2015年11月12日木曜日

「おそれがある」の英訳(誤訳)

「契約を履行できないおそれがある」などで使われる、
「おそれがある」の英訳として、本当によく見掛ける表現に、
「threaten to 不定詞」があります。

しかし、
この表現はおそらく誤訳です。

英語ネイティブスピーカーに確認しないと正確には分かりませんが、
例えば「サプライヤーが製品を引き渡しできないおそれがある場合」を、
「If the Supplier threatens to be unable to deliver the Product」と英訳した場合、
「サプライヤーが製品を引き渡しできないと脅した場合」と解釈されると思います。

Oxford Dictionaryの「threaten」の1番目の定義である、
「State one’s intention to do (something undesirable) in retribution」
と解釈されるわけです。

おそらく、
(ほぼ間違いなく日本人の)翻訳者はOxford Dictionaryの「threaten」の2番目の定義である、
「Seem likely to produce an unpleasant or unwelcome result」の意味で試用しているのでしょうが、
この用法の動詞「threaten」の主語には、
掲載されている例文を見る限り、
状況など意思を持たないモノしか使えないと思われます。

しかし、
英語ネイティブスピーカーのチェッカーが確認しても、
「If the Supplier threatens to be unable to deliver the Product」という英文は、
「サプライヤーが製品を引き渡しできないと脅した場合」という意味でおかしくないために、
誤訳と気付かない、
というケースが頻繁に発生するのだと思われます。

つまり、
日本語ネイティブスピーカーの翻訳者&英語ネイティブスピーカーのチェッカーをペアで併用しても、
そのどちらもが高度なバイリンガルでない場合、
往々にして誤訳が見逃されるということです。

と、偉そうに言っておいて、
もし「If the Supplier threatens to be unable to deliver the Product」の動詞「threaten」を、
「Seem likely to produce an unpleasant or unwelcome result」の意味で解釈できるのだとしたら、
私はかなり恥ずかしいことを書いていることになります(苦笑)。

しかし、
私は、上記の内容が正しいことに、かなりの自信を持っています。

それでは、
どのような英語表現を使用すれば良いのかと考えると、
「the Buyer reasonably believe that the Supplier is unable to deliver the Product 」
などが良いと思います。

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