2015年6月1日月曜日

『Restitution: Civil Liability for Unjust Enrichment』(Ward Farnsworth著)

「過収金」の続きですが、
Restitution: Civil Liability for Unjust Enrichment』
というペーパーバックが到着しました。
http://www.amazon.co.jp/Restitution-Civil-Liability-Unjust-Enrichment/dp/022614416X/ref=tmm_pap_title_0?ie=UTF8&qid=1432880289&sr=1-1-catcorr

非常によくまとまっていて&内容も面白いです。
何よりも、
英文が非常に読み易いのが良いです。

これで、
日本語の本のように、
図解やまとめがされていれば最高なのですが、
それはILTが個人的にすべきことでしょう。


本書のような米国法の知識を、
体系的に身に着けることができるなら、
終了するには「4年」という長期が必要でも、
通信教育のロースクールを始めたいと思います。

もっとも、
とりあえず「1年」やってみて、
「Contracts」と「Torts」を体系的に身に着けることができれば、
少なくとも日本企業の「法務マン」としては十分という気もします。
1年目のもう一つのクラスが「Criminal Law」ではなく「Remedies」だったら、
ベターなのですが。

しかし、
私の妻は、
私が通信教育のロースクールを始めることに対して極めて否定的です。
理由は、
私が何事もすぐに飽きるからです(苦笑)。
たしかに、
私が継続できている習い事(とも言えませんが)は、
これまで英語だけですので、
私の妻が懐疑的になるのも無理はないです。

具体的にどのような成果を出せたら、
個人的に「成功」とみなせるのか、
基準と(妻への)プレゼン方法を、
予め決めておく必要がありそうです。


本の内容に戻りますと、
2章に紹介されている判例ですが、
http://www.leagle.com/decision/19971108946SW2d162_11087.xml/AMOCO%20PRODUCTION%20CO.%20v.%20SMITH
控訴審で、
出訴期限が一審の「2年」から「4年」に変更された理由は、
本件の「mistaken payments」が「an action for debt」に該当するとして、
かつ、
「2年」(書面によらないdebt)と「4年」(書面によるdebt)の区別が、
法改正で撤廃されたからとのことですが、
そもそも一審が出訴期限を「2年」と判断していた理由が分かりません。

別のウェブサイトを読むと、
http://www.bf-law.com/casenotes/116590323611.97.pdf
どうやら一審は、
法改正前の「不当利得」=「2年」という諸判例を、
「書面によらないdebtであるから」という理由を考慮しないで、
オートマチックに適用してしまっていたようです。

なるほどですが、
これは「テキサス州法」の判例であって、
それでは「カリフォルニア州法」ではどうなるのかと考えると、
まだ分かりません。

「テキサス州法」と同じ考え方を適用するなら、
「書面によらないdebt=quasi-contract」として「2年」となりそうですが(339条)、
「An action for relief on the ground of fraud or mistake」として「3年」も該当しそうです(338条(d)項)。
http://www.leginfo.ca.gov/cgi-bin/displaycode?section=ccp&group=00001-01000&file=335-349.4

「Gilbert Law Summaries: Remedies」によると、
「The appropriate remedy is a quasi-contract action at law.」(274ページ)とのことなので、
「2年」となりそうですが(339条)、
ずばり「mistake」が明記されている、
「An action for relief on the ground of fraud or mistake」が「特別法は一般法を破る」として、
「3年」となりそうです(338条(d)項)。

いずれにせよ、
 http://www.courts.ca.gov/9618.htm#Type_of_Problem_or_Case
は、分かりやすい表です。
この表に「restitution of unjust enrichment」も挙げられていれば、
一気に問題解決なのですが。


ちなみに、
「restitution」という法律用語が難しいのは、
①「a type of legal claim; a cause of action」という意味と、
②「a remedy for a contract claim, which is another cause of action」という意味の、
2つの意味があるからだそうです。
そして、
多くの場合は②の意味で理解されており、
①の意味での(「contract law」「tort law」と並ぶ)「restitution law」という意味では、
あまり理解されていないそうです。

本書のPrefaceには、
「The reader familiar with private law will recognize that restitution in the sense used here is in many ways symmetrical to the law of torts. Tort law governs liability for losses that one person inflicts on another. Restitution governs liability for gains that one person makes at another's expense. Tort and restitution law sometimes cover the same situations, with the choice between them just a matter of which amount is larger (and thus which the plaintiff prefers to recover): the plaintiff's losses or the defendant's gains. But restitution also offers a more powerful range of equitable remedies than are traditionally available at the end of a tort case, and it covers many situations that neither tort nor any other body of law does. Restitution thus is a major division of American private law, one that sits alongside the law of tort and contract and provides a practical and theoretical complement to them.」
とありますが、
なるほどその通り、
「contract law」と「tort law」を別の視点から理解するには、
「restitution law」を理解することが非常に役立ちます。

米国のロースクールでは、
「restitution law」は、
「Remedies」の授業で軽く触れられる程度のようですが、
「Restatement」に「Restatement of Contracts」「Restatement of Torts」と並んで「Restatement of Restitution and Unjust Enrichment」があるのに、
「Restatement of Remedies」がないわけですから、
本来は逆であるべきなのかもしれません。

いずれにせよ「contract law」と「tort law」を別の視点から見るという意味では、
(原告が被ったlossからではなく、被告が受けたgainから見る)
「Remedies」でも、その役割は果たしていると思います。

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