2016年3月16日水曜日

『Restitution in America: Why the U.S. Refuses to Join in the Global Restitution Party』(Chaim Saiman著)

以前、当ブログで書評を書いた、
Restitution: Civil Liability for Unjust Enrichment』に参照文献の一つとして挙げられていた論文です。
http://80logic20emotion.blogspot.jp/2015/06/restitution-civil-liability-for-unjust.html

著者であるChaim Saiman教授は、
Villanova Universityロースクールの教授で、
専門はなんと「ユダヤ法」(と私法全般)です。
https://www1.villanova.edu/villanova/law/academics/faculty/Facultyprofiles/ChaimSaiman.html

Villanova Universityと言うと、
Basketballオタクの私にとってはWildcatsですが、
(1985年と今年2016年にNCAA優勝のpowerhouse&Jay Wrightコーチの下では初優勝)
「ユダヤ法」を専門にしていると言われると、
アホみたく頭の良い人をイメージします。
そしてきっと、そのイメージは正しいと思います。

この論文の面白い点は、
私法全般を専門にしているというSaiman教授が、
Restitutionという、
米国と旧英国圏(Commonwealth)とで面白い逆転現象が起きている法分野を通して、
米国の法曹&法学会の全体像を簡略に紹介している点です。

その結論として、
左寄りの「富の再配分主義派」(the left-leaning redistributionalists)にも、
中道右派の「法と経済学」(law and economics movement)にも、
現在、Commonwealthで熱く議論されているRestitution関連の理論は、
非現実的で役に立たないと見られていると。

いずれにせよ、
欧米の法学は、
歴史の違いが大きいでしょうが、
(日本の法学と異なり?)上っ面な感じがしないのが興味深いです。

単に、私個人の勉強量の違いかもしれませんが。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。