2014年12月25日木曜日

「Action」と「Suit」

続けて『株式会社カイ・コーポレーション』のブログからですが、
量は少ないですが参考になる、
法務関連の用語集的エントリーがあります。
http://kaicorp.com/knowhow/69.html

その中に、
「Action」という単語の説明があります:
行為;措置;訴訟。 action には「訴訟」という意味があります。契約書の中では、例えば「契約解除時に売手がとるべき措置」の「措置」という意味で action を使うこともあれば、「買手において契約違反があったときは売手は訴訟も含めてしかるべき手続を取ることができる」等、「訴訟」という意味で action を用いることもあります。従って、どちらの意味かよく見極める必要があります。 「訴訟」を意味する単語は他に lawsuit と suit があります。action はコモン・ロー上の訴訟、suit は衡平法(エクイティ)上の訴訟を本来意味し、 lawsuit は全てを含むとされています。ただ、現在では action と suit は区別なく用いられています。契約書ではよく action, suit と並記されます。上記のような事情もあり、私はまとめて「訴訟」とすることにしています。

この中では、
「action はコモン・ロー上の訴訟、suit は衡平法(エクイティ)上の訴訟を本来意味し、 lawsuit は全てを含むとされています。」
というのが肝で、
このような肝になる知識・情報を、
もっと簡単かつシステマチックに得られると非常に助かるのですが、
なかなかそうはいきません。

2014年12月24日水曜日

期限の利益の喪失

マレーシア法弁護士に、
「期限の利益の喪失」について質問したところ、
「そのような規定はない」との回答でした。

これはおそらく、
「the benefit of time」という表現が、
マレーシアおよび英国法において、
一般的ではないからだと思います。

例えば、
『株式会社カイ・コーポレーション』という翻訳会社のブログに、
以下の記述があります。
http://kaicorp.com/knowhow/31.html

『例文E:
 「借手は期限の利益を失うものとする。」
 相対翻訳: The Borrower shall lose the benefit of time.
絶対翻訳: All obligations of the Borrower shall be accelerated and become immediately due and payable.
「期限の利益を失う」というのは、決まった期限まで返済が猶予されていた債務を、直ちに返済しなければならないことです。
この日本語を自然に訳せば、 lose the benefit of time という文章ができてもおかしくありません。
法務省の「日本法令外国語訳データベースシステム」の辞書検索では forfeit the benefit of time という訳が当てられてます。
しかし、英文契約書ではこのような場合はほとんど accelerate や immediately become due and payable という表現が使われます。
米国企業や米国弁護士が作成した契約書で benefit of time を見たことは私は一度もありません。』

『米国企業や米国弁護士が作成した契約書で benefit of time を見たことは私は一度もありません。』ということですので、
マレーシア法弁護士がピンとこなくても無理はないです。

ちなみに、
この翻訳会社の代表である田口 亮さんは、
デューク大学のJD(3年間)を卒業しているという、
凄い人です。
http://kaicorp.com/profile#biography
事務所の画像を見ても、
本の量が半端ないですし、
余裕のあるデスクスペースで、
上手く行ってそうな会社(正確には翻訳者?)ですね。
http://kaicorp.com/profile#security

参考のため、
『日本法令外国語訳データベースシステム』に掲載されている、
民法137条の英訳です。
http://www.japaneselawtranslation.go.jp/?re=01

Article 137 
The obligor may not assert the benefit of time if:
(i) the obligor has become subject to the ruling of the commencement of bankruptcy procedures;
(ii) the obligor has destroyed, damaged, or diminished the security; or
(iii) the obligor fails to provide security when it has the obligation to do so.
きっと、
「assert the benefit of time」なんて言っても、
通じないのだろうと思います。

2014年12月22日月曜日

経営法友会「英文契約書の頻出用語と読解のエッセンス」

昨日2014年12月18日、
初めて経営法友会の月例会に参加しました。

講師は、
三菱商事・法務部エネルギー事業チームリーダー(兼)金属チームリーダーの洞幸司さん。

開催趣旨は、
「英文契約に特有の頻出表現をセレクトし、それらが実際の契約書の中でどのように使用されているか、また、契約においてどのような意味を持つのか等につき、英文契約書を読む際に必要不可欠になる知識として、いくつかのフレーズを取り上げ解説します。また、紹介した用語が含まれた実際の契約書の意味をその場で考え、内容を紐解きながら、英文契約読解のエッセンスを解説します。」とのことで、
ごく入門的な内容で、
正直、今の私には不要な内容でした。

それでも、
参加者は広い会場に鮨詰めで、
本当に定員の300人位いそうでした。
英文契約書に関する、
根強い需要の大きさを実感しました。

広告・宣伝・価格設定など、
やり方次第では、
英文契約書に関するレクチャーでも、
十分に集客できると改めて思いました。

その際には、
①参加者にいかに自腹を切らせないか
②いかに自分の時間を犠牲にさせないか(=就業時間内に仕事として受講させられるか)
という2点が、
ポイントとなる気がしますが、
この2点はどちらも同じことで、
また、新規参入者には難しいポイントでもあります。

新規参入者には、
企業を個別訪問して小規模レクチャーをするというのが、
一番現実的だと思いますが、
その場合には「肩書き」がネックになってくる気がします。
せめて「米国法弁護士」くらいの「肩書き」がなければ難しいように思えます。
「某専門商社法務部員」+「各種英語資格」+「行政書士」の合わせ技では厳しいように思えます。

また、私としては、
普通に書籍に掲載されているような英文、
つまりは、
英語圏で普通に使われている英文には関心がなく、
(普通に書籍を読めば良いだけなので)
「それを英文契約書に書かなければならないのか」と、
頭を抱えてしまうような、
日本の典型的なビジネスパーソンが希望する条件を、
英語でどう表現するのかという部分を期待していたのですが、
当然ながら、
そんな期待は叶えられませんでした。

私が恥を忍んで、
自分でレクチャーするしかなさそうです。
こういう内容なら、
むしろきちんとした「肩書き」がない方が、
やりやすいような気がします。

いや、そういう意味では、
どんな内容のレクチャーでも、
やり方次第では上手くできるような気がします。

来年は、いろいろ試してみようと思います。
本当は、今年、いろいろ試してみるつもりだったのですが。。。

2014年12月17日水曜日

「warranty」と「condition」

私はこれまで、
基本的に米国法に基づいて英文契約書を扱ってきたため、
「warranty」と「condition」の区別を意識したことがなかったのですが、
現在、英国法の影響が強いマレーシアの案件を扱っていて、
この問題に直面しました。

マレーシアの「the Sale of Goods Act 1957」(以下、SOGA)の12条に、
「warranty」と「condition」の区別が規定されています。

 Condition and warranty
12. (1) A stipulation in a contract of sale with reference to goods which are the subject thereof may be a condition or warranty.
(2) A condition is a stipulation essential to the main purpose of the contract, the breach of which gives rise to a right to treat the contract as repudiated.
(3) A warranty is a stipulation collateral to the main purpose of the contract, the breach of which gives rise to a claim for damages but not to a right to reject the goods and treat the contract as repudiated.
(4) Whether a stipulation in a contract of sale is a condition or a warranty depends in each case on the construction of the contract. The stipulation may be a condition, though called a warranty in the contract.
2項によると、「契約の主目的に essential(本質的)な規定」が「condition」で、相手方がこの「condition」に違反した場合、相手方が契約の「履行を拒否した」(repudiate)として扱う権利が得られる、とのことです。
(しかし、法律英語らしい、主語・述語を明確に書かない文章ですね、、、)

3項によると、「契約の主目的にcollateral(二次的)な規定」が「warranty」で、相手方がこの「warranty」に違反した場合でも、商品を拒否したり、相手方が契約の「履行を拒否した」(repudiate)として扱う権利は得られず、損害賠償が得られるのみ、とのことです。

この区別は、
「英国法」(コモンロー)に伝統的な区別のようです。
http://www.mkikuchi-law.com/article/14566015.html

しかし、このウェブ記事↑、「下記condition, intermediate」と書きながら、
まったく下記されていないことは不満です。
無料記事なので、文句は言えないのですが。

「intermediate」は、
「BLACK'S LAW DICTIONARY 9TH」で調べても、
それらしい意味は出てきません。

ググってみると、
「innominate term」と同じように、
(おそらくは、同じ意味で)
「intermediate term」というように使用されるようです。

「innominate term」
http://www.businessdictionary.com/definition/innominate-term.html
「intermediate term」
http://www.businessdictionary.com/definition/intermediate-term.html

いずれも、
状況によっては「warranty」とも「condition」とも判断される規定のようです。

英文契約書を扱う以上は、
「米国法」に加えて「英国法」の知識も必要不可欠なのかもしれませんが、
非常に面倒ですね、、、

2014年12月9日火曜日

生徒全員にTOEFL 横浜、市立8高校で

日曜日に参加したTOEFL iBTのワークショップで、
前の席に座っていた2人が横浜市の高校の先生で、
その2人から、
「横浜市のすべての高校で、2年生全員がTOEFLを受験することになった」と聞き、
 驚きました。

早速調べてみたところ、
2014年2月17日付けの朝日新聞の記事を見付けました。

「横浜市教育委員会は新年度から、全日制の市立高校8校で2年生の生徒全員に米国の英語力試験TOEFL(トーフル)を受けさせる方針を決めた。受験料は全額公費で負担する。文部科学省は「英検と比べ問題が難しく、自治体単位での受験は聞いたことがない」としている。
 市教委によると、2年生約2100人を対象に、団体向けのペーパーテスト「TOEFL―ITP」を受験させる。新年度予算案に受験費用約650万円を計上した。目標点を設けるかは検討中だという。
 市教委高校教育課の高橋正彦課長は「客観的に英語力を把握し、授業のあり方を考える一つの指標になる。TOEFLは大学のクラス分けに使われる例もあり、海外大学への進学にもつながる」と話す。
 市教委は、市立中学全147校の3年生全員に英検を受験させることも検討する。新年度はまず30校で試験的に導入する。英語指導助手(AET)が常駐する中学校は、現在の100校から全校に広げる。また、小学校16校でも6年生に児童英検を受験させる。
 TOEFLを巡っては、自民党の教育再生実行本部が昨年、大学入試に義務づけることを安倍晋三首相に提言している。(岡田慶子)」

やはり団体向けのペーパーテスト「TOEFL―ITP」で、
TOEFL iBTではありませんでしたが、
今後、「TOEFL―ITP」も含めて、
TOEFLという試験全体の必要性が大きくなる可能性は高いと思います。
しかし、
市立中学全147校の3年生全員に英検を受験させる、
市立中学全147校に英語指導助手(AET)を常駐させる、
小学校16校でも6年生に児童英検を受験させる、
という横浜市は、
よっぽど金があるのだなと思います。

費用対効果は非常に疑問だと、私は思いますが。

2014年12月8日月曜日

Propell Workshop for the TOEFL iBT test

12月7日(日) 9:30~16:45、
CIEE(国際教育交換協議会)主催の、
教師向けにTOEFL iBT testを説明するワークショップに参加しました。
http://www.cieej.or.jp/event/seminar/TOEFLpropell.html

会場は、表参道にある「こどもの城」9F 906。
来年3月末には閉館するとのことなので、
ここの研修室を利用するのは最初で最後でしょう。

定員は30人で、おそらく満席でした。
中には、このワークショップに参加するためだけに、
わざわざ台湾から来ている男性もいました。
妻子が迎えに来なければ、
夕食でも一緒にしたかったところでしたが、
そうしていたら、
きっと私が直近4年は英語の授業をしていないことがばれて、
気まずくなっていたでしょう。

参加費は、税込3,000円で、
弁当&お茶2本込みという安さでしたが、
TOEFL iBT自体でいくらでも儲けられるので、
ワークショップは収支さえ合えば良いのでしょう。

講師は以下の2人。
宇佐美 修(栄光学園中学・高等学校)
横川 綾子(東京海洋大学)

宇佐美さんは、
ICU~Georgia Southwestern State University~The University of Tennesseeと、
一貫して英語畑を歩んできた人。
http://members.jcom.home.ne.jp/4068555301/resume.html

横川さんは、
上智大学で私の1年先輩で(法学部国際関係法学科)、
テンプル大学ジャパンキャンパス(教育学修士・英語教授法)の卒業生という以上の情報は得られませんでしたが、
どう聞いても若い頃に長年英語圏で暮らした経験のある英語を話す人でした。
http://www.kaiyodaiglobal.com/staff/

ワークショップは、
すべて英語ということもあり、
来ている教師たちは、
さすがに皆、英語が達者でした。
「英語教師は英語が話せない」というのは、
まったく当て嵌まらない人たちばかりで、
私も英語で話し続けて、
ワークショップ終了後は疲労困憊となりました。

私が最も知りたかったのは、
どうしたら日本に4人しかいないという、
「ETS公認 TOEFL iBT Propell Facilitator」になれるのか?
ということでしたが、
その4人の経歴を知り、
そのうち2人の英語を聞いて、
現時点の私には無理だと諦めました。

まずはTOEFL iBTで満点を取ることと、
個人授業でも良いのでTOEFL iBTを教える実績を積んでから、
(加えて、できれば本を出版してから)
ETSに直談判しようと思います。

しかしおそらくは、
TESOLで修士号を取っていないと無理でしょうね。

2014年12月1日月曜日

『初歩からきちんと英文契約書』(仲谷栄一郎・著)

http://www.amazon.co.jp/%E5%88%9D%E6%AD%A9%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%8D%E3%81%A1%E3%82%93%E3%81%A8%E8%8B%B1%E6%96%87%E5%A5%91%E7%B4%84%E6%9B%B8-%E4%BB%B2%E8%B0%B7%E6%A0%84%E4%B8%80%E9%83%8E/dp/4502122815/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1417132726&sr=8-1&keywords=%E5%88%9D%E6%AD%A9%E3%81%8B%E3%82%89%E8%8B%B1%E6%96%87%E5%A5%91%E7%B4%84%E6%9B%B8

『英文契約書の基礎知識』(1997年 The Japan Times社)に代わる、
英文契約書初学者が最初に読むべき本(として勧める)の候補として、
読んでみました。

『英文契約書の基礎知識』(1997年 The Japan Times社)は、
英語の例文&日本語の説明が古くて硬くて、
かなり不満があるのですが、
初学者が英文契約書の全体像を把握するためには、
現時点で市販されている書籍の中では、
今なお一番マシと思われます。

私がそうしたからという個人的な思い入れが、
判断に悪影響しているのかもしれませんが。

さて本書は、
月刊誌「ビジネス法務」の連載をまとめて大幅加筆したものとのことで、
3つの章から構成されています。

以下、感想です:

第1章「英文契約書にアプローチしよう」

英文解釈の説明に終始していて、
訳語(法律用語)の説明に乏しく、
本書の対象読者のニーズに合うのか疑問に感じます。

また、
編集の仕方も悪く、
とにかく通して読んでしまえれば問題はないのですが、
パッと見た感じ、通して読む気になりにくい書き方です。


第2章「英文契約書を読んでみよう~売買契約書~」

第2章は、なかなか面白いです。

しかし、
「例文はけっして模範例ではなく、説明のために多々の不備を盛り込んである」とのことで、
読み辛いです。

『初歩からきちんと英文契約書』というタイトルの本には、
英文契約書の初心者がなるべく多くの正しい英文に触れられるように、
「不備」は盛り込まないで、
なるべく多くの正しい英文を紹介した方が良いと思います。

また、
もともと月刊誌の連載記事だったこともあり、
英文解釈+用語説明と法務的判断とが入り混じっていて、
英文契約書(売買契約書)の全体像を把握しにくいように感じます。

月刊誌の連載時に、
一度に一つの条項を読むだけなら、
英文解釈+用語説明と法務的判断とが入り混じっていても、
特に読みにくいということはないのでしょうが、
一冊の本としてまとめて読もうとした場合には、
とても読みにくく感じます。


第3章「練習問題を解いてみよう」第1節「英文を解読しよう」

第1章と同じく、
英文解釈の説明に終始していて、
訳語(法律用語)の説明に乏しく、
読み辛い&果たして誰の役に立つのか疑問に感じます。

本節を読んだ初学者に聞いてみないと実際のところは分かりませんが、
英文解釈の説明そのものも、
初学者にはとても読み辛い&理解するのが難しいように思えます。

本節のように、
英文解釈の説明に徹するなら、
色分けや、より多くの図解がなければ、
読み進める&理解するのは難しいのではないでしょうか?

続く第2節「問題を見抜こう」は、
なかなか面白いのですが、
これも英文解釈と法務的判断が入り混じっていて、
中途半端な印象を受けます。

特に、
「まとめ」や「おわりに」等もなく、
本節で本書が終わるため、
唐突な印象を受けます。

また、
ところどころ英文が稚拙(場合によっては間違いと言って良い)です。
おそらく作者側(アンダーソン・毛利・友常)でも、
出版社側(中央経済社)でも、
ネイティブ・チェックを入れていないのでしょう。

< 結論>
あまり体系的ではないので、
タイトルから判断して購入するであろう英文契約書初学者にとっては、
効率的な本ではないように思います。

本当に残念ながら、
『英文契約書の基礎知識』(1997年 The Japan Times社)の代わりに、
英文契約書初学者が最初に読むべき本として勧めることはできません。

2014年11月27日木曜日

Vital English法務交流会

西田章・弁護士との面談後、
さらに、その近くにある長島・大野・常松法律事務所のNDAセミナーを受講後、
2回目だと思いますが、
銀座でVital Englishの法務交流会に参加しました。

前回参加したのは、
たしかまだ「新橋・法務交流会」を始める前で、
Vital Englishの法務交流会で知り合った人たちと交流を続ける場がなかったため、
それっきりとなっていますが、
今は「新橋・法務交流会」というホームグラウンドがあるので、
気軽に連絡が取れる・誘えるという利点があります。

参加者は25人。
Vital Englishという英会話サークルの分科会という位置付けであることからか、
法務担当者の集まりとしては、
異常に女性が多い集まりでした。
主催者は、東芝の上司(男性)・部下(女性)の2人。

感想は、残念な会でした。

その主な原因は、
私の対人コミュニケーション能力の低さ&記憶力の弱さです。

まず、
奥の座席になった上に、
席替えが終了近くまでなかったことが辛かったです。
さらに辛かったのは、
その席替え後のメンバーです。

正確には、
各6人テーブルで、
内側の3人が席替えとなったのですが、
(私は外側の奥で、そのまま)
さらにその後、
主催者である部下(女性)と入れ替わった「準」主催者的な男性が辛かった。

これは私の数多い弱点の一つですが、
私は、よく考えることなく、綺麗事・理想事・表層的な話に終始する人が、大の苦手なのです。
そういう人と話していると、
一体何のためにわざわざ時間と労力(&金)を使って、
話をしているのか分からなくなるのです。

その彼一人だけなら、
無視すれば済む話ですが、
同じテーブルに、
超ハイテンション&大声で誰とでも話す女性がいたため、
無視できない状態となりました。
2人がその調子で話し続ける中、
他の4人は愛想笑いを続けるという、
極めて日本人的な状況でした。

反省点は、
会社の飲み会でもないのだから、
詰まらなかったら、
トイレに行く振りでも、
電話が掛かってきた振りでもして、
奥の座席から立って、
別のテーブルに移動しなかったことです。

または、
その2人の会話を無視して、
他の3人と会話を弾ませるべきだったのです。
(しかし、その女性は、その詰まらない会話に全体を巻き込もうと、他人に同意やコメントを求めるのです・・・その女性は「誰とでも仲良くなれる」という社交性を自負していましたが、そのような社交性は自分のみに限定して発揮してもらいたいところです)

これは、
これまで何度も心に誓っていることですが、
これまで何度も忘れてしまっていることです。

iPadのアプリなどを使って、
自分の誓いを忘れない工夫が必要だと考えています。

2014年11月20日木曜日

Japan In-House Legal Summit 2014

10月17日(金)に参加した「Japan International Arbitration Summit」で知り合った、
 Epiq Systems日本支社のWarren Scott代表に紹介されて、
11月18日(火)に京王プラザホテルで開催された、
「Japan In-House Legal Summit 2014」に参加しました。

まったくもって「In-House」ではないので、
かなり心苦しかったですが、
これも経験と割り切って参加しました。

ちなみに、
主催しているAsian Legal Businessからは、
11月19日(水)にホテル・オークラで開催された、
「The Japan Anti-Corruption Forum」にも無料招待が来ていましたが、
2日続けて、
1日中、自分の立場を偽りながら英語を話して過ごすというのは、
非常に敷居が高く感じたため、
こちらはお断りしました。
一応、
監査役に行ってもらえないか打診しましたが、
残念ながら先約があるとのことで断られました。

当日、
京王プラザホテル47階の会場に行くエレベーターの場所が分かりにくく、
私がホテルの人に確認していたら、
同じく分からない外国人が2人いて、
案内する形でエレベーターに同乗したところ、
当然、雑談となり、
「君は日本の弁護士なのかい?」と聞かれ、
説明するのも面倒なので「そうだよ」と答えながら、
心のメモに「休憩時間やランチでは、この人たちの近くは避ける」と、
書いていました(苦笑)

と言いつつ、
参加した一番の目的は、
同じ階の別の部屋で開催されていた、
Kenneth Adams氏の「THE ESSENTIALS OF DRAFTING CLEAR, CONCISE & MODERN CONTRACTS」に、
潜り込むことでした。

潜り込めるタイミングは、
向こうの休憩時間明け、または、ランチ明けだろうと考えて、
しっかりとスケジュールを事前に確認して行きました。

しかし残念ながら、
午前中の向こうの休憩時間、
こちらではEpiq Systems日本支社のWarren Scott代表による、
長く退屈なレクチャーの真っ最中で、
会場の狭さから、
Scott氏に気付かれないで途中退室することは不可能でした。

気を取り直してランチ明けを狙うべく、
向こうのランチ中に会場を確認しに行ったところ、
なんと机上の本は10冊=参加者は10人のみで、
突然、1人増えれば、それも日本人が増えれば、
気付かれないわけがなく、
泣く泣く断念しました。

ランチは、
京王プラザホテル2階のレストランでのブッフェで、
ブッフェ券を支給されていたのですが、
まったく確認されることはなく、
これなら時々プライベートで来てもばれないのではないかと思いました。
もっとも、
一人で黙々と食べていたら、
怪しまれてブッフェ券の提示を求められるのかもしれません。

最後に、
「Japan In-House Legal Summit 2014」の各レクチャーの内容ですが、
ぶっちゃけ、全レクチャー、どうでも良い内容でした。
私の興味の問題なのか、業務の問題なのか、、、

間違いなく、
今回が最初で最後の参加になるでしょう。

2014年11月13日木曜日

連帯債務

日本の民法にも、
「分割債務」(427条)
「不可分債務」(430条)
「連帯債務」(432条~)
不真正連帯債務」(719条の「協働不法行為者の責任」など)
という債務の区分がありますが、
英米法にも、
「Joint liability」「Several liability」「Joint and several liability」という3区分があります。
http://en.wikipedia.org/wiki/Joint_and_several_liability

しかし、
このうち「Joint liability」と「Joint and several liability」との相違が、
どうにも良く理解できません。

「連帯債務」と「不真正連帯債務」との相違が、
なかなか理解できませんでしたが、
↓このような説明を読んで、ようやく理解できてきました。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1189835221

同じ気持ちの人はいるようで、
ロースクール関係のウェブサイトで質問がされているのですが、
http://www.top-law-schools.com/forums/viewtopic.php?f=3&t=141531
回答者達は、wikipediaのコピペのような回答をしているだけで、
「自分が理解している限り、重要なのは「Joint liability」と「Joint and several liability」との相違ではなく、「Joint and several liability」と「Several liability」との相違である」
"So as far as i get, its not the diff. between joint liability and J/S liability, its the difference between J/S and comparative fault (pure or modified) that matters,"
などという的外れなコメントをした挙句に、
「これで回答になっていないなら、何が質問なのか分からない」
"If this doesn't answer your question, then I don't know what your question is."
なんてコメントをしてたりします(苦笑)。

質問者は、
「Joint liability」と「Joint and several liability」との相違を質問してる上に、
Several liability」は理解できていると断っているのだから、
それに対して、
Joint and several liability」と「Several liability」との相違を説明しても、
まったく回答になってないじゃないかと(苦笑)。
その挙句に、
「これで回答になっていないなら、何が質問なのか分からない」
なんて言われたら、
「これで質問を理解してもらえないなら、どう質問すれば良いのか分からない」
と言い返したいところです。

弁護士志望者たちらしい回答と言うべきなのか、、、

「僕もよく理解できていないけれど、理解できなくてもロースクールの試験でも司法試験でも何の問題もないよ」
などという回答があれば、
安心できるのですが、、、

2014年11月10日月曜日

シュタイナー学園@藤野

11/8(土)、
藤野にある「シュタイナー学園」で開催された、
高等部見学会に参加しました。
http://www.steiner.ed.jp/

見学会は朝9時からで、
間に合うためには、
西日暮里駅を7時前には出なければならないのに、
6時40分まで寝過ごしてしまうという失態を犯しましたが、
ギリギリ間に合いました。

高等部は、
2012年4月に吉野校舎として分離したばかりで、
それまでは初等部・中等部と同じ名倉校舎にありました。

ちなみに、
吉野校舎は廃校となった「吉野小学校」を使用しており、
ホームルームはムク材を貼って良い感じにしていますが、
優先順位の低いその他の教室は、ほぼ普通の小学校のままでした。

高等部は、
9年生~12年生までの生徒を収容しており、
通常の学校で言うところの、
中学3年~高校3年までです。

シュタイナー教育では、
1年生~8年生(小学1年~中学2年)までは同一の教師が担任をすることになっていますので、
至極合理的な分け方です。

生徒数は少なく、
9年生~12年生までの4学年合わせて、
現在68人とのことです。

高校から別の学校に行く人も多いとのことですので、
その68人でも、
おそらく9年生の人数が比較的多いのだろうと推測されます。
ちなみに、
今年の12年生は「11人」でした。

と、
ここまで書いてきて、
ここからシュタイナー教育について説明しようとすると、
時間がいくらあっても足りないことに気が付きましたので、
興味のある人はとりあえずwikiってみてください。
http://ja.wikipedia.org/wiki/シュタイナー教育

2014年11月4日火曜日

英会話サークル@日暮里(その1)

この前の土曜日の夜、
日暮里駅西口にある「カフェ・ルノワール」で開催されていた、
「NEKKS」という英会話サークルに参加してきました。

参加した理由は、
レベルの高さと、開催場所の近さです。
(参加条件は「スムーズなスピードで一通り自分の言いたいことがしゃべれて、それを聞き取れるぐらいのレベル」とのこと)

しかし一番の理由は、
私が、なるべく早期に毎週水曜日の夜、
「英語ディスカッション・サークル」を新橋または西日暮里で始めようと考えていて、
その参考にするためです。

私が主催する「英語ディスカッション・サークル」については、
実現後改めて書くとして、
以下、「NEKKS」に参加した感想です。

参加者は私を含めて8人(男性5人、女性3人)。
レベルは、
私よりも流暢だと感じたのは女性1人(高校生までシンガポールに7年間在住)のみでしたが、
英語力は、自分よりも少し下手に思えたら、自分と同じ程度、
自分と同じ程度に思えたら、自分よりもだいぶ上、
と言われていますので、
それほど変わらないかもしれません。

内容は、
前半が、全体での自己紹介を約1時間。
自分が英語を話せるのは単純計算で1/8ですので、
効率は悪いです。
後半は、4人の2組に分かれてディスカッション(カジノ法制&外国人観光客の誘致策)を約1時間。
こちらも、自分が英語を話せるのは単純計算で1/4ですので、
あまり効率が良いとは言えません。

やはり、
私が主催する「英語ディスカッション・サークル」は、
たとえ何人集まっても、
原則2人1組でディスカッションするように運営しようと考えています。

2014年10月30日木曜日

法務専門翻訳事務所の料金相場

先月、日本翻訳者協会 (JAT)に入会して以来、
少しずつ法務翻訳業界の現状が分かってきました。

大手の法律事務所が依頼する法務専門翻訳事務所は、
主に以下の2つのようです。
(主に日本語→英語に利用されていると推測されます)

「Okabe & Yampolsky Translations」(OYT)
http://www.oytrans.com/

「Translation Business Systems Japan」(TBSJ)
http://tbsj.jp/Home

料金は、
英語→日本語は、2社共に「35円/ワード」。
日本語→英語は、TBSJが「24円/ワード」、OYTは不明です。

いずれにせよ、相当に高額です。

他にも、
田口亮さん(ニューヨーク州&マサチューセッツ州弁護士)が経営する「株式会社カイ・コーポレーション」
http://kaicorp.com/
カナダ出身のLisa Hewさん(元TMI法律事務所の所内翻訳者)が経営する「Belle Translation Japan, Ltd.」
http://belletranslationjapan.com/
英国出身のCatherine Eberstさんが経営する「オリアン株式会社」
http://www.orian.co.jp/
などがあります。

機会があれば、
私が以前所属した法律事務所に、
どこの翻訳事務所に依頼しているのか、
聞いてみようと思います。

また、
法務翻訳者と企業の法務担当者が、
ざっくばらんに意見を交わし合える会を開けたら良いなと思います。

次回の法務交流会でヒアリングしてみるつもりです。

2014年10月28日火曜日

オーストラリアのPlain Legal English

10/25(土)、
日本翻訳者協会 (JAT)の法律翻訳分科会(JATLAW)のセミナー&食事会に参加してきました。

セミナーのタイトルは、
「わかりやすい語法による英文就業規則のつくり方」
講師は、
ローソン・キャロルさんと、
http://legalcommunicationsjapan.com/
倉田哲郎さん。
http://www.lmconsul.com/

この2人は最近、
逐条解説付 わかりやすい語法による 英文就業規則のつくり方」(日本法令)
http://www.horei.co.jp/shop/cgi-bin/shop_itemDetail.cgi?itemcd=2472390
を出版していて、
セミナーはその紹介のような内容でした。

以前から、
オーストラリアの法律関係者によるPlain Legal Englishの推進活動については、
記事や本などで読んでいましたが、
実際にオーストラリア弁護士であるローソン・キャロルさんの口から聴くと、
本当にそうなんだと、
想像していた以上に動揺しました。
正しくは、
これまで読み飛ばしていたことなので、
「想像していた」というのは嘘ですが。

これまで、
オーストラリア企業・オーストラリア弁護士と仕事をしたことが一度もなかったので、
今後、そのような機会があった場合に、
どう対応するのが良いのかと思います。
(特に「shall」を使うか否か)

私は、
Kenneth Adams氏の提唱するやり方、
(具体的には氏の提唱する「Categories of Contract Language」という分類方法)
に従って、
契約書を起案しているのですが、
(「shall」は文章の主語の「義務」を表現するためのみに使う)
当然、齟齬が出てきますが、
それをどうするのか。

意味に曖昧さがなく、
明確に通じさせすれば良いわけなので、
今と変わらない、
むしろ、
オーストラリア企業・オーストラリア弁護士との仕事の方が楽だと思いますので、
心配することはないですね。

ちなみに、
Kenneth Adams氏は、
2014年9月16日のブログ記事で、
氏がAustralian Corporate Lawyers Associationの機関紙に寄稿した、
「Banishing Shall from Business Contracts: Throwing the Baby Out with the Bathwater」
という記事を紹介しています。
http://www.adamsdrafting.com/my-new-article-about-shall/

元々語学屋の私にとっては、
とても興味深い論点です。

2014年10月4日土曜日

第1回『新橋・法務レクチャー会』(TAYL1: Talk As You Like 1st)

昨日10月3日(金)の終業後、
第1回『新橋・法務レクチャー会』(TAYL1: Talk As You Like 1st)を、
開催いたしました。

プレゼンターは4人。

題目は以下です。
①私による『商社の英語術』
②某IT企業の法務担当者による『証券取引等監視委員会による調査実例』
③のぞみ総合法律事務所の大東泰雄弁護士による『公取委の調査と企業の対応』
④私の上司による『商社のセミナー術』

①②④は15分ずつ、
③の大東先生には30分、
やっていただきました。

大東先生をはじめ、
皆様、ありがとうございました。

初開催ということで、
手探り状態でしたが、
特にTAYLの共同主催者による基調演説的④の『商社のセミナー術』は、
オーディエンスに大きなインパクトを与えたと思います。

その後の第9回『新橋・法務交流会』は、
汐留の『ベトナムフロッグ』で開催いたしました。

とても良い店ですが、
私の会社から少し遠いのが難点です。

参加者の皆様、
ありがとうございました。

2014年10月1日水曜日

預託在庫

今、「預託在庫」契約書を英訳しているのですが、
そもそも「預託在庫」を英語で何と表現するのが適切なのかを調べるのに、
時間が掛かりました。

「預託在庫 英語」単純にググると、
「deposit inventory」という英訳がヒットしますが、
逆に、
「deposit inventory」をググると、
とても「預託在庫」の意味で使用されているようには思えません。

英語を母国語とする翻訳者が、
「使用高払い」の英訳が分からないと、
Google Groupsの「Honyaku Mailing List 」で聞いていましたが、
結局、明確な回答は得られていませんでした。
https://groups.google.com/forum/#!topic/honyaku/AQkKaCpicuc

「委託販売」という意味で、
「consignment stock arrangement」という英語が使用されているようですが、
「委託販売」が、買主が第三者に販売(転売)することを想定しているのに対して、
「預託在庫」は、買主が売主から使用高購買することを想定していると思いますので、
これも微妙にズレているように感じます。
しかし、
http://www.legal500.com/developments/330
の説明が正しければ、
「預託在庫」と「consignment stock arrangement」は、
ズバリ同じ意味です。

残念ながら、
上記のウェブ記事を書いているのがNorwayの法律事務所で、
私は、経験上、Norway人の英語を信用していません。
日本人の英語と似て、
Norway人の英語も、
母国語であるNorway語に大きく影響を受けている、
という印象がありますので。

さらに調べていくと、
どうやら「預託在庫」という意味での「consignment stock arrangement」は、
英国で主に使用されている表現のようです。

今回はインドネシアの案件なので、
英国式の英語でも良いだろうと判断し、
(と言うと、英国人には不愉快に聞こえるかもしれませんが)
また、あまり時間を掛けるわけにもいかないので、
とりあえず今回は、
「consignment stock arrangement agreement」としました。

より適切な表現をご存じの方、
ご助言ください。

2014年9月17日水曜日

Sticks and Stones

今、『Sticks and Stones』という、いじめの本を読んでいるのですが、
http://www.amazon.co.jp/Sticks-Stones-Defeating-Rediscovering-Character-ebook/dp/B008WOULGE/ref=sr_1_8?ie=UTF8&qid=1410917563&sr=8-8&keywords=sticks+and+stones
そもそも『Sticks and Stones』とは、どういう意味なのか分かりませんでした。

そこで、wikipediaで調べてみたところ、
(ホント、今の世の中、便利ですね!)
子供向けの短い詩歌(children's rhyme)の一つだそうで、
Sticks and stones will break my bones
But words will never harm me.
または、
Sticks and stones may break my bones
But names will never hurt me.
の出だしの部分で、
要するに、悪口など言われても気にするな、
という意味だそうです。
http://en.wikipedia.org/wiki/Sticks_and_Stones_(nursery_rhyme)

このwikipediaのエントリーの最後に、
This sentiment is reflected in/reflects the common law of civil assault, which holds that mere name-calling does not give rise to a cause of action, while putting someone in fear of physical violence does.
とあり、
コモン・ローの「civil assault」(民事上の脅迫・暴行罪)においては、
身体的暴力の恐怖を与えない限り、
単なる悪口は訴因とはならない、
という概念に繋がるそうです。

コモン・ローは、制定法よりも、
その国の文化・価値観とより密接に繋がっているので、
こういう点は面白いと思います。

2014年9月10日水曜日

LL.M.@テンプル大学ジャパン

知人である法務マンが今秋から、
テンプル大学ジャパンでLL.M.の受講を開始しました。
https://www.tuj.ac.jp/jp/law/index.html

卒業に必要な単位は24単位、
授業料は約248万円、
所要期間は9カ月~、
とのことです。
https://www.tuj.ac.jp/law/admissions/tuition/llm-programs.html

非常に魅力的なクラスも多いですが、
https://www.tuj.ac.jp/law/academics/schedules/2015-spring.html
1クラス3単位で221,050円(単位なし)または260,300円(単位あり)とは、
いかんせん授業料が高過ぎます。

もっとも、
それだけの授業料を支払っても、
今後の転職などで元が取れるだろうという人にとっては、
良い投資なのかもしれませんが、
老い先短いILTでは、
元を取る時間はないと思います。

この知人に質問しまくって、
フリーライドしようと思います。

否、
そういう質問に回答することを通じて、
知人の米国法に対する理解も深まるはずです。

2014年9月9日火曜日

「Legal Research(リーガル・リサーチ)講座」

昨日9月8日(月)、
ウエストロー・ジャパン・新日本法規出版共催による、
「Legal Research(リーガル・リサーチ)講座」を、
中央大学法科大学院 市ヶ谷キャンパスで受講してきました。
http://www.westlawjapan.com/event/seminar/140908.html

1時間の昼休みを挟んで6時間、
丸1日掛かりの講座でしたが、
午前の3時間は、
ウエストローの操作方法の説明&英米法のごく基本の説明だったため、
出る必要はなかったと思いましたが、
午後の3時間は、
それなりに勉強になりました。

言われて一番そうだなと思ったことが、
契約書で準拠法に日本法を指定していても、
英米法的な用語を使用していると、
日本法以外の法令を適用されるリスクがある、
という点です。

言われてみれば、
特に損害賠償の用語など、
英米法的な用語でお互いに合意していれば、
英米法の考え方を適用することにも、
お互いに合意していると考えるのが合理的で、
ましてや裁判地・仲裁地が日本国外で、
英米法的な法令を実施している土地であれば、
その土地の概念・判例を適用して解釈するのが自然だと思います。

しかし、
講師が学者(中央大学副学長)なので仕方がないことだとは思いますが、
英語の発音が気になりました。
いや、本当に仕方がないことだとは思いますが。

「recitals」を100回くらい繰り返していましたが、
その発音が「レシタルズ」で、
「レ」にアクセントを付けているのです。

上司は「フランス語読みでは?」と言っていましたが、
本当にそうなのかもしれません。

(追伸)
大学時代のトラウマからか、
四ツ谷~四谷三丁目~曙橋の付近を歩いていると、
何とも言えない嫌な気持ちが湧いてきます。

2014年9月4日木曜日

ワシントン州のLL.MとBar

先週の土曜日(8/30)に、
一般社団法人 日本トランスレーション協会(JAT: Japan Association of Translators)の、
「Tokyo Summer Party 2014」というイベントに参加しました。
http://jat.org/events/show/tokyo_summer_party2

似たような名前の団体に、
一般社団法人 日本翻訳協会(JTA: Japan Translation Association)という団体がありますが、
まったく別物で、
こちらは「バベル」という翻訳会社が運営している団体のようです。
http://www.jta-net.or.jp/index.html
見るからに、商売っ気の強いウェブサイトです。

また、
さらに似たような名前の団体に、
一般社団法人 日本トランスレーション協会(JTA: Japan Translation Association)という団体がありますが、
こちらは福岡県にある単なる通訳・翻訳会社のようです(苦笑)。
http://www.japantranslation-association.com/

他にも、
一般社団法人 日本翻訳連盟(JTA: Japan Translation Federation)
http://www.jtf.jp/
NPO法人 日本翻訳者協会(JST: Japan Society of Translators)
http://www.japan-s-translators.org/index.html
といった団体があります。


話を戻すと、
その「Tokyo Summer Party 2014」というイベントで、
米国での訴訟支援会社に勤務する日本人女性と知り合ったのですが、
その彼女が米国ワシントン大学でLL.Mを終了したとのことでしたが、
嘘か本当か、
何とワシントン大学であれば、
法学部出身でなくてもLL.M(1年)を受講することができ、
さらに、終了すればワシントン州のBar(司法試験)の受験資格が得られる、
というのです。

俄かには信じられない話ですし、
また、
彼女自身は法学部出身なので参考にならないのですが、
もし本当なら、
検討する価値のある話です。

有名法務ブログ「日々、リーガルプラクティス。」の2014年9月3日の記事にも、
通信教育のLL.M.でも、
ワシントン州のBar(司法試験)の受験資格が得られる、
というようなことが書いてありましたので、
http://ameblo.jp/legal-practice-in-house/entry-11919219262.html
もしかしたら本当なのかもしれません。

しかし、
ワシントン州の裁判所規則を見てみたところ、
http://www.courts.wa.gov/court_rules/
http://www.wsba.org/~/media/Files/Legal%20Community/Committees_Boards_Panels/APR%20Task%20Force/APR%20Amendments%20%2009062012.ashx
やはり日本の法学部を出ていないと、
LL.M.を終了しても受験資格は得られなさそうです。

唯一期待が持てそうな規定は、
(iii) graduation from a United States law school not approved by the Board of Governors together with the completion of an LL.M. degree for the practice of law as defined by these rules; or
ですが、
すぐ次に、
(iv) graduation from a university or law school outside the United States with a degree in law together with the completion of an LL.M. degree for the practice of law as defined by these rules; or
と続くことから、
厳しいだろうなと。

上記の彼女も、
友人たちに確認できたら連絡をくれるとのことですが、
これ以上の情報は期待できなさそうです。

2014年8月5日火曜日

conditional discretionの問題

「Adams ON CONTRACT DRAFTING」の2014年8月4日付で、
Acme shall not sell the Shares unless Widgetco consents.
という「条件付き禁止」(conditional prohibition) の文と、
Acme may sell the Shares only if Widgetco consents.
という「条件付き裁量」(conditional discretion) の文と、
どちらが望ましいかという記事が記載されています。
http://www.adamsdrafting.com/shall-not-unless-versus-may-only-if/

Adams氏の結論は、
Acme shall not destroy the Equipment unless Widgetco consents.
Acme may destroy the Equipment only if Widgetco consents.
では前者が望ましいというように、
表現される行為が望ましいか・望ましくないかで判断されるだろう、
というものでしたが、
(上記の文例では「機械を破棄しない」状態が望ましいと推測される)
読者コメント欄で活発な議論があり、
そちらの方が参考になりました。

コメントの一つに、
 "Crossing the border is discretionary only on weekends."
(= "One *may* cross the border only on weekends.")
という文例を挙げて、
「条件付き裁量」(conditional discretion) の文を使用すると、
その条件が満たされない場合は、
行為が「義務付けされる」(mandatory)のか「禁止される」(forbidden)のか、
曖昧になるため、
(上記の文例の場合、平日は国境を「渡らなければならない」(mandatory)のか、「渡ってはいけない」(forbidden)のか、曖昧)
「条件付き禁止」(conditional prohibition) の文を使用するのが望ましい、
とありました。

「条件付き禁止」(conditional prohibition) の文で、
上記の例文を書きなおした場合、
"One shall not cross the border on weekdays."
または、
"One shall cross the border on weekdays."
とするべき、
ということでしょう。

実際の契約書ではどうするべきか、
よく考える必要がありそうです。

2014年8月1日金曜日

「liquidated damages」 and/or 「actual damages」

「Adams ON CONTRACT DRAFTING」の2014年7月30日付の記事で、
「liquidated damages」(予定損害金)と「actual damages」(実際の損害賠償)とを、
選択できる規定が、
米国ヴァージニア州のCircuit Courtで「無効」とされたと記載しています。
http://www.adamsdrafting.com/making-liquidated-damages-optional/

米国ヴァージニア州のCircuit Courtが、
日本のどのレベルの裁判所に該当するのかは不明ですが、
「無効」とされた理由は2つあり、
1つは、
米国ヴァージニア州の最高裁判所の判例が、
「liquidated damages」(予定損害金)は、
“to avoid all future questions of damage”
という目的を果たさなければならない、
と言っていることです。
もう1つは、
「liquidated damages」(予定損害金)と「actual damages」(実際の損害賠償)との、
多い方を選択できるのは、
米国法で禁止されている「penalty」(罰金)に該当する、
とのことです。

この考え方は、極めて明確で理解しやすいのですが、
残念ながら、
私が扱う英文契約書では見かけたことがありません。

よく見かけるのは、
「liquidated damages」(予定損害金)に加えて、
「actual damages」(実際の損害賠償)も請求できる、
という規定です。

しかし、
「liquidated damages」(予定損害金)or「actual damages」(実際の損害賠償)
という規定が無効なら、
「liquidated damages」(予定損害金)and「actual damages」(実際の損害賠償)
という規定も当然無効となるというのが、
論理的な帰結だと思います。
(あくまでも米国(さらにはヴァージニア州)においては、ですが)

この考えが、
米国全体で通用するのか、
今後hornbookか判例データベースで確認しておく必要があります。

2014年7月30日水曜日

英文契約書サンプルの入手方法

私が翻訳業に従事している時からの原則ですが、
何かを翻訳する場合には、
まず最初に実際に使用されている例を見つけます。

主にはgoogle検索ですが、
google検索は当然、
インターネット全体を対象としますので、
探している種類の英文契約書をピンポイントで見つけることは、
なかなか難しいですし、
英語を母国語としている国以外の英文契約書も多数ヒットしてしまいます。

私は、
「Business-in-a-Box」という英文契約書サンプル書式ソフトも使っていますが、
これが本当に酷い文例の書式ばかりで、
あまり使う気になれません。
英語ネイティブも、こんなに酷い文例を使用しているのだという、
ある種の安心感は得られて良いのですが。

そこで、
より実践的なのは、
米国の企業その他法人がSEC(Securities and Exchange Commission:米国証券取引委員会)に提出することを義務付けられている「すべての重要な契約書」(all material contracts)を、
SECのEDGARシステム(the Electronic Data Gathering, Analysis, and Retrieval system)で検索することです。
http://www.sec.gov/edgar.shtml

しかし、
このサイトそのものから、
探している種類の英文契約書を検索することは難しいため、
工夫が必要になります。

「Adams ON CONTRACT DRAFTING」でも、
2006年12月14日付の記事、
http://www.adamsdrafting.com/retrieving-and-using-contracts-filed-with-the-sec/
2013年5月日付の記事、
http://www.adamsdrafting.com/lawinsiderdocom-a-new-database-of-edgar-contracts/
2014年7月23日付の記事、
http://www.adamsdrafting.com/an-update-on-retrieving-contracts-from-the-secs-edgar-system/
で、説明しています。

記事では、
おなじみのLexisとWestlawに加えて、
以下の3つの無料サイトが紹介されています。

LawInsider.com
http://www.lawinsider.com/
findlaw.com
http://corporate.findlaw.com/contracts/
onecle.com
http://www.onecle.com/

この中では「LawInsider.com」が一番使いやすいので、
私は主にこれを使っています。

2014年7月24日木曜日

現在形 or 現在完了形 or else

「Adams ON CONTRACT DRAFTING」の2014年7月23日付の記事として、
「Getting Right the Temporal Aspect of Adjective Clauses」
(形容詞節内の時間相を正しく使用する)
が掲載されていました。
http://www.adamsdrafting.com/getting-right-the-temporal-aspect-of-adjective-clauses/

「形容詞節」(Adjective Clauses)とは、
いわゆる「従属節」(subordinate clause)の一種類で、
「時間相」(Temporal Aspect)とは、
最近ではカタカナでそのまま「アスペクト」と呼ぶことが多いですが、
「進行形」「完了形」などの「相」(aspect)です。

記事には3つ例文が挙げられていて、
まず、
①「Acme shall reimburse the Vendor for reasonable expenses that the Vendor incurs in connection with manufacture of the Units being cancelled.」
は、キャンセル後に発生した合理的費用のみ補償すると解釈される可能性があり、
次に、
②「Acme shall reimburse the Vendor for reasonable expenses that the Vendor has incurred in connection with manufacture of the Units being cancelled.」
は、キャンセル前に発生した合理的費用のみ補償すると解釈される可能性があるため、
③「Acme shall reimburse the Vendor for reasonable expenses that the Vendor incurs before and after cancellation in connection with manufacture of the Units being cancelled.」
とするのが良いと書かれていました。

私の場合、
そこまで「アスペクト」による影響を深く考えないで、
起案する場合には単純に①としていましたので、
今後はAdams氏に倣って、
より明確&具体的な文章で起案しようと思います。

2014年7月23日水曜日

無料webcast

「Adams ON CONTRACT DRAFTING」のAdams氏が、
West LegalEdcenterのために2012年に作成したNDAに関するwebcastを、
youtube上で無料公開しています。
http://www.youtube.com/watch?v=dxToNUZxWzY&feature=youtu.be

PowerPoint資料はこちら。
http://www.adamsdrafting.com/wp/wp-content/uploads/2014/07/Drafting-and-Reviewing-Confid-Ags-2012.pptx

仕事の内容とはいえ、
職場でyoutubeを観るのは躊躇われるので、
自宅で観てみます。

2014年7月17日木曜日

「Efforts」と「Endeavours」

「Adams ON CONTRACT DRAFTING」の2014年7月16日付の記事に、
「イングランドの弁護士」も「Endeavours」ではなく「Efforts」を使うべきだと、
書かれていました。
http://www.adamsdrafting.com/english-contract-drafters-should-consider-using-efforts-instead-of-endeavours/

Adams氏にしては非常に穏やかな表現を使っていますが、
実にアメリカ人らしい発言だなあと感じました。

イングランドの弁護士にしてみると、
「お前にそんなことを言われる筋合いはない」となりそうですが、
だからこそ、
全世界的に読み易い英文契約書を目指すAdams氏の活動の価値は、
極めて高いと個人的に考えています。

ところで、
Adams氏はその論拠として、
Googleの「Ngram」(Google Booksをコーパスとするデータベース) を使って、
「Efforts」と「Endeavours」の、
1800年から2000年までの使用頻度の推移を表にして掲載しています。

ちなみに、
Adams氏自身は普段から、
新聞・ニュースではまず出てこないような語彙を多用しています。
法律家というよりは語学屋であるILTにとってはとても参考になるのですが、
この記事への読者コメントで、
Adams氏の友人であるChris Lemens氏が
同じく「Ngram」を使って、
Adams氏が記事に使っていた「loathsome」「derangement」「evidently」という3つの単語の、
1800年から2000年までの使用頻度の推移を表にして掲載すると共に、
「Physician, heal thy archaisms!」
とありました(笑)。

これは、
新約聖書のLuke 4:23に出てくる、
Physician, heal thyself」をもじったもので、
「医者の不養生」というような意味の諺として使われています。

これに対するAdams氏のコメントも、
「私はNgramを、各表現の相対的な使用頻度を示すために使ったのであって、
 誰かの評判を落とすためじゃない(笑)」
という、
実にAdams氏らしいコメントでした。
(そして、「a bunch of shambling semiliterates」という表現も、実にAdams氏らしい表現です)


しかし、
Googleの「Ngram」でのグラフの作成方法がよく理解できません。
職場のPCにかかっている規制のせいかもしれないので、
自宅のPCで試してみるつもりです。


2014年7月9日水曜日

「両者協議の上、~を決定するものとする」

営業担当者からリクエストが(ダントツで)最も多い、
他社の契約書(案)に対する修正(=追加)文言です。

そもそも契約書を締結する目的を、
(=問題が発生した場合の具体的対応を事前に合意しておく)
真正面から否定するような文言で、
特に英文契約書を扱う法務担当者にとっては、
抵抗を感じる文言ですが、
営業担当者からリクエストされる以上、
追加せざるをえません。

また、
契約書の文言を合意する際には、
その文言の法的有効性よりも、
問題発生時に相手から無茶なことを言われないようにという、
法的有効性以前の牽制目的が重要なので、
「問題発生後に、両者協議の上、対応を決定するものとする」
という文言は、
とても意味があると思います。

以下、例文です。
「, on condition that the parties discuss and agree to the compensation that Seller will provide to Buyer after the cause of the compensation occurs, considering Seller's responsibility for the cause, the circumstances where the cause occurs, and any other related matters.」

日々、こういう文章ばかり書いていると、
普段の発言も言い訳がましくなりそうで心配です。

契約書『Document Asasembly』システム

Kenneth Adams氏がchief content advisorを務める、
『ContractExpress』という契約書『Document Asasembly』システムのウェブサイトに、
7/7(月)付けで、
契約書『Document Asasembly』システムの導入全般に関する記事が掲載されていました。
http://www.business-integrity.com/blog/2014/07/the-challenges-of-document-assembly-and-how-to-overcome-them/

Q&A形式の契約書『Document Asasembly』システムは、
ILTが契約書『翻訳システム』と共に、
近い将来、
導入したいと考えているものです。

『ContractExpress』の価格と機能次第ですが、
今年度は契約書文言の整備に傾注して、
来年度の(自腹での)導入を考えています。

しかし、もしかしたら、
『翻訳システム』の方が、
先に導入できるかもしれません。

ある法務専門翻訳家から、
『Felix』という翻訳メモリーツールを紹介され、
http://jp.felix-cat.com/
このメモリが、
リモートで作業するのに非常に便利とのことで、
来年年明けからの(もちろん自腹での)導入を考えています。

さらに将来的には、
一企業に限らず、
複数の日本企業を対象に上記サービスを提供できるようになれば、
日本企業全般の国際競争力の底上げに、
ささやかながら貢献できるのではないかと目論んでいます。

2014年7月4日金曜日

「provided, however, that」撲滅運動

「provided, however, that」は、
いわゆる『但し書き条項』の決まり文句として、
やたらと頻用されている表現ですが、
少しでもまともに考えたことがある人ならお気付きでしょうが、
非常に曖昧な表現です。

当然ながら、
Kenneth Adams氏の「A Manual of Style for Contract Drafting 第3版」でも取り上げられていて、
326~327ページで説明されています。
そこでKenneth Adams氏は、
「provided, however, that」で表現される内容を、
以下のように4つの種類に分類して、
それぞれの言い換え文言例を紹介しています。

① 例外(Exception)
   言い換え文言例:「except that」

② 制限(Limitation)
   言い換え文言例:「and in any event」 


③ 条件(Condition)
   言い換え文言例:「on condition that」

④ 追加(Addition)
   言い換え文言例:「and」

私の経験では、
ダントツで使用頻度が高いのが③条件(Condition)で、
次に使用頻度が高いのが①例外(Exception)です。

私は、
英文契約書を読んでいて「provided, however, that」に出くわすと、
相手の契約担当者の英語力(というよりも物事を明確に思考&表現する能力)に不安を感じ、
憂鬱になります。

そういうわけで、
私は日々コツコツと、
「provided, however, that」撲滅運動に努めているわけです。


(2017年10月31日追記)
本日珍しく、
②制限(Limitation)を使う必要がありましたが、
Kenneth Adams氏が推奨する「and in any event」を使うには、
・「制限された内容」and in any event「より制限された内容」
という文章構造でないと、おかしくなる気がします。


今回は、
「制限されていない内容」と「制限された内容」を繋ぐ必要がありましたので、
時間がなかったこともあり、
とりあえず「provided, however, that」を使いました(苦笑)。


今回のような文章構造の場合、
どのような繋ぎ表現がよりベターなのか、
もう少し考えてみます。


まあ、
「制限されていない内容」と「制限された内容」を繋いだ文章を使わない、
というだけのことかもしれませんが。

2014年7月3日木曜日

完全合意条項(entire agreement clause)

完全合意条項(entire agreement clause)とは、
英文契約書に特徴的な条項の1つで、
ざっくり言うと、
「この契約以前の合意は書面・口頭を問わず全部無効」とするための条項です。

「integration clause」や「merger clause」とも呼ばれるそうでうが、
実際の英文契約書で「entire agreement 」以外の表現を見たことはありません。

典型的な文言は、
「This agreement supersedes any prior or contemporaneous written or oral agreements between the parties with respect to the subject matter of this agreement.」
というもので、
「過去または同時の...合意よりも優先」という形で「以前」を表現します。
(「contemporaneous」という単語は、日常会話ではあまり使いませんよね)

ここで生じてくるのが、
いわゆる「約款」(=一方の当事者が一方的に押し付ける条件)の効力も排除したいと思う時に、
どう書くのが適切かという問題です。

私の会社の雛型文言ではざっくりと、
「This agreement supersedes all other agreements, whether written or oral, between the parties.」
として、
とにかくすべての合意に優先する、
と規定しています。

ちなみに、
私の会社の雛型文言ではこの直後に「変更条項」が来て、
「No amendment to this agreement will be effective unless it is in writing and signed by both parties.」
と、将来的な両者の署名合意は有効としています。

もっとも、どう規定していても・いなくても、
将来的な両者の署名合意が(裁判所などに)無効と判断される可能性は極めて低いとは思いますが。

この2つの条項で、
「約款」は十分に排除できると思いますが、
規定が具体的なほど、
その有効性を否定されるリスクが小さくなることも事実です。

以下は、いわゆる「シュリンク・ラップ約款」などを排除する文例ですが、
「Adams ON CONTRACT DRAFTING」の2014年7月2日付の記事のコメント欄に、
常連さんの一人であるVanceさんがアップしていたものです。
http://www.adamsdrafting.com/when-entire-agreement-provisions-and-click-wraps-or-browse-wraps-collide/

「This agreement supersedes any prior or contemporaneous written or oral agreements or communications between the parties. It may not be modified except in a writing signed by both parties. No "click-through," "shrink-wrap," "browse-wrap" or similar terms that have not been specifically negotiated by the parties, whether before, on, or after the date of this agreement, will be effective to add to or modify the terms of this agreement, regardless of any party's "acceptance" of those terms by electronic means.」

なるほど、
ここまで具体的に書けば、
有効性を否定されるリスクは極めて小さそうですね。

2014年7月1日火曜日

米国連邦最高裁判所2013-2014年開廷期の主な判例

恒例のThe New York Times紙によるまとめ記事です。

『Key Supreme Court Decisions in 2014』
http://www.nytimes.com/interactive/2014/06/19/us/major-supreme-court-decisions-in-2014.html

いずれも極めて興味深い判例ですが、
個人的には、
政教分離を定めた米国憲法修正第1条に関する、Town of Greece v. Galloway
affirmative actionに関する、Schuette v. BAMN
が、特に興味深かったです。

2014年6月10日火曜日

「notwithstanding」「subject to」の使い方

「Adams ON CONTRACT DRAFTING」の2014年6月9日付の記事に、
「notwithstanding」の使い方について書かれていました。
http://www.adamsdrafting.com/a-notwithstanding-sideshow/

Adams氏が「直解主義者」(literalist)と批判する人からの質問として、
“Notwithstanding anything to the contrary herein,”よりも、
“Anything to the contrary herein notwithstanding,”が正しいのでは?
という質問を紹介していて、
それに対する Adams氏の回答は、
「そうかもしれないけれど、どちらでも同じ&どちらも使うべきではない」というものです。

まず、
「語学屋」として上の質問を考えると、
(私の自己意識は、未だに「法律屋」ではなく「語学屋」です)
この質問は、
「notwithstanding」は「前置詞」(preposition)なのか「後置詞」(postposition)なのか?
というものです。
そして「語学屋」としての回答は、
「どちらとしても使う」=「どちらも正しい」です。

次に、
「どちらも使うべきではない」というAdams氏の意見ですが、
では何を使うべきなのかというと、
「subject to」を使うべきだとAdams氏は言うのです。

これは、まったく合理的な意見で、
「A Manual of Style for Contract Drafting 第3版」でも、
315~316ページで説明されています。

「Notwithstanding~条,」(~条の規定にも関わらず・~条の規定に優先して)と書くと、
読み手は、その~条を読んでいる時には、
他にその内容を変更・制限する内容があることを知らないで読むことになり、
誤解を生じやすくなる、
少なくとも、
契約書を正確に理解する手間が増えることになります。

それに対して、
「Subject to~条,」(~条の規定に従って・~条の規定が優先するものとして)と書くと、
読み手は、即、その優先する内容を読むことができ、
誤解が生じにくくなる、
契約書を正確に理解する手間が省けることになります。

読みやすさなど、
ほとんど気にしないで英文契約書を起案している人が大半であるというのが、
これまで数多の英文契約書を読んできた私の感想ですが、
「法律屋」同士お互いの幸せのため、
さらには、
世の中をより幸せなものとするため、
できるだけ読みやすい英文契約書を起案することが、
「法律屋」には重要だと思うのです。

しかし、
ほとんどの会社、そして「法律屋」自身が、
読みやすさの向上に手間と時間(つまりは、お金)を掛けないために、
世界中の「法律屋」は日々、
お互いに読み辛い英文契約書を交換しては読むことに、
余分な手間と時間を費やしているわけです。
本当に、
人生の無駄遣いだと思います。

この状況を変えることに貢献することが、
「法律屋」としてのILTの目標の一つです。

2014年5月15日木曜日

「and」「or」の使い方

「Adams ON CONTRACT DRAFTING」の2014年5月14日付の記事に、
保証契約書の「and」の解釈が問題となっているケースが紹介されていました。
http://www.adamsdrafting.com/caesars-might-have-450-million-riding-on-an-and/

ケースは、
世界最大のカジノ運営会社であるCaesars Entertainmentが、
100%子会社の債務を保証する契約書上の文言についてですが、
親会社であるCaesars Entertainmentによる保証は、
以下の場合に終了すると規定しています。

①この子会社が、100%子会社でなくなった場合
②こ子会社が、100%子会社ではないその他の会社に全資産・資産の大半を移すか、合併した場合
「and」
③こ子会社が、「ディフィーザンス条項」(権利義務を無効とする条項)を援用した場合、または、保証契約が終了した場合

合理的に読めば、
①~③の「いずれか1つ」が満たされれば、
親会社の保証義務は終了することになり、
(その規定自体、どうかと思いますが)
実際、Caesars Entertainmentは、
保証義務を終了させるために持分の5%を売却しています。

しかし、
「and」で繋いでいるために、
英語の語法的には、
①~③「全て」が満たされなければ、
親会社の保証義務は終了しないと読めるのです。

この複数の項目を「and」で繋ぐか「or」で繋ぐかという問題は、
Adams氏が以前から繰り返し取り上げている問題で、
「A Manual of Style for Contract Drafting 第3版」(以下、MSCD)でも、
211~225ページで詳細に説明しています。
この部分は、
第11章「AMBIGUITY OF THE PART VERSUS THE WHOLE」(「部分」対「全体」についての両義性)に含まれていて、
特に論理学的な意味合いの濃い部分となっています。

私が曲がりなりにも英文契約書の仕事を続けていられるのは、
英語に対する興味と共に、
こういう論理学的な部分に対する興味があると思います。

その裏返しとして、
英語にも論理にも興味が薄い英文契約書の起案者&営業担当者に対して、
どのように対応するかというのが、
私の相変わらずの課題です。

2014年4月18日金曜日

ど素人のための中文契約書入門(その2)


あくまでもILTが読んできた範囲での印象ですが、中文契約書(正しくは中国企業が提案してくる中文契約書の案)の特徴は以下です:

 

      内容が、極めて厳しい場合が多い。

      (英文契約書と異なり、日文契約書と似て)誰が何をするのかが明記されておらず、推測が必要な場合が多い。

      (英文契約書と異なり、日文契約書と似て)同じ意味を表現するのに、異なる単語・表現を使用している場合が多い。

      契約書内の「定義」が適当な場合が多い。

      (英文契約書と異なり、日文契約書と似て)「甲方」「乙方」「丙方」という表現を使う場合が多い。

 

以下、より詳しく見ていきます。

 

      内容が、極めて厳しい場合が多い。

 

これには、3つの理由が想定されます。あくまでもILTの推測ですが、

 

まず一つは、相手が契約書の内容を遵守することを、本当の意味では期待していないのではないかということです。実効性を期待していないので、あくまでも理想論のような内容で書き連ねてしまうのではないかと。

 

もう一つは、交渉を前提に、なるべく自分に有利な条件で落とし所を探っていくため、とりあえず自分に極めて有利な条件から始めようとするのではないかということです。

 

最後に、日本と似て、「お客様は神様です」的な発想があるのではないかということです。もっともこれについては、ILTの会社では買う場合でも、まず相手に条件を出させるという慣習があるため、検証はできていません。

 

      (英文契約書と異なり、日文契約書と似て)誰が何をするのかが明記されておらず、推測する必要な場合が多い。

 

これについては、言語学的な要因が大きいと考えます。中国語は、日本語と同じく、「主題優勢言語」(topic-prominent language)と呼ばれる言語で、英語などの「主語(主格)優勢言語」(subject-prominent language)と比べて、述部で表現される動作や状態の「主体」が重視されません。そのため、日本語と同じく、「主体」が頻繁に省略され、場合によっては「主語」さえも省略される傾向があります

 

それでなくてもローコンテクストな言語(low-context language)である英語に比べて、ハイコンテクストな言語(high-context language)である中国語は、日本語と同じく、文章の様々な要素が省略される傾向があります

 

この2つの要因が合わさって、「誰」が「何」をできるのか(権利)、または、「何」しなければならないのか(義務)を規定することが最も重要である契約書と中国語とは、極めて相性が悪いと言えると思います。

 

      (英文契約書と異なり、日文契約書と似て)同じ意味を表現するのに、異なる単語・表現を使用している場合が多い。

 

日英中いずれの言語でも、一般の文章では、同じ意味を表現するのに、できるだけ異なる単語・表現を使用するのが著者の教養を示すものだと一般に考えられていると思います。しかし、「契約書」という「実用品」においては、著者の教養よりも内容の明確さが優先されるべきなのですが、「契約書」という存在がより確立している英語圏と比べて、中国語圏では一般の文章と同じような感覚で書いてしまうのではないかと推測されます。

 

      契約書内の「定義」が適当な場合が多い。

 

「製品」のような一般的な単語を定義する場合でも、「本件製品」とせず、単にそのまま「製品」で定義する場合が多い上に、中国語には大文字・小文字の区別もなく、また太字にするわけでもないため、一般的な話をしているのか、具体的な話をしているのか、一見では判別できないことがあります。これも、low-context×high-contextに連なることだと思いますが、わざわざそこまで明確にしなくても容易に区別&理解できるだろう、という発信側の発想だと思います。

 

      (英文契約書と異なり、日文契約書と似て)「甲方」「乙方」「丙方」という表現を使う場合が多い。

 

これは、日本人だろうと、中国人だろうと、ILTにはまったく理解できない発想です。そうする人たちに理由を聞いてみたいと常々思っているのですが、これまで聞く勇気が出ないと言うか、聞くことで相手の感情を害するのが怖くて、できていません。

 
どなたかこの発想を理解されている方がいましたら、ぜひ教えてください。

2014年4月17日木曜日

ど素人のための中文契約書入門(その1)

今年に入って、結構な数の中文契約書に目を通さなければならない状況に置かれました。
正確には、目を通す「必要」はないけれど、目を通した方が自分の仕事が「楽」になる、という状況に置かれました。

そんなわけで、中文契約書の読解力が少しでも向上するように、いろいろと「小細工」を重ねています。
中国語を本気で勉強する気になれれば、そんな「小細工」は必要ないのでしょうが、これまでのところ残念ながら、中国語を本気で勉強する「動機」を見つけることができていません。
何人かの知人に、(仕事以外で)中国語ができるようになると良いことを質問しましたが、これまでのところ何の回答も得られていません。
聞いた相手が悪かっただけかもしれませんが。

とにかく、
今後その「小細工」を、断続的に紹介していくつもりです。

今回は「10分間で読む中文契約書」です。


これは英文契約書も同じですが、
まず、契約書の各「見出し」の中国語を理解できるようにします。
契約書のどこに何が書かれているかを、大まかに把握するためです。


次に、やばそうな部分を、ピンポイントで読んでいきます。
これをするためには、「やばそうな単語・表現」を、ピンポイントで検索またはスキャニングします。

個人的に一番「やばそう」だと思う単語は「承」です。
「承担」「承诺」「承认」などなど。
もちろん、「损失」「损害」「费用」「责任」なども、明らかに「やばそう」な単語です。
「一切」「任何」「所有」 (すべて「すべて、いかなる」という意味です)も、かなり「やばい」単語です。


 その「やばそう」な部分で、
何が「義務」「禁止=不作為の義務」で、何が「権利」「不作為の権利」なのかを確認してきます。

「義務」:「必须」「须」「应」
「禁止=不作為の義務」:「不得有」
「権利」:「有权」「得」「将」
「不作為の権利」:「不必」「不要」

この「3ステップ」で、「やばそう」な部分について、なんとなく指摘できるようになるはずです。
あくまでも「なんとなく」ですが、、、

2014年4月16日水曜日

「通常損害」としての「逸失利益」

法律文書の翻訳を専門にしていた時からの長年の疑問に、
各種損害カテゴリーの射程・範囲というものがあります。

一度、ロースクールで「契約法」の授業を受講して、
体系的かつ大量にリーディング・ケースを読み込まないと、
本当の意味では理解できないだろうとは思っていますが、
なかなか踏み切れないまま今に至ります。

しかし、
確実に上記を経由しているはずの複数の米国法弁護士に質問しても、
その説明は曖昧に感じます。
私の理解が足りなくて曖昧に感じるのか、
実際に曖昧なのか、
おそらく両方なのでしょう。
今回の投稿は後者に該当する話です。


私が毎朝欠かさず読んでいる法務系ブログに、
「Adams ON CONTRACT DRAFTING」があります。
 http://www.adamsdrafting.com/

2014年4月15日の記事に、
裁判所で「逸失利益」 が「通常損害」と判断されたケースが紹介されていました。
http://www.adamsdrafting.com/referring-to-lost-profits-in-limiting-liability-provisions/

Adams氏は、
著書である「A Manual of Style for Contract Drafting 第3版」(以下、MSCD)で、
4つの理由を挙げて、
「責任の制限」条項において、
「付随的損害」(incidental damages)
「結果的損害」(consequential damages)
「特別損害」(special damages)
「間接損害」(indirect damages)
といった損害カテゴリーを排除することは役に立たないので、
「逸失利益」(lost profits)など、
より具体的な損害の種類を排除するようにと助言していました。
(MSCD 13.123)

しかし今回、
NY州の最高裁判所である「Court of Appeals」(上訴裁判所)で、
下級裁判所である「Supreme Court」(高位裁判所)の判決を覆す形で、
「逸失利益」 を「通常損害」(general damages)と判断する判決が出ました。
ただし、4対3のギリギリでの判決です。
http://www.adamsdrafting.com/wp/wp-content/uploads/2014/04/Biotronik-AG-v-Conor-Medsystems-Ireland-Ltd.pdf
(余談ですが、NY州では「Supreme Court」が下級裁判所で、「Court of Appeals」が最高裁判所と、他州と逆になっています。ややこしいですね。)

そこでAdams氏は、
一般的に「結果的損害」(consequential damages)と考えられていた「逸失利益」(lost profits)ですら、
「通常損害」(general damages)と判断される危険性があるため、
(判決文には、「逸失利益」は従来から、「通常損害」と判断される場合も、「結果的損害」と判断される場合もあったと書いています。おそらく、そうなのでしょう。)
損害賠償の範囲を制限するためには、
「損害金額の上限」(a cap)を明確に規定しておくのが良いと結論付けています。

言うは易し、行うは難し、ですけどね、、、
ILTがこれまで扱った案件で、
合理的な金額で「損害金額の上限」(a cap)を設定できたことはないです。
設定しなくても同じという天文学的数字しか設定させてくれません、、、


ちなみにAdams氏は、
「特別損害」(special damages)は、
「結果的損害」(consequential damages)と同義と、
MSCDに書いていて、
(本ケースの判決文にもそう書いてあります)
「通常損害」(general damages)は、
「直接損害」(direct damages)と同義と、
この記事に書いています。

しかし、
私の理解では、
「直接損害」(direct damages)の反対概念である、
「間接損害」(indirect damages)は、
「結果的損害」(consequential damages)よりも広い概念で、
従って、
「結果的損害」(consequential damages)と「特別損害」(special damages)が同義とするなら、
「間接損害」(indirect damages)は、
「特別損害」(special damages)よりも広い概念ということになり、
「通常損害」と「特別損害」との対比関係と、
「直接損害」と「間接損害」との対比関係との、
各対比関係の相違が、
良くわからなくなります。

ちなみに今回の判決文には、
(おそらくどの契約法の教科書にも同じようなことが書いてあると思いますが)
「通常損害」(general damages)は、
「are the natural and probable consequence of the breach of a contract」であり、
「特別損害」(special damages)は、
「do not directly flow from the breach」であると書かれています。

おそらく損害の範囲は、
「直接損害」(direct damages)と「間接損害」(indirect damages)とにMECEで二分できるけれど、
「通常損害」(general damages)と「特別損害」(special damages)とにMECEで二分できるものではなく、
それ以外の損害も存在するということかもしれません。
(ex.「付随的損害」(incidental damages)、「懲罰的損害」(punitive damages)、「名目的損害」(nominal damages)など。しかし、「懲罰的損害」と「名目的損害」とは「契約法上の損害」とは言えないので、どう扱うのが正しいのか疑問ですね。)

換言すると、
「通常損害」(general damages)=「直接損害」(direct damages)
「特別損害」(special damages)=「結果的損害」(consequential damages)
だけれど、
「通常損害」「直接損害」には、一部の「付随的損害」も含まれ、
「間接損害」には、「特別損害」「結果的損害」に加えて、一部の「付随的損害」、すべての「懲罰的損害」、さらには「名目的損害」も含まれる、
ということかもしれません。
それとも、一部の「付随的損害」は、「特別損害」「結果的損害」に含まれるのかもしれません。

おそらく、
「通常損害」と「特別損害」は、「契約法上の損害概念」だと思うのですが、
「間接損害」は、「(不法行為法など)契約法の範囲を超えた損害概念」である、
ということかもしれません。

それとは別に、
「特別損害」は、「結果的損害」と「付随的損害」を合わせた概念という説明と、
「特別損害」は、「結果的損害」と同義だという説明とが、
いろいろなところで併存しているように思えます。

う~ん、混乱してきました。
(正しくは、長年混乱しています)

損害の概念が完全に理解できるまで、まだまだ先は長いようです。