2017年2月1日水曜日

トランプ米大統領、連邦最高裁判事に保守派のゴーサッチ判事を指名

2017年1月31日(米国時間)、
トランプ米大統領が、
2016年2月に保守派のアントニン・スカーリア判事が死亡して以来、
1年近く空席が埋まらず「8人」のままとなっていた連邦最高裁判事に、
保守派のニール・ゴーサッチ(Neil Gorsuch)第10巡回区連邦控訴裁判所判事を指名しました。
https://en.wikipedia.org/wiki/Neil_Gorsuch

Wikipediaを読む限りでは、
前任者に負けず劣らず、
originalist(原意主義者)でtextualist(条文主義者)のようです。
https://en.wikipedia.org/wiki/Originalism
https://ja.wikipedia.org/wiki/司法条文主義

トランプ米大統領は、
選挙期間中から一貫して、
「スカーリア元判事のような判事たちを任命する」
("looking to appoint judges very much in the mold of Justice Scalia." )
と言っていたわけですから、
当然のことですが。

各連邦最高裁判事候補が、
どれだけスカーリア元判事に似ているかという、
「スカーリア基準」(Scalia Index)というものも議論されていて、
ゴーサッチ判事は、
トーマス・リー・ユタ州最高裁判所判事に次いで2位とのことでした。
http://www.usatoday.com/story/news/politics/2017/01/30/supreme-court-trump-scalia-pryor-gorsuch/97057474/

「スカーリア基準」は、
以下の3つの基準から構成されています。
①originalism(原意主義)
②スカーリア元判事が書いた「法律関係以外の」著作の引用数。
③どれだけ多くの「補足意見」「意見」「反対意見」を述べているか。
(多いほどスカーリア元判事に似ている)

元の論文もネット経由で読めますので、
興味のある方はどうぞ。
https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=2874794

ちなみにトーマス・リー判事は、
ぶっちぎりの1位ですが、
連邦最高裁の判例に拘束される連邦裁判事と異なり、
トーマス・リー判事はユタ州の最高裁判所判事ですので、
連邦裁判事であるゴーサッチ判事とは、
同じ土俵では比較できないと、
補足説明がされています。

しかし、
返す返すも、
16年3月にオバマ前大統領が連邦最高裁判事に指名した、
メリック・ガーランドDC巡回区連邦控訴裁判所判事について、
上院共和党が投票に掛けることを拒否していたのを、
オバマ前大統領が政治問題化しなかったことが悔やまれます。
https://en.wikipedia.org/wiki/Merrick_Garland

(上院選ではともかく)
大統領選では、
共和党に負けるはずがないという、
民主党上層部の油断があったように思えます。

ギンズバーグ判事が来月3月で84歳、
(「84歳」で最高裁判事を務めるって、その気力&体力が信じられません!)
https://en.wikipedia.org/wiki/Ruth_Bader_Ginsburg
ブライヤー判事が現在78歳であることを考えると、
https://en.wikipedia.org/wiki/Stephen_Breyer
連邦最高裁の右傾化は当面(=私が生きている間?)続きそうです。

(2017年2月12日追記)
今後の流れがscotusblogの2月7日付の記事に書かれていましたが、
http://www.scotusblog.com/2017/02/gorsuch-nomination-whats-next/
クローゼットから何かとんでもないモノが出て来ない限り、
遅かれ早かれ、
ゴーサッチ判事が上院で承認されるのは確実でしょう。

それでも、
「ゴーサッチ判事が承認された場合、民主党は何はともあれ、ガーランド判事が前代未聞の形で与えられなかった地位を与えられた人物として、ゴーサッチ判事の名前の横に常にアスタリスクマーク(=注意書きのマークです)が付くようにしようするだろう」
とのことです。

そして、
「本当に重要なのは、次の空席で、(民主党&共和党)両者共に、それが生じることは分かっている。唯一の疑問は、それが何時かということだ。」
と、記事は締めています。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。