2016年6月9日木曜日

顧客企業名

取引先が作成した英文書式に、
おそらく「顧客企業名」の英訳(直訳)と思われる、
「Company Name of Customer」という表現がありました。

しかし、
この表現が使用されている場所は、
署名者の所属企業の名称を記入させる場所なので、
おそらく署名者は混乱すると思います。

日本語の書式であれば、
署名欄に「顧客企業名」とあっても、
「顧客」である自社の「企業名」の記入すれば良いのだなと、
誰も誤解しないでしょう。

しかし、
「Company Name of Customer」と英文書式に書かれていた場合、
自社の「顧客」である「企業名」の記入を要求されていると誤解され、
それは開示できない・開示したくない、と署名者が考えた場合、
その行は空欄で提出してくることが考えられます。

そこで、
どうすれば良いのかと言うと、
単純に「Company Name」とすれば良いのです。

ここで、
(おそらく)
「顧客企業名」を「Company Name of Customer」と直訳してしまう翻訳者は、
その書式がどのように使用されるのかを、
言い換えると、
その書式の読者がどのように理解するのかを、
想像しないで翻訳しているのだと思います。

この、
「読者がどのように使用するのか」を想像しない翻訳者は意外と多く、
そういう翻訳者は、
(特に問い合わせしにくいフリーの翻訳者に多いです)
別言語で何となく意味が通っているように置き換えれば良いと思っていたりします。

確かに、
フリーの翻訳者として生計を立てていくには、
そのようなアプローチの方が、
(量がこなせるので)金銭的にも、
(ストレスが溜まりにくく)精神的にも、
有利だと思います。

しかし、
それではブラック・ボックスをブラック・ボックスのまま流通させているだけで、
どこにも行かない気がして、
私は嫌なのです。

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