2014年10月1日水曜日

預託在庫

今、「預託在庫」契約書を英訳しているのですが、
そもそも「預託在庫」を英語で何と表現するのが適切なのかを調べるのに、
時間が掛かりました。

「預託在庫 英語」単純にググると、
「deposit inventory」という英訳がヒットしますが、
逆に、
「deposit inventory」をググると、
とても「預託在庫」の意味で使用されているようには思えません。

英語を母国語とする翻訳者が、
「使用高払い」の英訳が分からないと、
Google Groupsの「Honyaku Mailing List 」で聞いていましたが、
結局、明確な回答は得られていませんでした。
https://groups.google.com/forum/#!topic/honyaku/AQkKaCpicuc

「委託販売」という意味で、
「consignment stock arrangement」という英語が使用されているようですが、
「委託販売」が、買主が第三者に販売(転売)することを想定しているのに対して、
「預託在庫」は、買主が売主から使用高購買することを想定していると思いますので、
これも微妙にズレているように感じます。
しかし、
http://www.legal500.com/developments/330
の説明が正しければ、
「預託在庫」と「consignment stock arrangement」は、
ズバリ同じ意味です。

残念ながら、
上記のウェブ記事を書いているのがNorwayの法律事務所で、
私は、経験上、Norway人の英語を信用していません。
日本人の英語と似て、
Norway人の英語も、
母国語であるNorway語に大きく影響を受けている、
という印象がありますので。

さらに調べていくと、
どうやら「預託在庫」という意味での「consignment stock arrangement」は、
英国で主に使用されている表現のようです。

今回はインドネシアの案件なので、
英国式の英語でも良いだろうと判断し、
(と言うと、英国人には不愉快に聞こえるかもしれませんが)
また、あまり時間を掛けるわけにもいかないので、
とりあえず今回は、
「consignment stock arrangement agreement」としました。

より適切な表現をご存じの方、
ご助言ください。

2014年9月17日水曜日

Sticks and Stones

今、『Sticks and Stones』という、いじめの本を読んでいるのですが、
http://www.amazon.co.jp/Sticks-Stones-Defeating-Rediscovering-Character-ebook/dp/B008WOULGE/ref=sr_1_8?ie=UTF8&qid=1410917563&sr=8-8&keywords=sticks+and+stones
そもそも『Sticks and Stones』とは、どういう意味なのか分かりませんでした。

そこで、wikipediaで調べてみたところ、
(ホント、今の世の中、便利ですね!)
子供向けの短い詩歌(children's rhyme)の一つだそうで、
Sticks and stones will break my bones
But words will never harm me.
または、
Sticks and stones may break my bones
But names will never hurt me.
の出だしの部分で、
要するに、悪口など言われても気にするな、
という意味だそうです。
http://en.wikipedia.org/wiki/Sticks_and_Stones_(nursery_rhyme)

このwikipediaのエントリーの最後に、
This sentiment is reflected in/reflects the common law of civil assault, which holds that mere name-calling does not give rise to a cause of action, while putting someone in fear of physical violence does.
とあり、
コモン・ローの「civil assault」(民事上の脅迫・暴行罪)においては、
身体的暴力の恐怖を与えない限り、
単なる悪口は訴因とはならない、
という概念に繋がるそうです。

コモン・ローは、制定法よりも、
その国の文化・価値観とより密接に繋がっているので、
こういう点は面白いと思います。

2014年9月10日水曜日

LL.M.@テンプル大学ジャパン

知人である法務マンが今秋から、
テンプル大学ジャパンでLL.M.の受講を開始しました。
https://www.tuj.ac.jp/jp/law/index.html

卒業に必要な単位は24単位、
授業料は約248万円、
所要期間は9カ月~、
とのことです。
https://www.tuj.ac.jp/law/admissions/tuition/llm-programs.html

非常に魅力的なクラスも多いですが、
https://www.tuj.ac.jp/law/academics/schedules/2015-spring.html
1クラス3単位で221,050円(単位なし)または260,300円(単位あり)とは、
いかんせん授業料が高過ぎます。

もっとも、
それだけの授業料を支払っても、
今後の転職などで元が取れるだろうという人にとっては、
良い投資なのかもしれませんが、
老い先短いILTでは、
元を取る時間はないと思います。

この知人に質問しまくって、
フリーライドしようと思います。

否、
そういう質問に回答することを通じて、
知人の米国法に対する理解も深まるはずです。

2014年9月9日火曜日

「Legal Research(リーガル・リサーチ)講座」

昨日9月8日(月)、
ウエストロー・ジャパン・新日本法規出版共催による、
「Legal Research(リーガル・リサーチ)講座」を、
中央大学法科大学院 市ヶ谷キャンパスで受講してきました。
http://www.westlawjapan.com/event/seminar/140908.html

1時間の昼休みを挟んで6時間、
丸1日掛かりの講座でしたが、
午前の3時間は、
ウエストローの操作方法の説明&英米法のごく基本の説明だったため、
出る必要はなかったと思いましたが、
午後の3時間は、
それなりに勉強になりました。

言われて一番そうだなと思ったことが、
契約書で準拠法に日本法を指定していても、
英米法的な用語を使用していると、
日本法以外の法令を適用されるリスクがある、
という点です。

言われてみれば、
特に損害賠償の用語など、
英米法的な用語でお互いに合意していれば、
英米法の考え方を適用することにも、
お互いに合意していると考えるのが合理的で、
ましてや裁判地・仲裁地が日本国外で、
英米法的な法令を実施している土地であれば、
その土地の概念・判例を適用して解釈するのが自然だと思います。

しかし、
講師が学者(中央大学副学長)なので仕方がないことだとは思いますが、
英語の発音が気になりました。
いや、本当に仕方がないことだとは思いますが。

「recitals」を100回くらい繰り返していましたが、
その発音が「レシタルズ」で、
「レ」にアクセントを付けているのです。

上司は「フランス語読みでは?」と言っていましたが、
本当にそうなのかもしれません。

(追伸)
大学時代のトラウマからか、
四ツ谷~四谷三丁目~曙橋の付近を歩いていると、
何とも言えない嫌な気持ちが湧いてきます。

2014年9月4日木曜日

ワシントン州のLL.MとBar

先週の土曜日(8/30)に、
一般社団法人 日本トランスレーション協会(JAT: Japan Association of Translators)の、
「Tokyo Summer Party 2014」というイベントに参加しました。
http://jat.org/events/show/tokyo_summer_party2

似たような名前の団体に、
一般社団法人 日本翻訳協会(JTA: Japan Translation Association)という団体がありますが、
まったく別物で、
こちらは「バベル」という翻訳会社が運営している団体のようです。
http://www.jta-net.or.jp/index.html
見るからに、商売っ気の強いウェブサイトです。

また、
さらに似たような名前の団体に、
一般社団法人 日本トランスレーション協会(JTA: Japan Translation Association)という団体がありますが、
こちらは福岡県にある単なる通訳・翻訳会社のようです(苦笑)。
http://www.japantranslation-association.com/

他にも、
一般社団法人 日本翻訳連盟(JTA: Japan Translation Federation)
http://www.jtf.jp/
NPO法人 日本翻訳者協会(JST: Japan Society of Translators)
http://www.japan-s-translators.org/index.html
といった団体があります。


話を戻すと、
その「Tokyo Summer Party 2014」というイベントで、
米国での訴訟支援会社に勤務する日本人女性と知り合ったのですが、
その彼女が米国ワシントン大学でLL.Mを終了したとのことでしたが、
嘘か本当か、
何とワシントン大学であれば、
法学部出身でなくてもLL.M(1年)を受講することができ、
さらに、終了すればワシントン州のBar(司法試験)の受験資格が得られる、
というのです。

俄かには信じられない話ですし、
また、
彼女自身は法学部出身なので参考にならないのですが、
もし本当なら、
検討する価値のある話です。

有名法務ブログ「日々、リーガルプラクティス。」の2014年9月3日の記事にも、
通信教育のLL.M.でも、
ワシントン州のBar(司法試験)の受験資格が得られる、
というようなことが書いてありましたので、
http://ameblo.jp/legal-practice-in-house/entry-11919219262.html
もしかしたら本当なのかもしれません。

しかし、
ワシントン州の裁判所規則を見てみたところ、
http://www.courts.wa.gov/court_rules/
http://www.wsba.org/~/media/Files/Legal%20Community/Committees_Boards_Panels/APR%20Task%20Force/APR%20Amendments%20%2009062012.ashx
やはり日本の法学部を出ていないと、
LL.M.を終了しても受験資格は得られなさそうです。

唯一期待が持てそうな規定は、
(iii) graduation from a United States law school not approved by the Board of Governors together with the completion of an LL.M. degree for the practice of law as defined by these rules; or
ですが、
すぐ次に、
(iv) graduation from a university or law school outside the United States with a degree in law together with the completion of an LL.M. degree for the practice of law as defined by these rules; or
と続くことから、
厳しいだろうなと。

上記の彼女も、
友人たちに確認できたら連絡をくれるとのことですが、
これ以上の情報は期待できなさそうです。

2014年8月5日火曜日

conditional discretionの問題

「Adams ON CONTRACT DRAFTING」の2014年8月4日付で、
Acme shall not sell the Shares unless Widgetco consents.
という「条件付き禁止」(conditional prohibition) の文と、
Acme may sell the Shares only if Widgetco consents.
という「条件付き裁量」(conditional discretion) の文と、
どちらが望ましいかという記事が記載されています。
http://www.adamsdrafting.com/shall-not-unless-versus-may-only-if/

Adams氏の結論は、
Acme shall not destroy the Equipment unless Widgetco consents.
Acme may destroy the Equipment only if Widgetco consents.
では前者が望ましいというように、
表現される行為が望ましいか・望ましくないかで判断されるだろう、
というものでしたが、
(上記の文例では「機械を破棄しない」状態が望ましいと推測される)
読者コメント欄で活発な議論があり、
そちらの方が参考になりました。

コメントの一つに、
 "Crossing the border is discretionary only on weekends."
(= "One *may* cross the border only on weekends.")
という文例を挙げて、
「条件付き裁量」(conditional discretion) の文を使用すると、
その条件が満たされない場合は、
行為が「義務付けされる」(mandatory)のか「禁止される」(forbidden)のか、
曖昧になるため、
(上記の文例の場合、平日は国境を「渡らなければならない」(mandatory)のか、「渡ってはいけない」(forbidden)のか、曖昧)
「条件付き禁止」(conditional prohibition) の文を使用するのが望ましい、
とありました。

「条件付き禁止」(conditional prohibition) の文で、
上記の例文を書きなおした場合、
"One shall not cross the border on weekdays."
または、
"One shall cross the border on weekdays."
とするべき、
ということでしょう。

実際の契約書ではどうするべきか、
よく考える必要がありそうです。

2014年8月1日金曜日

「liquidated damages」 and/or 「actual damages」

「Adams ON CONTRACT DRAFTING」の2014年7月30日付の記事で、
「liquidated damages」(予定損害金)と「actual damages」(実際の損害賠償)とを、
選択できる規定が、
米国ヴァージニア州のCircuit Courtで「無効」とされたと記載しています。
http://www.adamsdrafting.com/making-liquidated-damages-optional/

米国ヴァージニア州のCircuit Courtが、
日本のどのレベルの裁判所に該当するのかは不明ですが、
「無効」とされた理由は2つあり、
1つは、
米国ヴァージニア州の最高裁判所の判例が、
「liquidated damages」(予定損害金)は、
“to avoid all future questions of damage”
という目的を果たさなければならない、
と言っていることです。
もう1つは、
「liquidated damages」(予定損害金)と「actual damages」(実際の損害賠償)との、
多い方を選択できるのは、
米国法で禁止されている「penalty」(罰金)に該当する、
とのことです。

この考え方は、極めて明確で理解しやすいのですが、
残念ながら、
私が扱う英文契約書では見かけたことがありません。

よく見かけるのは、
「liquidated damages」(予定損害金)に加えて、
「actual damages」(実際の損害賠償)も請求できる、
という規定です。

しかし、
「liquidated damages」(予定損害金)or「actual damages」(実際の損害賠償)
という規定が無効なら、
「liquidated damages」(予定損害金)and「actual damages」(実際の損害賠償)
という規定も当然無効となるというのが、
論理的な帰結だと思います。
(あくまでも米国(さらにはヴァージニア州)においては、ですが)

この考えが、
米国全体で通用するのか、
今後hornbookか判例データベースで確認しておく必要があります。