2016年8月5日金曜日

「straight bill」の日本語訳

「Bill of Lading」(船荷証券)の一種に、
「straight bill」と呼ばれる、
受取人を記名した船荷証券があります。

たとえば、
「記名式船荷証券」を英辞郎で引くと、
「straight B/L」が出てきますし、
たいていどのウェブサイトを見ても、
「straight B/L」の日本語訳として「記名式船荷証券」が使用されています。

しかし、
日本法では、
国際海上物品運送法10条で、
船荷証券の扱いについて、
商法574条を準用しており、
「貨物引換証は其記名式なるときと雖も裏書に依りて之を譲渡すことを得。但貨物引換証に裏書を禁する旨を記載したるときは此限に在らず。」(商法574条)
ということから、
受取人を記名しても、
「裏書を禁する旨を記載」しない限り、
裏書譲渡ができるのに対して、
米国法では、
「straight bill」は裏書譲渡ができず(=non-negotiable)、
単なる(運送人が発行する)「受領書」「運送契約書」でしかなく、
「straight bill」を持っているだけでは荷物を引き取ることはできません。
(荷物を引き取るためには記名されている本人であることを証明する必要があります)

したがって、
場合によっては「straight bill」を「記名式船荷証券」と訳すのは正確でなく、
「譲渡禁止船荷証券」と訳すのが正しいと思います。

単純に横のモノを縦にするだけではダメだという、
典型例だと思います。

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