2014年12月1日月曜日

『初歩からきちんと英文契約書』(仲谷栄一郎・著)

http://www.amazon.co.jp/%E5%88%9D%E6%AD%A9%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%8D%E3%81%A1%E3%82%93%E3%81%A8%E8%8B%B1%E6%96%87%E5%A5%91%E7%B4%84%E6%9B%B8-%E4%BB%B2%E8%B0%B7%E6%A0%84%E4%B8%80%E9%83%8E/dp/4502122815/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1417132726&sr=8-1&keywords=%E5%88%9D%E6%AD%A9%E3%81%8B%E3%82%89%E8%8B%B1%E6%96%87%E5%A5%91%E7%B4%84%E6%9B%B8

『英文契約書の基礎知識』(1997年 The Japan Times社)に代わる、
英文契約書初学者が最初に読むべき本(として勧める)の候補として、
読んでみました。

『英文契約書の基礎知識』(1997年 The Japan Times社)は、
英語の例文&日本語の説明が古くて硬くて、
かなり不満があるのですが、
初学者が英文契約書の全体像を把握するためには、
現時点で市販されている書籍の中では、
今なお一番マシと思われます。

私がそうしたからという個人的な思い入れが、
判断に悪影響しているのかもしれませんが。

さて本書は、
月刊誌「ビジネス法務」の連載をまとめて大幅加筆したものとのことで、
3つの章から構成されています。

以下、感想です:

第1章「英文契約書にアプローチしよう」

英文解釈の説明に終始していて、
訳語(法律用語)の説明に乏しく、
本書の対象読者のニーズに合うのか疑問に感じます。

また、
編集の仕方も悪く、
とにかく通して読んでしまえれば問題はないのですが、
パッと見た感じ、通して読む気になりにくい書き方です。


第2章「英文契約書を読んでみよう~売買契約書~」

第2章は、なかなか面白いです。

しかし、
「例文はけっして模範例ではなく、説明のために多々の不備を盛り込んである」とのことで、
読み辛いです。

『初歩からきちんと英文契約書』というタイトルの本には、
英文契約書の初心者がなるべく多くの正しい英文に触れられるように、
「不備」は盛り込まないで、
なるべく多くの正しい英文を紹介した方が良いと思います。

また、
もともと月刊誌の連載記事だったこともあり、
英文解釈+用語説明と法務的判断とが入り混じっていて、
英文契約書(売買契約書)の全体像を把握しにくいように感じます。

月刊誌の連載時に、
一度に一つの条項を読むだけなら、
英文解釈+用語説明と法務的判断とが入り混じっていても、
特に読みにくいということはないのでしょうが、
一冊の本としてまとめて読もうとした場合には、
とても読みにくく感じます。


第3章「練習問題を解いてみよう」第1節「英文を解読しよう」

第1章と同じく、
英文解釈の説明に終始していて、
訳語(法律用語)の説明に乏しく、
読み辛い&果たして誰の役に立つのか疑問に感じます。

本節を読んだ初学者に聞いてみないと実際のところは分かりませんが、
英文解釈の説明そのものも、
初学者にはとても読み辛い&理解するのが難しいように思えます。

本節のように、
英文解釈の説明に徹するなら、
色分けや、より多くの図解がなければ、
読み進める&理解するのは難しいのではないでしょうか?

続く第2節「問題を見抜こう」は、
なかなか面白いのですが、
これも英文解釈と法務的判断が入り混じっていて、
中途半端な印象を受けます。

特に、
「まとめ」や「おわりに」等もなく、
本節で本書が終わるため、
唐突な印象を受けます。

また、
ところどころ英文が稚拙(場合によっては間違いと言って良い)です。
おそらく作者側(アンダーソン・毛利・友常)でも、
出版社側(中央経済社)でも、
ネイティブ・チェックを入れていないのでしょう。

< 結論>
あまり体系的ではないので、
タイトルから判断して購入するであろう英文契約書初学者にとっては、
効率的な本ではないように思います。

本当に残念ながら、
『英文契約書の基礎知識』(1997年 The Japan Times社)の代わりに、
英文契約書初学者が最初に読むべき本として勧めることはできません。

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