2015年1月19日月曜日

Letter of Credit(その2)

前回に続いて、
「Letter of Credit」(信用状)についてです。

先週の金曜日に注文していた本が届いたのに加えて、
(「輸出入と信用状取引―新しいUCP & ISBPの実務」浦野直義・監修)
文京図書館からも何冊か借りてきましたので、
(「THE L/C―信用状の実務手続き」井上洋・著 、その他)
主にそれらの内容から説明します。

しかし、
いずれの本の著者も、
貿易関係者か銀行関係者で、
「英語」の専門家ではないため、
「そもそもなぜ、そのような単語・表現を使っているのか?」という、
私が一番気になる疑問に対する回答は得られませんでした。
(その昔の電信時代など、とにかく字数を節約しようとしていた頃からの影響ではないかというのが私の推測です)

例えば、
「We hereby issue in your favor this documentary credit which is available by negotiation of your drafts at sight drawn on us bearing the applicant’s name, the number and date of this credit.」
という英文の中で、
なぜ「is available by negotiation of your drafts」(貴社の手形の買取に使用できる)という表現が使用されているのか、
説明がないのです。
http://www.idec.or.jp/kaigai/documents/detail_8.pdf

これは、
形容詞「available」の一般的な使い方ではまったくありません。
「is available for negotiation of your drafts」と前置詞「for」を使うか、
そもそも形容詞「available」を使うこと自体が不適切のように感じます。

形容詞「available」に続く前置詞については、
「信用状統一規則」(UCP 600)の6条でも、
「(the credit) is available with any bank」
「(the credit) is available by sight payment」
と記載されていて、
ここでも「for」は使われていません。

「L/C取引での「availability」とは何か?」というウェブサイト記事を見付けました。
http://www.letterofcredit.biz/Availability.html

しかし、
これを読んでいると、
疑問が解決されるどころか、
疑問はさらに増えていきます。

「Bill of exchange or draft is not required under deferred payment.」
L/Cの支払条件が「deferred payment」の場合、
輸出車は「船積書類」を提出するだけで銀行から代金を回収できるということなのでしょうか?
(後記:その通りでした)
その理解が正しいとしたら、
輸出者は、「船積書類」を提出するだけで、
期日が来れば「発行銀行」(それとも「買取銀行」?)から代金を回収できるため、
輸出者が負担する回収リスクは、
「発行銀行」自体のカントリーリスクと信用リスクということになります。
(後記:「deferred payment」の場合、輸出者は「為替手形」を振り出さない=即座に「買取銀行」に割り引いてもらえないため、L/C規定のユーザンス期間中、代金を回収できないことになります)

上記のウェブサイトも、
専門用語の多さと、英文の間違いの多さから、
既に分かっている人には理解できるけれど、
まだ分かっていない人には理解が難しいという、
専門家が書く文章にありがちな落とし穴に嵌っていますね。
そして、
本当に痒い所には手が届いていないという落とし穴にも。

もっとも、
私が書く文章も、
同じ落とし穴に嵌っている気はします。

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