2018年12月20日木曜日

『サバイバルボディー:人類の失われた身体能力を取り戻す』スコット・カーニー(白水社)

『サバイバルボディー:人類の失われた身体能力を取り戻す』スコット・カーニー(白水社)

 世界中で最も寒さに強い人間として『アイスマン』と呼ばれるオランダ人、ヴィム・ホフが編み出した、呼吸法と寒冷刺激によって眠っている身体能力を引き出すトレーニング法『ヴィム・ホフ・メソッド』。

 この『ヴィム・ホフ・メソッド』に疑問を抱いて、人類学者でもある調査ジャーナリストの著者が、ポーランドの雪山で開催されるトレーニング・プログラムに参加したところ、その驚きの効果に感銘を受け、その後、ホフの呼吸法を取り入れているレイアード・ハミルトン(トウインサーフィンを発明した頭のネジが何本か抜けている超有名サーファー)や、ブライアン・マッケンジー(高強度インターバルの提唱者)などからも教えを受けた後に、高度順応の時間も取れない48時間で標高5,895メートルのキリマンジャロ登頂に挑むのです。しかも、水着姿で!知る人ぞ知るキチ×イのオールスター陣から、何とも羨ましい教えを受けた現在40歳の著者が、常人なら大金を積まれてもやろうとすら思わないだろう偉業(?)に挑みます。

 原書は2017年刊行で、原題は『WHAT DOESN’T KILL US: How Freezing Water, Extreme Altitude and Environmental Conditioning will Renew our Lost Evolutionary Strength』(死に至らないこと:氷水、極高度、環境条件付けが、人類の失われた進化の力を復活させる)。
 その翻訳である本書は2018年9月刊行で、本書も、知人のエクストリーム・スノーボーダーから『ヴィム・ホフ・メソッド』を紹介された流れで読んでみました。ちなみに、スポーツ誌『Number』の書評でも取り上げられていました(大谷翔平が表紙のやつです)。

 キリマンジャロの山頂を麓から眺め、ノースショアの大波を岸から眺め、アテネ~スパルタの道程を車窓から眺めた、筋金入りの陸クライマー/陸サーファー/陸ランナーである私にとって、本書は長年の夢を現実にする第一歩となり得る内容でした。

 調査ジャーナリスト(”investigative journalist”。日本語の「ノンフィクション作家」ではニュアンスが出ませんね)らしく、進化論と環境条件付けを結び付ける科学的根拠・理論をふんだんに紹介しながら、自分もその気になれば、いろいろなことが出来るのではないか?と読者に思わせてくれる本です。

 年齢による限界を感じている方や、日々の生活に閉塞感を感じている方に、お薦めです

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