていることに、
より関係しているからでしょう。

2017年2月20日月曜日

「会社に仕事を決められるのではなく、自分で仕事を決める」

2017年2月19日付の日立製作所による海外展開の記事の最後に、
「会社が進化するには、仕事は速いが自分で決めなくて、本質を考えないような『できる人』が変わる必要があります」
と書かれていました。
http://digital.asahi.com/articles/ASK1W7G49K1WULFA03T.html

よく言われている当たり前のことですが、
今日は凄く心に響きました。
何事も、受け取る側の問題ということでしょう。

――うまく仕事をさばく「できる人」が会社を滅ぼすと主張されていますね。
「仕事が速く『できる人』は、どうやるかという手段を考えるのが得意。半面、仕事の意味や意義を問うたり、会社の将来にとって何が必要かをあまり考えたりしない人です。そんなことを考える人は、社内で排除されがちでした。日本の多くの会社はさばくのがうまく、本質をあまり考えようとしない『できる人』が昇進する傾向があるのです。複雑な時代の経営には向いていません」

正に、私だと思いました。
(昇進する傾向はありませんが(泣))

――どうすればいいのでしょうか。
「会社に仕事を決められるのではなく、自分で仕事を決めるよう努めることが大切です。日立製作所のように子会社のトップとして自分で決断した人が親会社のトップに戻るケースも出始めました。会社が進化するには、仕事は速いが自分で決めなくて、本質を考えないような『できる人』が変わる必要があります」

「自分で仕事を決めるよう努める」ことを、
これから常に意識しようと思います。

非常に幸運なことに、
私の隣に座っている直属の上司が、
これを常に意識している人なので、
見習っていこうと思います。

2017年2月15日水曜日

米国:14歳の結婚が認められている米・ニューヨーク州

2月13日付(米国東部標準時間)の、
ヒューマン・ライツ・ウォッチによる記事です。
https://www.hrw.org/ja/news/2017/02/14/300136

「ニューヨーク州の現行法は結婚が認められる婚姻適齢を18歳以上と定めているものの、16歳・17歳の子どもは保護者の許可、14歳・15歳の子どもでもそれに加えて裁判官の許可を得られれば、例外的に結婚することができる。」
とのことですが、
ニューヨーク州で14歳の結婚が合法というのは、
驚きました。
おそらく歴史的な経緯があるのでしょうが。

とは言え、
すぐに16歳以下の結婚を非合法&17歳・18歳の結婚に裁判官の許可を必要とする法令が作られそうです。
http://www.wgrz.com/news/local/marriage-at-14-legal-in-ny-but-not-for-long/408299109

2017年2月12日日曜日

米入国禁止の大統領令、政権側の不服退ける 連邦控訴裁

朝日新聞の速報ですが、
米国時間2月9日、
連邦第9控訴裁(カリフォルニア州サンフランシスコ)が、
7カ国(イラン、イラク、リビア、ソマリア、スーダン、シリア、イエメン)の国民の入国を一時禁止した米大統領令について、
一時的な効力停止を維持する決定をしました。
http://digital.asahi.com/articles/ASK290HTXK28UHBI02Y.html?ref=flashmail

これは、
米国時間2月3日に出された、
ワシントン州西部地区による『暫定的差し止め命令』(temporary restraining order)を支持するものです。

この問題も、
オバマケアと同様に、
最終的には連邦最高裁に上げられることになると思います。

その場合のシナリオを、
『The Nine』『The Oath』の著者であるJeffrey Toobin氏が、
2月10日付の『The New Yorker』の記事にまとめています。
http://www.newyorker.com/news/daily-comment/the-vulnerabilities-in-the-ninth-circuits-executive-order-decision

この記事の中でToobin氏は、
連邦最高裁が米大統領令を支持する可能性のある論点として、
以下の4つのポイントを挙げています。

①憲法第3条に規定する、
当時者適格(standing)を満たさないのではないか?

今回のケースでは、
ワシントン州とミネソタ州が原告となっているわけですが、
その理由が、
「教授陣や学生たちへの影響により、州立大学の教育や研究が害される」
というものです。
教授陣や学生たち「自身」が提訴したのであれば、
何の問題もありませんが、
果たしてワシントン州やミネソタ州に当時者適格(standing)があるのかと。

②トランプ大統領は、
今回の大統領令を、
合衆国法典第8編第1182条(f)に基づいて出しているわけですが、
この制定法について、
連邦第9控訴裁は何の言及もしていないと。

③連邦第9控訴裁は、
今回の大統領令が基本的に「Due Process」違反であると判断しているわけですが、
その際に、主に「市民権」を持っている人たちに言及しているのですが、
今回の大統領令による影響を受ける人たちの大半は、
「市民権」を持っていない人たちであり、
そのような人たちの「Due Process」についての権利は遥かに弱いだろうと。

④原告側は、
今回の大統領令が「宗教による差別」であると主張しているわけですが、
この点についても、
入国の許可・不許可に関しては、
大統領に大きな裁量が与えられており、
原告側による「宗教による差別」であるとの主張が認められないかもしれない、
としています。

今回のケースが連邦最高裁に上げられることになれば、
おそらく、
いつものようにケネディ判事の判断次第になると思いますが、
移民や安全保障に関する大統領権限の根幹に係わってくるケースであり、
予断を許さない、
極めて興味深いケースになると思います。

(2月13日追記)
ちょうど1年前の「米国『テロリスト渡航防止法』施行開始」の記事へのアクセスが、
急に増えているので読み直してみたら、
その時=オバマ政権が指定した7カ国と同じですね。
http://shoshahomu.blogspot.jp/2016/02/blog-post_17.html

トランプ政権になって、
急に出てきた話というわけでもなさそうです。

(2月14日追記)
マイケル・フリン大統領補佐官(国家安全保障担当)の辞任により、
トランプ政権は当面、
(バノン首席戦略官が主導したと言われる)今回のケースを、
連邦最高裁に上げることはなさそうですね。

2017年2月9日木曜日

米上院、5票差でセッションズ司法長官を承認

日本時間で2月9日、
米国時間で2月8日、
米上院で、
トランプ大統領が司法長官に指名したジェフ・セッションズ氏(Jeff Sessions)が、
52対47の賛成多数で承認されました。
https://en.wikipedia.org/wiki/Jeff_Sessions

共和党議員全員と民主党議員1人の賛成を得たとのことですが、
ちなみにその民主党議員とは、
ジョー・マンチン上院議員(Joe Manchin)です。
https://en.wikipedia.org/wiki/Joe_Manchin

マンチン議員は、
民主党に所属しながらも、
中絶反対派&銃賛成派ということで、
共和党と親和性が高い議員のようです。

以下、日経新聞の記事です。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM09H2Z_Z00C17A2MM0000/

まず確実に承認されるであろう、
ゴーサッチ連邦最高裁判事候補の指名と共に、
米国司法の保守化がどこまで進むのか、
懸念されます。
同時に、
興味深くもありますが。

2017年2月8日水曜日

『医療機器参入/医療機器CEマーキング』セミナー

本日、
『医療機器参入/医療機器CEマーキング』セミナーを受講してきました。
http://md.sunflare.com/seminar/seminar_170201.html

内容は、
日本とEUの医療機器関連の法規制についてで、
主催は、
元々翻訳会社で、今は薬事コンサルティングサービスもしている、
株式会社サン・フレアです。
http://www.sunflare.com/

サン・フレアのセミナーを受講するのは、
2011年の震災直後に新田さんのセミナーを受講「しなかった」以来、
初めてです。
(要するに、初めてです)
http://www.wordvbalab.com/

しかし、
EUの医療機器関連の法規制は、
勉強するのが難しいですね。

とりあえず、
日本語&英語の入門書を探したのですが、
読者数が見込めないためでしょうが、
全く見つかりません。

Amazon Unlimitedで、
『Devine Guidance for Complying With the European Medical Device Directive Mdd: The Mdd 93/42/eec』
という本を入手して読んでいますが、
全く入門書ではない感じです。
ブログ記事かニュースレターを基にしている本らしく、
読みにくい英文&スペルミスも頻発です。
https://www.amazon.co.jp/Guidance-Complying-European-Medical-Directive/dp/1468137581/ref=sr_1_1?s=english-books&ie=UTF8&qid=1486525590&sr=1-1&keywords=medical+device+directive

講師の方にも聞きましたが、
入門書のようなものは知らない、
結局、条文を読むしかない、
と言われました。

今年上半期には、
新しい『Medical Device Regulation (MDR)』の最終版が出されるという話ですので、
この機会に理解しておきたいのですが、
正直、自信はありません。

2017年2月6日月曜日

下請代金の支払手段についての通達が改正

今まで気が付かなかったのが何とも間抜けなのですが、
今日2月6日(月)付のみずほ総合研究所株式会社からのニューズレターで、
下請代金の支払手段についての通達が、
なんと50年ぶりに改正されたことを知りました。

正確には、
2016年12月14日付で、
中小企業庁(=経済産業省の外局)と公正取引委員会の連名で、
全国約21万の親事業者及び約870の業界団体に対して、
通達『下請代金の支払手段について』が出されていたようです。
http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/2016/161214Shitauke2.pdf

これは、
2016年6月19日(日)の私のブログ記事でも言及した、
同じく中小企業庁と公正取引委員会による、
『下請代金の支払手形のサイト短縮について』という、
昭和41年の通達に代わるもので、
「120日手形」の根拠が、
昭和41年の通達だった以上、
この2016年の通達によって、
どのような効果が、どのような時期に、発生するのか、
懸念されます。
(下請事業者にとっては「期待されます」ですね)

「段階的に短縮に努めること」
「将来的には60 日以内とするよう努めること」
という文言なので、
契約書なら、
「努力目標」として、
あまり気にしなくて良いのでしょうが、
公官庁による通達ですから。

ちなみに、
約870の業界団体の1つであるだろう、
『一般社団法人 日本電設工業協会』のウェブサイトに、
中小企業庁&公正取引委員会からの書面が掲載されていました。
http://www.jeca.or.jp/je16sys/pdf/805.pdf

内容は、
まず、上記の通達『下請代金の支払手段について』、
次に、経済産業省&国土交通省&公正取引委員会の連名による、
通達『下請等中小企業の取引条件の改善に向けて』(2016年12月20日付け)。

その通達『下請等企業中小の取引条件の改善に向けて』には、
以下の3つがぶら下がっており、
まず、
①公正取引委員会による、
『下請代金支払遅延防止法に関する運用基準』(2016年12月14日改正、2017年4月1日施行開始)。
次に、
②経済産業省(=中小企業庁)による、
『下請中小企業振興法第3条第1項の規定に基づく振興基準』(2016年12月14日改正)
最後に、
③上記の通達『下請代金の支払手段について』

つまり、
通達『下請代金の支払手段について』を、
最初と最後に2回重複して掲載しているわけですが、
それだけ、
この通達のインパクトが大きいということだと思います。

以下、
各省庁のウェブサイトに掲載されている原文です。

①公正取引委員会
『下請代金支払遅延防止法に関する運用基準』
http://www.jftc.go.jp/shitauke/legislation/unyou.html
『下請代金の支払手段について​』
http://www.jftc.go.jp/shitauke/legislation/saito.html
『(平成28年12月14日)「下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準」の改正について』
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h28/dec/161214_1.html

②中小企業庁(=経済産業省)
『下請等中小企業の取引条件改善のため、振興基準の改正、通達の見直しを行いました』
http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/2016/161214Shitauke.htm
『業種別下請ガイドライン』
http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/ShitaukeGuideLineGyoushu.htm

いずれの改正も、
間に入る商社の存在は、
ほとんど考慮されていないように思えますが、
関係資料と併せて、
これから読み込んでいきます。

2017年2月1日水曜日

トランプ米大統領、連邦最高裁判事に保守派のゴーサッチ判事を指名

2017年1月31日(米国時間)、
トランプ米大統領が、
2016年2月に保守派のアントニン・スカーリア判事が死亡して以来、
1年近く空席が埋まらず「8人」のままとなっていた連邦最高裁判事に、
保守派のニール・ゴーサッチ(Neil Gorsuch)第10巡回区連邦控訴裁判所判事を指名しました。
https://en.wikipedia.org/wiki/Neil_Gorsuch

Wikipediaを読む限りでは、
前任者に負けず劣らず、
originalist(原意主義者)でtextualist(条文主義者)のようです。
https://en.wikipedia.org/wiki/Originalism
https://ja.wikipedia.org/wiki/司法条文主義

トランプ米大統領は、
選挙期間中から一貫して、
「スカーリア元判事のような判事たちを任命する」
("looking to appoint judges very much in the mold of Justice Scalia." )
と言っていたわけですから、
当然のことですが。

各連邦最高裁判事候補が、
どれだけスカーリア元判事に似ているかという、
「スカーリア基準」(Scalia Index)というものも議論されていて、
ゴーサッチ判事は、
トーマス・リー・ユタ州最高裁判所判事に次いで2位とのことでした。
http://www.usatoday.com/story/news/politics/2017/01/30/supreme-court-trump-scalia-pryor-gorsuch/97057474/

「スカーリア基準」は、
以下の3つの基準から構成されています。
①originalism(原意主義)
②スカーリア元判事が書いた「法律関係以外の」著作の引用数。
③どれだけ多くの「補足意見」「意見」「反対意見」を述べているか。
(多いほどスカーリア元判事に似ている)

元の論文もネット経由で読めますので、
興味のある方はどうぞ。
https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=2874794

ちなみにトーマス・リー判事は、
ぶっちぎりの1位ですが、
連邦最高裁の判例に拘束される連邦裁判事と異なり、
トーマス・リー判事はユタ州の最高裁判所判事ですので、
連邦裁判事であるゴーサッチ判事とは、
同じ土俵では比較できないと、
補足説明がされています。

しかし、
返す返すも、
16年3月にオバマ前大統領が連邦最高裁判事に指名した、
メリック・ガーランドDC巡回区連邦控訴裁判所判事について、
上院共和党が投票に掛けることを拒否していたのを、
オバマ前大統領が政治問題化しなかったことが悔やまれます。
https://en.wikipedia.org/wiki/Merrick_Garland

(上院選ではともかく)
大統領選では、
共和党に負けるはずがないという、
民主党上層部の油断があったように思えます。

ギンズバーグ判事が来月3月で84歳、
(「84歳」で最高裁判事を務めるって、その気力&体力が信じられません!)
https://en.wikipedia.org/wiki/Ruth_Bader_Ginsburg
ブライヤー判事が現在78歳であることを考えると、
https://en.wikipedia.org/wiki/Stephen_Breyer
連邦最高裁の右傾化は当面(=私が生きている間?)続きそうです。

(2017年2月12日追記)
今後の流れがscotusblogの2月7日付の記事に書かれていましたが、
http://www.scotusblog.com/2017/02/gorsuch-nomination-whats-next/
クローゼットから何かとんでもないモノが出て来ない限り、
遅かれ早かれ、
ゴーサッチ判事が上院で承認されるのは確実でしょう。

それでも、
「ゴーサッチ判事が承認された場合、民主党は何はともあれ、ガーランド判事が前代未聞の形で与えられなかった地位を与えられた人物として、ゴーサッチ判事の名前の横に常にアスタリスクマーク(=注意書きのマークです)が付くようにしようするだろう」
とのことです。

そして、
「本当に重要なのは、次の空席で、(民主党&共和党)両者共に、それが生じることは分かっている。唯一の疑問は、それが何時かということだ。」
と、記事は締めています。