2017年1月26日木曜日

東芝、原発工事の撤退検討 設計・納入に専念 損失防止策

2017年1月26日の朝日新聞の記事です。

「原発新設の事業は、設計、原子炉などの納入、建設工事の三つに大きく分かれ、東芝の米原発子会社ウェスチングハウス(WH)は設計や原子炉などの納入を手がけてきた。今回の損失計上は、遅れていた原発4基の工事を進めるため、WHが建設工事の会社を15年末に買収し、建設工事を自前で手がけるようになったことがきっかけ。買収後に費用が大きく膨らんだ。」

これ、
WHが建設工事会社と紛争になって、
そのままだと引当金を積まなければならないなどして、
東芝全体が債務超過に陥る危険性があるため、
時間稼ぎのために、
その紛争相手だった建設工事会社を買収したと聞いていたのですが、
違っていたようです。

少し調べてみたところ、
2015年10月29日付のForbesの記事を見付けました。
http://www.forbes.com/sites/williampentland/2015/10/29/why-chicago-bridge-iron-sold-its-nuclear-business-to-westinghouse/#194864ef158e

電気会社側とWH&建設工事会社側との訴訟は、
2012年11月1日午前8時から始まっており、
お互いが別の州で提訴したことから、
どちらが原告となり、どの州で裁判するのかが決まるまでに、まず1年掛かり、
(その判決です↓)
https://www.cadc.uscourts.gov/internet/opinions.nsf/8B6AB6641655E38085257E0400525346/%24file/13-7151-1541465.pdf
その後の裁判の進行も良い感じではなかったので、
建設工事会社(CB&I)が損失を確定してでも、
裁判&賠償責任から抜けたがった、
というのが真相のようです。

WHとCB&Iが紛争になったのは、
CB&Iの原発工事部門(CB&I Stone & Webster Inc.)を、
WHが買収した後のようです。

2016年12月28日付のReutersの記事です。
http://www.reuters.com/article/us-toshiba-accounting-workingcapital-idUSKBN14H1WT

改めて、
会計周りの知識&英語を入れておく必要性を感じました。

ちなみに、
上記の訴訟競合ですが、
契約書のVenue(裁判管轄)条項には、
the parties "agree to the non-exclusive jurisdiction of the United States District Court for the District of Columbia for any legal proceedings" arising out of the contract and "accept, generally and unconditionally, the jurisdiction" of that court.
Each party waives the right to challenge cases brought in the D.C. District Court "on the basis of forum non-conveniens or improper venue".
と規定されていて、
さらに、
the parties do not "waive any first-to-file challenges to venue."
と規定されていたとのことです。

結局、
DCへの提訴は却下されて、
ジョージア州南地区への提訴が認められたわけですが、
何を追記したところで、
「the non-exclusive jurisdiction」ではダメだということだと思います。

もっとも、
「the exclusive jurisdiction」と規定していたとしても、
DCへの提訴が認められたかは怪しいと思いますが。

(2017年2月2日追記)
いろいろなニュース記事を読むと、
やはり、
WHがCB&Iの原発工事部門(CB&I Stone & Webster Inc.)と紛争になって、
その解決≒時間稼ぎのために、
買収したようですね。

今日、
東芝によるWHの株式保有を、
現在の87%から50%強まで引き下げる方針が報道されましたが、
いくらの値が付くのか興味深いです。

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