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2017年5月26日金曜日

『ファイナンス法 - 金融法の基礎と先端金融取引のエッセンス』(商事法務2016年)

今、アンダーソン・毛利・友常法律事務所の酒井俊和弁護士が書かれた、
『ファイナンス法 - 金融法の基礎と先端金融取引のエッセンス』(商事法務2016年)
を読んでいます。

私の仕事では、
ごくたまに回ってくる、
主に流動化のための金融機関との契約書くらいでしか、
ファイナンス法に触れる機会がありません。

したがって、
仕事の面からは、
この600ページ弱の大著を読み進めるモチベーションを見付けることは、
難しいです。

では、
なぜこの本を読んでいるのかと言いますと、
まず、
Business Lawyersウェブサイトの連載記事(5回連載)、
『ファイナンス法の基礎』を読んで、
何となく全体像を掴んだことで、
弾みがついたからです。

そして、
なぜこの連載記事を読んだのかと言いますと、
酒井弁護士とフットサルをしているからです(笑)

そして、
ある程度読み進めることができると、
酒井弁護士が、
この本の執筆に莫大な時間と労力とを投入したであろうことが想像できて、
こちらも完読くらいはしよう!
というモチベーションが湧いてきます。

この本の位置付けは、
「ファイナンス法の網羅的な入門書」だと思いますので、
おそらく想定読者は、
①これからファイナンス法に取り組む弁護士
②これからファイナンス法に取り組む法務担当者
だと思います。

私は①にも②にも該当しないのですが、
③ファイナンス法関係の契約書を翻訳する翻訳者
にも最適な本で、
私の場合は(将来的に)これに該当しそうです。

問題は、
ファイナンス法関係の契約書の翻訳のニーズが、
世の中にどの程度あるのか、
そして、
そのニーズにどうすればアクセスできるのか、
(要するに、どうすれば仕事を得られるのか)
という点でしょう。

この点を、
これから調べてみようと思います。

2017年2月21日火曜日

東芝と米国電力会社との価格契約

いろいろなメディアで取り上げられていますが、
とりあえず、
2017年2月21日付の、日本経済新聞(電子版)の記事です。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO13149140Q7A220C1EA1000/?n_cid=NMAIL001

>「買収直後に結んだ価格契約が原因」と、ある幹部は打ち明ける。
要するに、
ここで工事費用の固定を、
米国の電力会社としてしまったことが、
今回の根本的な原因だったということでしょう。
もちろん、
そうせざるを得なかった、
それまでの経緯があるのでしょうが。

問題は、
この、ある意味単純な契約条件を、
原子力事業を統括してきた前会長の志賀重範と、
WH会長のダニエル・ロデリック氏以外、
東芝の経営陣が認識していなかったらしいことです。

果たして、
そんなことが起こり得るのか?

起こり得るとしたら、
東芝の構造的な問題か、
または、
志賀重範・前会長による取締役としての義務違反でしょう。

そういう観点から見ると、
まったく他人事ではないと思います。

日本側の問題としては、
東芝によるWH買収&その後の問題・失態により、
数兆円規模の金が、
日本から米国に流れた・流れることになります。

米国側の問題としては、
(個人的には『幸運』だと思いますが)
当面の間、
原発の新規建設がなくなるでしょう。

これが東芝という日本企業でなければ、
はるかに早い段階で、
チャプター11and/or公費投入ということになっていたでしょう。

米国側の原発政策も絡めて、
今回の事件について詳細に説明している、
2017年2月13日付のBloombergの記事です。
https://www.bloomberg.com/news/articles/2017-02-13/toshiba-s-nuclear-reactor-mess-winds-back-to-a-louisiana-swamp

この記事では、
Shaw Group Inc.という米国の新興企業(1987年設立)と、
その創業者であるJames Bernhard Jr.氏とが、
今回の事件で果たした中心的役割を取り上げています。

工事案件で、
ろくでもない工事屋を下請に使うと、
ろくでもないことになるのは、
ありふれた話ですが、
これだけの規模になると、
歴史的な話になりますね。

このBloombergの記事、
(少なくとも私は)これまで知らなかった経緯を取り上げていて、
とても参考になりますので、
東芝の問題に興味のある方は、
ぜひ読んでみてください。

シャープの問題は、
それほど興味が惹かれなかったのですが、
(それでも数冊のノンフィクション本は読みましたが)
東芝の問題は、
非常に興味が惹かれます。

おそらく、
米国、契約、訴訟、工事、原発など、
私が興味を持っていることに、
より関係しているからでしょう。

2017年2月9日木曜日

米上院、5票差でセッションズ司法長官を承認

日本時間で2月9日、
米国時間で2月8日、
米上院で、
トランプ大統領が司法長官に指名したジェフ・セッションズ氏(Jeff Sessions)が、
52対47の賛成多数で承認されました。
https://en.wikipedia.org/wiki/Jeff_Sessions

共和党議員全員と民主党議員1人の賛成を得たとのことですが、
ちなみにその民主党議員とは、
ジョー・マンチン上院議員(Joe Manchin)です。
https://en.wikipedia.org/wiki/Joe_Manchin

マンチン議員は、
民主党に所属しながらも、
中絶反対派&銃賛成派ということで、
共和党と親和性が高い議員のようです。

以下、日経新聞の記事です。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM09H2Z_Z00C17A2MM0000/

まず確実に承認されるであろう、
ゴーサッチ連邦最高裁判事候補の指名と共に、
米国司法の保守化がどこまで進むのか、
懸念されます。
同時に、
興味深くもありますが。

2016年12月14日水曜日

中国法における瑕疵担保期間の考え方

中国企業相手の売買契約における瑕疵担保期間についてググッていて、
またもhitorihoumuさんのブログ記事にヒットしました。

ちなみに、
検索ワードは「中国法 瑕疵担保期間」です。

他のソースを見ても、
原則は「2年」で(民法通則135条)、
起算点は「権利の侵害を知り、または知ることができた時」のようです(民法通則137条)。

第一百三十五条 向人民法院请求保护民事权利的诉讼时效期间为二年,法律另有规定的除外。
(人民法院に対して民事権利を保護するために請求をする訴訟時効の期間は2年。法律で除外する規定あり。)

第一百三十七条 诉讼时效期间从知道或者应当知道权利被侵害时起计算。但是,从权利被侵害之日起超过二十年的,人民法院不予保护。有特殊情况的,人民法院可以延长诉讼时效期间。
(訴訟時効期間は、権利の侵害を知り、または知ることができたときから起算する。(後略))

正確には、
瑕疵担保期間ではなく、出訴期限=訴訟時効ですが、
時効の中断事由が、
日本法と異なり、
催告後6カ月に訴訟など提起する必要なく(民法153条)、
催告しただけで2年ずつリセットされるようです(民法通則140条)。

しかし、
いずれにせよ、
販売先と仕入先とでギャップが生じないなら、
具体的な期間で合意しておくことが安全というのは、
何法でも変わりませんし、
(特に私にとって)中国法の分からなさを考えると、
なおさらそう言えます。

2016年10月26日水曜日

法廷通訳、裁判所が鑑定 インドネシア語で誤訳疑い

10月26日(水)の朝日新聞の記事です。

「9月29、30日の2日間に3人の証人尋問を担当した通訳人について、弁護側から誤訳の疑いがあるとの指摘があった。29日の法廷では、通訳人が何度も「ということだと思います」と話し、辻川裁判長が「証人の答えだけを訳してください」と注意する場面もあった。」

ある意味、
この通訳人は誠実だと思います。

私が通訳をする時には、
たとえ自信がなくても、
「ということだと思います」などとは、
絶対に言いませんから。

「訳が極端に短い場合などを除くと、弁護士や裁判官が誤訳に気づくことはない」

はい。
私が通訳をする時に最も気を付ける点は、
とにかく元の発言の長さと、
訳の長さを揃えることです。
たとえ、
全く意味のない言葉や、
同じ内容を繰り返してでも(苦笑)

「静岡県立大の水野かほる准教授(日本語教育)は、「(元の日本語の)質問の言いまわしをわかりやすくする工夫も必要だ」と話す。」

本当にその通りで、
翻訳もそうですが、
(正確性を検証する時間も含めて)時間的な余裕のない通訳では、
いかに元の発言を明確にするかということが、
通訳の質に大きく影響します。

ですので、
コミュニケーションを本当に分かっている人は、
普段と、通訳を通す場合とで、
話し方を変えるのです。

もっとも、
それだけのコミュニケーション能力を持った人は、
ほとんど存在しないでしょう。

私もできていないというか、
これまで通訳される機会がなかったので、
きっとできないだろうと推測します。

2016年10月22日土曜日

「介護」に道開く外国人技能実習法案、衆院委を通過

2016年10月21日の朝日新聞の記事に出ていましたが、
悪名高い『外国人技能実習制度』に、
『介護』が追加されるようです。

実際の記事を読むと、
記事のタイトルとは異なり、
『外国人技能実習制度』に『介護職』が追加されたわけではなく、
『外国人技能実習制度』の改正と、
『在留資格』への『介護』の追加という、
別々の改正法案が、
まとめて出されたというように読めます。

しかし、
同日の時事通信による記事、
同じく同日の毎日新聞による記事を読むと、
やはり『外国人技能実習制度』に『介護職』が追加されるようです。

私個人的には、
他の財政支出を削ってでも財源を確保して、
日本人『介護職』の待遇を向上させることが先だと思うのですが、
日本の縦割り財政では、
できないのでしょう。

また、
「受け入れ先への監督を強化」と言っていますが、
日本という国は、
ルールは作っても、
そのルールを守らせることは不得意と言うか、
本音と建て前を使い分けると言うか、
結局、
『性善説』に基づいて、
制度を遵守するか否かは、
個々の『良心』に任せるという、
したがって、
そのような『良心』を気にしない人なら、
比較的容易に濫用できるという、
どうにもモヤモヤした仕組みになっているのが気持ち悪いです。

『生活保護』しかり、
『労働法』しかり、
『献血制度』しかり。

そのために、
議論や話し合いを避ける傾向、
議論や話し合いをすると感情的になる傾向、
空気を読ませようとする強力な圧力、
空気を読まない人を排除しようとする強力な圧力、
という、
副作用が生じているように感じます。

2016年10月21日金曜日

ASEAN進出、法務支援 東京に事務所

10月21日(金)の日本経済新聞電子版の記事です。

前ベーカー&マッケンジーの栗田哲郎弁護士が参画する法律事務所が、
結構大々的に紹介されていました。

シンガポールで「20人以上の現地弁護士を率いる」というのは凄いと思います。
距離的にも、業務的にも、文字通り、遠くに行ってしまった気がします。

11月1日(火)に、
栗田弁護士も通訳を務める『One Asia』のセミナーに、
挨拶を兼ねて参加するつもりでしたが、
少なくとも「挨拶」には意味が無いように思えてきました。

もっとも、
セミナーの内容(ASEAN各国の紛争解決制度の紹介&比較)は、
私のニーズにドンピシャなので、
参加しようとは思います。

(追記)
仕事の都合で、
残念ながらセミナーに参加することはできませんでした。

2016年10月14日金曜日

月100時間強の時間外労働by電通

ここのところずっと話題になっている事件ですが、
「月100時間を超える時間外労働をこなしたこともあり、高橋さんは精神障害による労災認定の基準の一つを超えたと判断された。」
ということばかり、
(特にマスコミの)議論の焦点となっていますが、
多くの一般人がコメントしている、
「実際の残業時間が、たった100時間強のわけないだろ!」という論点が、
まったく取り上げられていないのが、
本当に不思議でなりません。

なぜ、大手マスコミは、どこもそこに言及しないのか?
「憶測」で、電通と事を構えるのが、それほど怖いのか?

おそらく、怖いのでしょう。
大手マスコミにとって広告収入は生命線であり、
電通が、その生命線の多くを握っているからでしょう。

これだけを取っても、
大手マスコミの存在意義が疑われます。

当たり障りのない情報のソースとしては、
極めて有意義だが、
本当に重要な情報のソースとしては、
まともに機能しない、
というのが、
大手マスコミという存在なのでしょう。

広告or税金という紐付きでないしっかりとしたメディアが、
そろそろ誕生して欲しいものです。

きっと、
物凄い圧力を政財界から受けるでしょうが。

(追記)
オリンパス事件をスクープした『FACTA』が、
今年2月の時点で、
東京オリンピック招致の裏金問題を報じており、
しかもその記事の著者が、
英国Guardian紙のOwen Gibson記者で、
https://www.theguardian.com/profile/owengibson
Owen Gibson記者は、
その3カ月後の今年5月11日に、
所属するGuardian紙に詳細な記事を発表しています。
https://www.theguardian.com/sport/2016/may/11/tokyo-olympics-payment-diack-2020-games

改めて、
『FACTA』凄いなと。

その経緯をまとめた『サンデー毎日』に記事です。
http://mainichibooks.com/sundaymainichi/column/2016/06/05/post-892.html

電通、働けるものなら、一度働いてみたいものですが。

2016年9月27日火曜日

INSTITUTE CARGO CLAUSES(協会貨物約款)

海上保険で一般的に使用される約款で、
貨物保険において『ロンドン国際保険引受協会』(IUA: International Underwriting Association of London)が定めた代表的な保険条件のことで、
2009年版が最新版のようです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%94%E4%BC%9A%E8%B2%A8%E7%89%A9%E7%B4%84%E6%AC%BE
https://www.scangl.com/media/1257/icc-a-2009-cl382.pdf

ちなみに、
  • All Risks, A/R
  • With Average, WA
  • Free from Particular Average, FPA
というのは、
1982年版までの呼び方のようで、
2009年版ではそれぞれ、
  • I.C.C. (A) 
  • I.C.C. (B) 
  • I.C.C. (C) 
となっているようです。
まるでIncotermsみたいです。

上記の『Average』は、
『海損=航海に関し船舶または積荷について生じる損害および費用』という意味で、
『共同海損』は『general average』または『GA』と言います。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%B1%E5%90%8C%E6%B5%B7%E6%90%8D

このICC上で、
韓国hanjinの倒産がどう扱われるかを解説した、
大手法律会社Clyde & Coによる記事を見付けたました。

対象となる条項をただ紹介しているだけで、
ほとんど何の説明も足していないようにも思えますが、
「...知っているか、通常の業務上当然知っているべきである」
ことの挙証義務が保険会社にあるということが分かっただけでも、
大収穫です。
http://www.clydeco.com/insight/article/hanjin-shipping-cargo-insurance-implications

Analysis – the insolvency exclusion

The Institute Cargo Clauses (A) 1/1/82, at Clause 4.6, provide that:
"Exclusions
4. In no case shall this insurance cover:
4.6 Loss damage or expense arising from insolvency or financial default of the owners, managers, charterers or operators of the vessel…". 
Over course of time a more restricted exclusion wording,  came to be used in the London market, notably in the Institute Commodity Trades Clauses of 1983). This was adopted as Clause 4.6 of the Institute Cargo Clauses (A) 01/01/2009 as follows:
"Exclusions
4. In no case shall this insurance cover:
4.6. Loss damage or expense caused by insolvency or financial default of the owners managers charterers or operators of the vessel where, at the time of loading of the subject-matter insured on board the vessel, the Assured are aware, or in the ordinary course of business should be aware, that such insolvency or financial default could prevent the normal prosecution of the voyage.
This exclusion shall not apply where the contract of insurance has been assigned to the party claiming hereunder who has bought or agreed to buy    the subject-matter insured in good faith under a binding contract". 
The exclusion will therefore not apply if the policy has been assigned to a buyer in good faith under a binding contract.

Also, and more importantly, the exclusion does not apply in any event unless the Assured were "aware or in the ordinary course of business should be aware" that the owners' insolvency or financial default could prevent the normal prosecution of the voyage. Underwriters would have the burden of proving in any given case that at the relevant time the insured was aware or in the ordinary course of business should have been aware that the insolvency or financial default which has proximately caused the loss could have prevented the normal prosecution of the voyage.

したがって、
おそらくは貨物代金分(CIF料金等の場合は輸送費用&保険費用を含む貨物代金分)の保険給付を受けられるのだろうと思います。
そして、
貨物代金分の保険給付を受けられるのなら、
代替ルートで送ることにすれば、
特別な保険(おそらくは損害保険)の付保は不要、
ということになります。

問題は、
どのような要件が満たされれば、
保険給付を受けられるのかです。

しかし、
商社で英文契約を担当して5年以上が過ぎるまで、
『INSTITUTE CARGO CLAUSES』の存在を知らなかったというのは、
かなり問題があるだろうと反省させられました。

2016年9月19日月曜日

"contracts of adhesion"

いわゆる『約款』的な契約=『附合契約』ですが、
B-to-Cでは、無効となる場合が多そうでも、
B-to-Bで、無効となるには相当にハードルが高そうです。

The Association of Corporate Counsel (ACC)という、
"The World's Largest Community of In-house Counsel"と宣言している団体のウェブサイトに、
よくまとまった記事がありました。
http://www.acc.com/legalresources/quickcounsel/gfceco.cfm

まず、
そもそも"contracts of adhesion"として認められるのか?
という第一関門があります。

"A court may be less likely to conclude that an agreement is a contract of adhesion when the offeree must accept the terms by one of the methods described above that clearly and affirmatively signal assent."
この段階で、大抵のB-to-Bの取引では、
"contracts of adhesion"として認められなさそうです。

そして、仮に"contracts of adhesion"として認められたとしても、
無効とされるには"Shock the conscience standard."という第二関門をパスしなければなりません。

「取引するために、取り敢えず形式的に合意する」という判断は、
B-to-Bでは致命的となる危険性があります。

受発注手続きをオンラインで行うプラットフォームを準備したもの勝ち、
という気がしないでもないです。

究極的には、
(ウェブサービスの費用が下がり)
全ての企業が何らかのオンラインで行うプラットフォームを備えた場合、
(現状の契約書の雛形と同様に)
どちらのプラットフォームを利用するか、
つまりは、
どちらの契約条件を採用するかは、
どちらの当事者がより力を持っているのかというバーゲニングパワーの問題に収束しそうです。

2016年9月16日金曜日

豊洲市場3棟予定価格、ゼネコンに聴取後400億円増

9月16日の朝日新聞の記事です。

受注する側にとっては、
「随意契約にしてくれよ」という感じでしょうが、
発注する側にとっては、
「随意契約にすると、手続きが超面倒なんだよ」という感じなのでしょう。

しかし、
それで『実質随意契約の入札』=『談合』という違法行為が多発するなら、
(していると思います)
一体何のために『随意契約』を超面倒にしているのか、
本当に意味が分かりません。

『実質随意契約の入札』=『談合』とした時の罰則を、
超面倒な『随意契約』手続きを厭わなくなるほど、
大きく&確実にするしかないと思います。

こういう部分にこそ、
(効率の良い)民間企業や市場原理のメカニズムを、
上手く取り入れていけたら良いなと思うのですが、
私が知っている民間企業の非効率さを考えると、
(それでも外務省・大使館よりは格段に効率的ですが)
それもなかなか難しそうです。

今回の入札結果を見れば、
『実質随意契約の入札』=『談合』であることは確実ですが、
おそらく(よく分からない)『世論』が騒がなければ、
(司法&競争)当局が乗り出すことはないでしょう。

2016年9月3日土曜日

マレーシアの競争法&親子会社関係の英語

マレーシアの競争法(Competition Act 2010)は、
日本の独禁法と同じく大雑把で、
本当に原則的なことしか規定していません。

Chapter 1
Anti-competitive agreement
Prohibited horizontal and vertical agreement
4. (1) A horizontal or vertical agreement between enterprises is
prohibited insofar as the agreement has the object or effect of
significantly preventing, restricting or distorting competition in
any market for goods or services.
http://www.mycc.gov.my/sites/default/files/CA2010.pdf

したがって、
日本の独禁法と同じく、
競争当局のガイドラインが重要となりそうです。
http://www.mycc.gov.my/final-guidelines

しかし、
このガイドラインも結構大雑把で、
それほど詳細な事は分かりません。

特に、
孫会社("second-tier subsidiary")の扱いが、
よく分かりません。

Chapter 1についてのガイドラインにある、
“Enterprise” means any entity carrying on commercial activities
relating to goods or services, and for the purposes of this Act, a parent
and subsidiary company shall be regarded as a single enterprise if,
despite their separate legal entity, they form a single economic unit
within which the subsidiaries do not enjoy real autonomy in determining
their actions on the market.
の『subsidiary company』の中に、
『first-tier subsidiary』(子会社)だけでなく、
『second-tier subsidiary』(孫会社)や『third-tier subsidiary』(ひ孫会社)が含まれるのか、
分からないのです。

このような極めて単純明快かつ重要な論点が、
ILTの能力では、どれだけ調べても分からないというのが、
独学の限界を端的に示している気がします。

しかし、
しつこく調べ続けたところ、
"single entity", "intra-enterprise conspiracy"というのが、
英語で言う『親子関係による反競争的行為の例外』という論点でした。

私が体系的に競争法を勉強した経験があれば、
すぐに出てきた用語だと思います。
したがってこれは、
独学の限界を示しているのではなく、
ある程度体系的に勉強しているか否かを示している、
と言えるでしょう。

様々な法分野を、
日本語と英語の両方で、
ある程度体系的に勉強するのは、
非常にしんどいなと思います。

以下、参考文献です。
「Organization, Control and the Single Entity Defense in Antitrust」
https://www.justice.gov/sites/default/files/atr/legacy/2007/09/28/221876.pdf

2016年9月2日金曜日

東京五輪招致、支出「違法でない」 JOCが報告書

9月2日の朝日新聞の記事によると、
日本オリンピック委員会(JOC)の調査チーム(座長・早川吉尚弁護士)が前日に公表した報告書によると、
「海外の主な関係者への聞き取りはできず、資金の流れや使途は解明できなかったが、招致委員会が約2億3千万円を払った支出や契約は違法ではないとした。」
とのことです。

「、、、招致委が贈賄の意図を持ってBT社に支出したかどうかについては、国内外の関係者34人からの聞き取りなどを基に「疑いはクリアに晴れたと思っている」と述べた。招致委がBT社との契約締結を相談した広告会社の電通を始め、日本側は誰もタン氏とディアク親子側との関係を知らず、使途を知る由もなかったと認定。契約は日本の法律や仏の刑法、IOC倫理規定のいずれにも違反しないと結論づけた。タン氏の活動も相応だったと推認した。」

しかし、
以前から極めて詳細な記事を公開している英Guadian紙の記事によると、
「The Japanese investigation was also unable to study official committee documents because they had been destroyed after Tokyo was chosen to host the 2020 Games.」
とのことで、
これは欧米の司法制度では明白に『証拠隠滅』で、
その事実だけで、
当局や裁判所なら『クロ』と判断すると推測されます。
https://www.theguardian.com/sport/2016/sep/01/japan-olympic-committee-clears-tokyo-bid-leaders-papa-massata-diack

これを、
「契約は日本の法律や仏の刑法、IOC倫理規定のいずれにも違反しないと結論づけ」るのは、
極めて日本らしい判断と言うか、
当局でも裁判所でもない、
単なる調査委員会の報告ですので、
仕方がないのかもしれません。

ちなみに、
早川吉尚弁護士の本業は立教大学法学部教授で、
専門は国際私法です。

まあ、
世界的には大した金額ではないですし、
政治的な理由から、
問題にされることはないと思いますが、
日本の権力者の法&法務に対する無関心さと言うか、軽視ぶりに、
うんざりさせられます。

2016年8月31日水曜日

製造物責任条項

8/27付けのhitorihoumuさんのブログ記事で、
『製造物責任条項』を取り上げていました。
http://hitorihoumu.blog47.fc2.com/blog-entry-526.html

確かに、
「製造物責任法は全部で6条しかない短い法律であり、製造業者等の損害賠償の責任しか定められておらず、行政調査に対する情報提供・誠実な協力義務については定められていません。」
ということから、
仕入先から十分な情報収集が出来ず、
結果として(特に国外の)行政から情報を隠蔽していると思われて、
制裁を受ける危険性が商社にはあります。

したがって、
「以前の記事に記載した「補償」と「情報提供・協力義務」という観点から、サプライヤーとの基本契約には、製造物責任条項はしっかり定めて取り交したい」
というのは、
本当にその通りだと思います。

特に、
今年度内に改訂予定の英文雛形には、
しっかりと記載しておこうと考えています。

2016年8月21日日曜日

テナント弁護士

『訴訟ホールド』についてググッている時に、
「駒澤綜合法律事務所」という法律事務所のページにヒットしたのですが、
http://www.comit.jp/BLTJ/civilpro/LS/kiso.htm
同事務所では、
「テナント弁護士」を常時募集しているようです。
http://komazawalegal.org/?page_id=43

要するに「ノキ弁」ですよね。
販売員を「セールス・レプリゼンタティブ」と言うのと、
同じ匂いがします。

2016年8月8日月曜日

アマゾンに立ち入り検査 公取委、独禁法違反の疑いで

2016年8月8日の朝日新聞の記事です。

上記の記事によると、
今回の「不公正な取引方法」は、
「拘束条件付き取引」(独禁法2条9項6号による「一般指定12項」)
とのことです。

具体的に対象となったのは、
下記の、いわゆる「最恵条件条項」のようです。
・ライバル社に有利な条件を提供する時はアマゾンに通知する
・最低でもライバル社と同条件でアマゾンと契約する

競争者一般と取引しないことを条件としているわけではないので、
「排他条件付き取引」(独禁法2条9項6号による「一般指定11項」)には該当せず、
また、
「再販売価格を拘束」(独禁法2条9項4号)しているわけでもないので、
キャッチオール的な「拘束条件付き取引」での立ち入り検査となったのでしょう。

今回このような契約書上の条件が公取委に摘発されたというのは、
日本法を準拠法とした契約書を審査する際には役に立ちそうですが、
私が業務でよく見掛けるのは、
日本法以外を準拠法とした英文契約書上ですので、
私の業務では、あまり役には立たなさそうです。

2016年5月29日日曜日

東京五輪招致、買収禁止条項なし コンサルとの契約書

昨日の朝日新聞に、
件名の記事がありました。

ちょうど、
毎朝のskype英会話レッスンでこのトピックについて話していて、
私は「記者会見で「契約書に買収禁止条項は入れている」という説明がなかったということは、おそらく入れてなかったのだと思う」と講師に伝えていたので、
やはりそうだったか、という感じです。

「招致委関係者は「BT社は(IOCの倫理規定を)当然知っていると思い、明文化していなかった。他の海外コンサルタントとの契約も同様だ」と証言した。「コンサル会社を制限するような条項を入れれば、契約する会社はなくなるのではないか」とも話す。」

アホか、と思います。
特に最後の部分。
「意図的に贈賄させてます」と言っているようなものだと思います。

この招致委関係者の認識が、
もし招致委全体の認識であれば、
コンプライアンス意識に問題があると言えます。

そもそも、
この件を最初に報じたのは、
英国のガーディアン紙のようですし、
マスコミも含めて、
日本の経営トップ層は、
コンプライアンス意識に問題があるのではないかと思います。
https://www.theguardian.com/sport/2016/may/11/tokyo-olympics-payment-diack-2020-games

英国のガーディアン紙の各記事を読むと、
(めちゃめちゃ詳細に報道しています)
間違いなく贈賄はしていると思いますし、
日本の招致委の対応は、
英国の贈収賄禁止法(Bribery Act 2010)等に抵触するだろうと思います。

招致委には、
偉い人や有名な人ばかり大勢いて、
弁護士は一人もいなかったのだろうかと、
不思議に思います。
http://www.nga.gr.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/3/2h231220goriniinnmeibo.pdf

2016年5月27日金曜日

法務部門以外との契約交渉

法務部門以外との契約交渉で、
こちらに交渉力がない場合、
(競合他社がいくらでもあり、取引をしないという選択肢を持てない場合など)
少なくとも法務的には、
まったく理屈の通っていない論理で、
契約条件が決まってしまうケースがほとんどです。

こんな場合には、
どうすれば良いのでしょうか?

諦める、
という方法しか思い付きませんが、
精神衛生上、非常に悪いです。
要するに、腹が立つ、ということです。

せめて、
少しは「なるほど」と思えるような理屈を使ってもらえると、
こちらとしても納得しやすいのですが。

とりあえず、
腹が立ったら、
『独占禁止法』のように、
公的な規制が多い法律分野を勉強するというのが、
最も建設的な対応かもしれません。

法務以外の分野を勉強するというのが、
さらに建設的な対応なのかもしれませんが。

2016年5月26日木曜日

共同開発品の一手販売権

しばらく前に問題となった案件で、
おそらく共同開発品と思われる製品の一手販売権が問題となったことがあります。

いつものように、
取り敢えず安全策で、
一手販売権についての言及は削除してもらったのですが、
昨年2015年に改正された『流通・取引慣行ガイドライン』に、
以下のような記述がありました。

第3部第1の3(1)
「、、、又は契約対象商品が総代理店となる事業者から技術供与を受けて製造され、若しくは当該事業者から製造委託されたものである場合は、原則として独占禁止法上問題とならない。」

この規定は、
「競争者間の総代理店契約」についての記述ですが、
競争者間で問題にならない以上、
非競争者間で問題にならないのは当然です。

ただし、
「技術供与を受けて製造」が、
「少しでも」なのか、「完全に」なのか、「その中間」なのかは不明です。
「若しくは」以降を考慮すると、
「完全に」と考えるのが合理的に思えます。

いずれによせ、
最終的には(言及を削除するという)同じ対応を取るにしても、
上記のような具体的な根拠を持っているか否かで、
説得力が違ってくると思います。

企業法務担当者の守備範囲は広過ぎて、
なかなか根拠を持つことは難しいですが、
(私の場合、他の事に興味があり過ぎることの方が大きな理由ですが)
商社の法務担当者として、
『競争法』や『契約法』など、
限られた範囲においては、
できるだけプロだと思われるような対応ができるようになりたいと思います。

設定値が低過ぎますね、、、

2016年5月25日水曜日

『フィリピン進出法務と子会社コンプライアンス』@大江橋法律事務所

昨夜、
件名のセミナーに参加してきました。

大江橋法律事務所が、
Marose弁護士以外にも、
http://www.ohebashi.com/Lawyers/marose.html
フィリピン法弁護士(Jason Jose R. Jiao)を雇用しているというのは、
http://www.ohebashi.com/Lawyers/jiao.html
正直、驚きでした。

経歴を見ると、
同じように、
University of the Philippinesのロースクールを経て、
(Marose弁護士が2年先輩)
九州大学法科大学院に留学していることから、
(こちらはJason弁護士が1年先輩)
おそらくMarose弁護士は、
Jason弁護士の紹介で、
大江橋法律事務所に入ったのだろうと思います。
(Jason弁護士が少なくとも2年先輩)

いずれにせよ、
2人共に英語が堪能&少し話せば分かるほどにクレバーで、
なぜこの人たちのような弁護士と、
自分は仕事をしていないのかと、
改めて凹みました。

ちなみに、
フィリピンで一審判決後に、
motion for retrial or reconsiderationの手続きが存在する理由については、
両弁護士共に、別の人に以前聞いたのと同じ回答でした。
そして、
同様の制度が、
控訴審判決後にも存在するそうです、、、

また、
↓このサイトは、
セミナーの内容と重複していて参考になります。
http://www.kuno-cpa.co.jp/tcf/philippines/information_2.html